二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [ ゆう様リク ] ( No.167 )
- 日時: 2011/09/21 14:00
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: nGuu1StL)
- 参照: 亜美ちゃん^p^
澄んだ闇色の空に、眩い光を放つ月がぽっかりと浮かんでいた。そう言えば、まだ私たちが幼くて、サッカーを純粋に愛していて、お父様もヒロトも南雲も皆みんな大切な“家族”だと信じて疑わなかったあの頃もよく、お日さま園の皆で月と星の鑑賞会をしたよね。ホント、楽しかったなあ。皆で笑ってふざけて、結局その日の夜も寝る直前までサッカーをして、お父様もにこにこ優しく微笑んでて。嗚呼、なんて懐かしいのだろう。
そんな月のスポットライトを浴びながら、ゆっくりとこちらへ歩いてくる影には、少しばかり見覚えがあった。つま先で転がしていたサッカーボールを抱きかかえ、厳しく睨みつける。それでも足音が止むことは無かった。
「どうして君がこんな所にいるの?」
ぽつり、と問いかけてみた。
暗闇からゆったりとした歩調で現れたのは、涼野。涼野風介。——私の、大切な家族の一人。
翡翠色の瞳は憎悪を鈍い光に置き換えて宿し、口元は不機嫌そうに結ばれている。睨まれる意図も理由もわからず、小さく首を傾げてみた。刹那、ぎりりと涼野の唇が噛み締められて。痛そう、なんて他人のように考えている自分が信じられなかった。
「……それは私の台詞だ、アレン。何故、きみが雷門なんかに?」
いつもよりも低く、威嚇するような声音に悪寒が走る。どうして涼野は、そんなに怒っているのかな。雷門は確かにエイリア学園の敵だけど、私は嫌いじゃないな。だってこんなに楽しいサッカーは、久しぶりなんだもん。そう、これは、お日さま園が失ったモノの一つ。復讐と称した愚かな行為の代償なんだ。
「涼野は雷門イレブンのことがそんなに嫌い?」
訊くまでもないが尋ねてみる。案の定彼は、嗚呼大嫌いだ吐き気がするとまで言ってのけた。雷門に嫌悪感丸出しの涼野だけど、何だかちょっと、変な気がする。嫌悪感も勿論含まれてるんだけど、何か違うことを恐れているような、焦っているようなその翡翠の瞳。焦燥感に歪む口元に強烈な違和感を覚えた。
「……なあ、どうしてだ、亜美」
え、嘘。——どうしてその名を呼ぶの。
涼野からは、もうずっと聴いていなかったその響きに、思わず涙腺が緩みかける。嗚呼でもどうしてだろう? 雷門の皆からその名前を呼ばれるほうが、ずっとずっと新鮮で嬉しい気もしてきて。ううん、違う。涼野から呼ばれるのも勿論嬉しいんだけど、新鮮じゃなくて、安心するんだね。またあの日に戻れるのかな、なんて錯覚しちゃって、それでそれで、
それでまた、私も涼野も傷つくんだ。
ごくりと唾を呑み込めば、涼野は動揺したように瞳を揺るがせた。翡翠を当てはめたようなその色が、酷く懐かしく、暖かい。小さい頃からずっと、涼野は強がりで意地っ張りで素直じゃなくて。そんな涼野が今、涙を流さず泣いている。ねえ、どれだけ辛かったの? 私じゃまだ、その痛みを和らげられないのかな?
「どうして皆、私から亜美を遠ざけるんだ……?」
私はただサッカーをしているだけなのにあのお方の願いを叶えようと必死になっているだけなのに何一つ間違っていないのに誰も私の行いを正当化してくれないのだなあ亜美もそうなのだろう私を嫌うのだろうだから雷門に行ってしまうのだろう、
“私を置いていくのだろう?”
彼の言葉は酷く重い。だけど、私は、
「違うよ、涼野」
そのおかしな幻想を打ち砕いてあげる。涼野は悪くないんだよって。ちゃんと意味があるんでしょうって。私だって少し前まではあのお方の言葉こそが世界の道標だと、信じ切っていたんだもん。だけど私は、それがただのお父様の我儘だと知ってしまったから、だから此処にいるだけなんだ。誰も悪くないの。皆ただ、幸せになりたかっただけなんだから。
それにね、
「涼野は——お日さま園の皆は、私の大切な家族だから。だから、嫌いじゃないよ」
今もちゃんと、大好きなんだ。
ぎこちなく微笑みながら、そう彼に告げる。翡翠の瞳はぐらりと揺らぎ、いつしかすぐ近くにあった。なあ亜美、それが嘘じゃないのなら、と彼は呟く。恐る恐る伸ばされた手は、私の背中に回された。嗚呼、涼野は本当に冷たい。孤独しか知らない赤子のように、冷え切ってしまっている。——私なら君を、暖められるかなあ?
「……すずの、」
小さく囁いてみて、それからぎゅうっと彼を抱きしめた。涼野の中にすっぽりと収まってしまう私は、まだまだ小さい。けれど私なら、君を支えてあげられるから。忘れないでね、私はずっと君の家族だよ。
「——、亜美っ」
君が顔をうずめる私の肩に、ぽたりと雫がしみ込んだ。透明で綺麗で、そして何より美しかった。
( 私たちはまだ弱いから、 )
+
だから一緒に生きて逝きたいね。
かなり展開が早く、そして雑になりました; スランプ突入中なのでこれが全力ですあばばごめんなさい∑
亜美ちゃん相変わらずhshsですね! つーかほんと展開が早すぎてごめんなさい。何この雑文←
いつかチャンスがあればリベンジさせて頂きます!(こら
では、有難う御座いました^^