二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 悪ノ召使〜「君の笑顔を守るためならば」〜 ( No.116 )
日時: 2012/06/21 21:54
名前: 鏡猫 (ID: vDb5uiaj)

第2話 ひとつの恋

「レン?どこかに出かけるの?」

「どうやら急用が入ってしまったようです。」

「そう。気を付けて」

「はい。ご心配してくれてありがとうございます」

レンは、王女——リンのそばを離れて出掛ける準備をする。
どうやら隣国へ買い物を頼まれたらしい。
王女は、只今14歳。レンもともに14歳だ。

———若すぎる王女とその召使———


「すみません、おまたせしました。出発して下さい」

そういうと、馬車は隣国へ向けて走り出す。
レンは、背もたれに一息つく。お城に帰ったら王女のお世話をしなければならない。
ゆいいつ王女の近くにずっといれるのは、仲のいいレンだけなのだ。
リンは、亡き弟のレンに似ている、という理由で何か失敗があっても許している。
そんなリンをレンは知っている。まるで昔からリンの事を知っているように話しかけるのだ。

「つきましたよ」

「ありがとうございます」

レンは、馬車から降りて買い物を頼まれたお店へと行く。
いつも買いにいっているお店だ。
そこの店は、とても評判がいい。

「お。今日は、何を買いに来たんだい?」

ちょうど、レジが開いていた。
レンが買い物にいく、というと必ずこの店なので店長は、快く歓迎するのだ。
たまに、こっそりとオマケもつけてくれる時もある。

「これに書いてあるもの全部」

「毎度ありぃ」

店長は、レンから受け取った紙に書いてある食材を袋に詰め込んでゆく。

「はい、気を付けてな」

「はい!・・・あ、あのもうひとつあったんだ」

店から出ようとした足を止めてもう一度振り返り、レジへと向かう。
しかし、もう混んでいてしばらく並んでいないと順番は、まわってこなそうだ。
そのために、レンは一度この店から出て馬車へ荷物だけおこうと考え振り向いた足を元に戻し、店を出ていく。
周りからみたらきっと変に思われているであろう。
だが、レンはそこらへんは鈍いので全く気にしない。

「あの、すみません。また待たせてしまうかもしれないので先に休憩してて下さい」

レンが、まだ馬車で待機していた人にそう話す。
その人は、うなずいて馬車をどこかにとめにいく。荷物もその馬車の中に置く。
そして、もう一度あの店へ急いで戻る。

「きゃっ」

「あ、すみません!!」

そうやら急ぎ過ぎて誰かにぶつかってしまったようだ。
レンは、そのぶつかってしまった人に手を差しのべる。

「大丈夫ですか? すみません。僕の不注意で…どこか怪我などは…」

「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとう」

その人は、レンの手を取り、立ち上がる。
顔をあげてお礼をいう。その笑顔は、素敵なものだ。
笑顔を見たレンの頬が少し赤くなる。
手を差し出したまま硬直していた。だが、顔は、ぶつかってしまった人に向けられている。
奇麗な長い緑色の髪に緑色の瞳をしている。歌姫のような透き通った声。

「? 何か私の顔についてますか?」

「い、いえ。その…す、すみません。」

「フフ、貴方謝りすぎよ。私にこの短い間で3回も謝ってる。」

「すみません。」

「ほら、また。何も悪い事してないんだからそんなに謝らなくていいのよ? 顔をあげて」

「すみま「いくらなんでもいいすぎよ。それってわざと? 私をからかってるの?」

「そうゆう訳ではないのですが…こうゆう時なんていえばいいのか分からなくて」

レンは、完全に頭がこんがらがっている。
いつもならこんな事にならず、平常心でいるのだが・・・。
これが、恋、という奴なのだろう。

「こうゆう時はね、ありがとうっていうの。そうすれば、私も貴方も嬉しいでしょ?」

「はい!! ありがとうございます!」

「よしっ。それでいいの。ところで、急いでたみたいだけど大丈夫なの?」

「あ! すみ…ありがとうございます! 今日は、いろいろお世話になりました」

レンは、そそくさとその場を去る。


「おもしろい人ね。また、会いたいな・・・。」

「ミクッ!」

「っ! か、カイト様。どうしてここへ?」

「どうしてって・・・今日、約束していたじゃないか。だからここにいるんじゃ・・・」

「あ、そうでしたね。それじゃ、いきましょうか」