二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.25 )
- 日時: 2011/04/07 19:28
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
第130話 ゆうやけこやけ、またあした
———夕焼け小焼けで日が暮れて
ワカバ公園の木々がうっそうと茂る奥の奥
誰も来ないと思っていたのに
「っ……」
「誰か泣いてるの?」
もうすっかり太陽が沈んで、夕日が昇る頃
自分と同じ茶髪で銀と蒼の混じる瞳をした人に出会った
その人には、ついこの前会ったけど、どちらも覚えていなかったようだ
「そんな所にいたら、危ないよ?」
「…………あ、ぶな…………くな、い」
その女の子は、白いワンピースに身を包んでいて、どこか大人っぽくも見えた
年齢は自分よりは上だと判断した
女の子独特の優しい音色の声で言われた言葉は、震える女の子……マイによって断られた
目には先ほどより、ずっと多く溜まっている涙が見える
「あ、ほら。遠くでお寺の鐘が鳴ってる。もう帰らないと! 家はどこ?」
「ひ、ひとりで……いけ、ます」
「遠慮しないで! ほーら、掴まって!」
女の子はそう言いながら手をマイに伸ばした
しぶしぶ、と云った感じで手をとるが、すぐに離してしまう
うーん……警戒心が強いなあ。と女の子は思っているのか、目線が空を仰いでいる
「あ、そうだ! お姉ちゃんが、今ピッタリの歌を歌ってあげる!
だから、元気だして?」
「おうた?」
「うん、お歌! 夕焼け小焼けって知ってる?」
知らないよ。そうゆう風に首を横に振る
そんな素っ気無い態度にも笑顔で接するその子の名前はユウナ
「ゆーやけ こやけで ひが くれてー」
「…………(綺麗な歌声)」
その歌が歌い終わる頃にようやくワカバ公園の森から抜け出した
はじめは表情が硬かったマイは今では、ほんの少し、緩んでいたようにも見える
「ほら、お家あんな「おーい! マーイっ!」……あ、お友達?」
「い、いえ。違います」
今度は自分から何か言い出そうとしたのに、なんというタイミング
前髪がはねた男の子が思いっきり手を振って二人に駆け寄ってきた
マイの言葉が聞こえたらしいのか、男の子は少し眉を上げて、強い口調で言った
「オレ等、友達だろ! たくよー」
「照れ屋さんなのね、あなた。あ、ところで……もしもし」
ユウナがマイに何か言おうとした直後、電話がかかってきた
その間に男の子……ゴールドがマイに色々と文句を言っていた
「お前、オレと遊びたくなくて逃げたんだって?」
「え、と……そんなはずない……わけでもないでもない……です」
「どっちだよ! お前、オレのこと嫌いなのか!?」
「嫌いじゃ、ないです?」
「疑問系かよ! まったく、今日はせっかく……「ごめんなさい! 私、帰るね! バイバイ!!」
今まで電話をしていたユウナが走り出した
あの方向は、ワカバのポケモンセンターの方向だ
「あいつ、名前なんていうんだ?」
「分かりませんけど……良い人でした」
マイの目線はユウナが走って行った方向で、どこか寂しげだった
うー。と今度は困ったようにゴールドの眉がハの字に変わる
「あー、もう! 帰るぞ」
「一人で帰りま…「オレと行くの!」…分かりました……」
取りあえず、この重たいような空気から逃れるように大声を出した
ゴールドにしては、いい考えかも。しれない
帰る、という言葉に反応を見せたマイ、帰る場所があって嬉しいのだろうか
「ゆうやけ…こやけで……」
不意にマイが小さくて掠れるような声で歌いだした
その声を逃さないのが、ゴールドだったりするのだが……
「やーまのおてらのかねがなるー! だろ?」
「知ってるんですか?」
「ったりめーよ! ワカバっ子なめんなよ」
意味がわかんない。という代わりに目線をすっかり沈みきった空を見る
その間、何かゴールドが講義した気もするが覚えてない
◆◆◆
「……なに、思い出してんだ。オレ」
一人横たわるベットの上でゴールドは苦笑いした
隣にいるのは自分の相棒とオーキド博士から貰った「たまご」もう少しで生まれるかな
なんて思っていると、たまごのそばにいたエイパムのエーたろうがつんつん、とつついていた
「こーら、やめろって」
「ぱむ?」
頭痛に絶えながら言うゴールド、本気で言っているわけでもないのでエーたろうは
つんつん、を続ける
はあ、と諦めたようなため息と共にマイが出て行ったドアを見つめる
その姿は、どこか昔のマイと同じ瞳をしていた
(早く戻ってこねえかな)