二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 番外編 ミキの特訓 後編 ( No.53 )
日時: 2011/04/12 18:31
名前: 白黒 (ID: /LylQYeE)
参照: http:/BUENOSUAIRESU

「コジョフー、飛び蹴り!」
「ナットレイ、呪い!」
ミキ対リオのスペシャルマッチは、リオのオノノクスがミキのモグリューを下し、コジョフー対ナットレイの戦いに持ち込んだ。
「コジョフー、スピードスター!」
「ナットレイ、パワーウィップ!」
コジョフーのスピードスターをナットレイがパワーウィップで叩き落す。
「ナットレイ、アイアンヘッド!」
「避けてコジョフー!」
「ナットレイ、電磁波!」
「かわして飛び蹴り!」
といった感じで、コジョフーはナットレイの技を避けながら攻撃している。
「ミキちゃんは、コジョフーのスピードを生かし、ナットレイの弱点—タイプ的ではなく、能力的な弱点—を突いて攻める戦法みたいだね。如何せんあのナットレイはマイペースで動きが鈍いからね」
「それが最善の手でしょうしね。でも、あのナットレイ、かなりの防御力ですよ。いくらナットレイが防御に秀でているとはいえ、あれだけ弱点を突いた攻撃を食らっても、全然効いていないみたいですし。それどころかコジョフーの方が……!」
「気がついたみたいだね。そう、ナットレイは防御力が高く、防戦になりがちだ。でも、それでいい。あのナットレイの特性は鉄の棘。さらにゴツゴツメットを道具として持っている。両方とも直接攻撃を受けると相手にダメージを与える効果がある。相手が物理技をメインで使うのならば、あのナットレイはほぼ無敵だ」
「コジョフー、ドレインパンチ!」
コジョフーのドレインパンチがナットレイにヒットする。
「ミキちゃんのコジョフーが、ドレインパンチを使い始めましたね」
「たぶん、リオの意図に気づいたんだろうね。ドレインパンチは攻撃と同時に体力を回復する技」
「ナットレイの鉄の棘とゴツゴツメットによる相乗効果のダメージを回復するつもりでしょう」
「でも、そううまくはいかないものだよ」
「戻って、ナットレイ」
「ナットレイ、戻しちゃいましたよ?」
「イリス君。コジョフーの覚えている技はなんだい?」
「え? えっと、飛び蹴り、ドレインパンチ、スピードスター、当て身投げです」
「なら、コジョフーの負けは確定したよ」
「まあ、確かに勝てるとは思いませんが、確定って……」
「根性論じゃなくて、物理的に不可能なんだよ。次にリオの出すポケモンを予想してみて」
「……ああ、なるほど」
「そういうこと」
リオはナットレイをボールに戻し、新たにシャンデラを繰り出した。
「シャンデラの特性は影踏み。あのコジョフーは逃げられず、攻撃も当たらないから負け確定だよ」
「シャンデラ、鬼火!」
シャンデラはイリスのデスマスのよりも大きく速い鬼火をコジョフーに放った。
「コジョフー!」
「祟り目!」
祟り目は相手が状態異常の時威力が倍になる技だ。コジョフーはそれにより戦闘不能となって、ボールに戻された。
「……出て来て、シキジカ!」
ミキは最後にシキジカを繰り出した。
「ミキちゃんは3体しかポケモンを持っていないよね」
「はい。だから、あのシキジカを出すのも、やられると思って出していると思います」
「シキジカの覚えてる技は?」
「二度蹴り、突進。エナジーボール、草笛です」
「これも、勝負あったね」
「はい」
「シャンデラ、目覚めるパワー!」
シャンデラは水色の球体を無数に自分の周囲に浮かべ、シキジカ目掛けて発射した。
「シキジカ、エナジーボール!」
シキジカは苦し紛れにエナジーボールを撃つが、目覚めるパワーで相殺されてしまった。
目覚めるパワーはシキジカには直接ヒットせず、足元にヒットし、足元を凍りつかせた。
「シャンデラ、大文字!」
止めにシャンデラは動けないシキジカに大文字を放った。
「シキジカ!」
炎が収まると、シキジカは倒れ、戦闘不能になっていた。
「シキジカ戦闘不能、シャンデラの勝ち。よって勝者は、リオ」
キリハは嬉しそうな表情のリオに何とも言えない冷たい感じの眼差しを向けてそう判定を下した。

PDOヒウン支部、救護室。
そのベンチにキリハとイリスは並んで座っていた。
「キリハさん、僕は今回のバトル、意味があったようには思えないのですが」
イリスがそう言うと
「イリス君は、ポケモンバトルとは育み学ぶもの、という言葉を知っているかい?」
「? いえ、知りません」
「この言葉はね、ポケモンバトルとは、勝ってポケモンを育て、負けてバトルを学べ、という意味なんだ」
「はあ……」
「勝てばポケモンは育つ、負ければ育たない。しかし、負けて育つのはトレーナーなんだよ」
「トレーナー、ですか?」
「うん。勝てばトレーナーは次も勝てると楽観するけど、負ければ次も負けるのでは?と悲観してしまう。そして、大事なのはその後。楽観しても、ポケモンの力に自惚れ、溺れないようにすること。悲観しても、勝ちたいと思い、勝とうと努力すること。僕はさっきのバトルが、ミキちゃんにとって、次へ繋がる糧になると思っているよ。リオもきっと、そう思ってバトルをしたんだと思うよ」
「キリハさん……」
「ちなみにこれは、君にも言える事だ」
「……良いお話、ありがとうございました。リオさんにも、お礼を言っておいてください」
「了解したよ」
「お願いします」
イリスは、少しミキを放っておこうと思った。
明日、ミキがジム戦に勝利することを信じて。



初の番外、前後編終了しました。感傷的てきというか、感動的というか、哲学的なことはちょっと苦手でして、最後のほうとか変かもしれませんが、ご了承ください。僕はバトルが好きでポケモンやっているような奴なんで、色恋沙汰もシリアスも苦手なんです。それでは話を変えまして、次回は……すみません、まだ決まってません。なるべく早く決めますので、次回を期待せず待ってくれてたら嬉しいです。