二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第七十五話 伝説の氷鳥 ( No.205 )
日時: 2012/11/13 22:46
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VmxYa/ch)

「くっ…頼みます、パルシェン!」
シオンがポケモンを出す。ゴツゴツの頑丈ような殻に身を包んだポケモン、二枚貝ポケモンのパルシェン。
「(でもこの子でも勝てないでしょうね…。スミレ先輩の言ってた援軍はまだなの?)」
シオンは小さく呟く。
「何を呟いとるんや? まあええわ、フリーザー、アイスバーン!」
クルサの叫びと共に、フリーザーは氷の衝撃波を放つ。
「パルシェン、隠れて!」
パルシェンは咄嗟に殻を閉め、衝撃波から身を守る。
「シオンさん!」
「助太刀に来ましたよ!」
ここでレオたち四人組は戦場へと飛び込む。
「君たちは…スミレ先輩の言ってた?」
「はい、多分そうです。スミレさんがフローズンシティに行ってくれと僕らに」
「そう…こちらの状況は見ての通り。なかなかまずい状況よ」
援軍が来たことは嬉しいようだが、それでもシオンの表情はあまり変わらない。
伝説のポケモンが敵として目の前にいるからであろう。
「おや? 真ん中の小僧は…そうか、アメジスで会ったな」
フリーザーの操り主、クルサは不敵な笑みを浮かべる。
「そやけど、初めての奴もいるみたいやし、名乗ってやるわ。あっしはクルサ。ご存知、イビル七将軍や。そしてこいつはフリーザー。伝説の鳥ポケモンや!」
クルサの叫びを聞き、フリーザーもけたたましく啼く。
「お主程度の人間が、なぜ伝説のポケモンを操れる?」
声を上げたのはウェイガだった。
「いい質問やな。教えてやるわ、こいつの力や」
クルサは右手に付けた四角い機械を指差す。
「こいつは『ゲート』と同じく、イビルの総科学力を詰め込んで作られた機械、『リモコン』や」
皆の顔に理解したような表情は無い。『ゲート』といいこの機械といい、イビルの機械は名前を聞いただけではよく分からないものが多い。
「なんなんだそのリモコンってのは? 詳しく説明してもらおうじゃねえか」
キラが問いたてる。
「言われなくてもそのつもりや。アメジス博物館の地下の極秘資料を元に作られたこの『リモコン』、こいつはどんなポケモンでも意のままに操ることが出来る、モンスターボールなどを軽く超えた究極のマシンや!」
この瞬間、五人の顔が驚愕を表す。
「何ですって? それじゃ、そのフリーザーもまさか…」
「そういうことや。ま、このマシンの欠点としては、一体しか操れへんこと。どんなに強大なポケモンであっても操れる代わりに、どんなに弱いポケモンであっても一体しか操れない」
シオンの言葉に、クルサは軽く答える。
「ま、そんなことはどうでもええ。肝心なのは、ここでお前らはこのあっしの手によって消えるっつうことや! フリーザー、アイスバーン!」
フリーザーはもう一度けたたましく啼き、氷の衝撃波を放つ。
「パルシェン、隠れて!」
パルシェンは殻を閉め、再び防御の姿勢。だが、この衝撃波はパルシェンを狙ったのではない。

氷の衝撃波は、シオンたち五人を狙って飛んできた。

「!?」
このうち、四人はあまりに咄嗟の攻撃に反応できなかった。
しかし、一人は違った。
「出て来てファマイン! 熱風!」
チヅルだけは怯まなかった。赤いロボットのような一つ目の、頭と肩から炎を出しているチヅルのエースポケモン、爆弾ポケモンのファマインが煮えたぎるような風を放ち、アイスバーンを相殺。
…は出来なかったが、アイスバーンは相当弱まり、さらにそのアイスバーンはファマインが受け止める。
「ちっ、なかなかの瞬発力やな」
舌打ちするクルサ。
「氷タイプ主体のシオンさんじゃ、フリーザーを倒すのは少し難しいでしょう。ここは私たちに任せて下さい」
珍しくチヅルの目が本気だ。シオンは少々悔しそうな表情だったが、頷き後ろへ下がる。
いつのまにか、レオとキラが戦線に出ていた。
「頼むぞ、バフォット!」
「行くぞ、マカドゥス!」
レオとキラもそれぞれ相性のいいバフォットとマカドゥスを出す。
ウェイガはシオンのサポートにまわる。
「三対一か。それでもこいつを倒すのは不可能や! フリーザー、アイスバーン!」
フリーザーは氷の衝撃波を起こす。
「ファマイン、熱風!」
「バフォット、メタルブラスト!」
「マカドゥス、十万ボルト!」
レオたちの三体のポケモンはそれぞれの技を放ち、アイスバーンを相殺する。
今度はアイスバーンを消しきれた。さらに衝撃波を突っ切り、三つの技はフリーザーに直撃する。
「ちっ、面倒くせえなあ…フリーザー、心の目」
フリーザーは目を光らせ、レオたちのポケモン三体を見据え、
「絶対零度!」
フリーザーは零下273℃の文字通り絶対零度をレオたちの三体に向けて放つ。
絶対零度は一撃必殺。三体のポケモンは凍りつき、一撃で戦闘不能となってしまう。
「ちっ…」
「一撃必殺…ずいぶんと強引なのね」
「まだだ。まだ終わってねえぞ」
仕方なく三体を戻すレオたち。しかし、この瞬間にわずかな隙が出来た。
「消えろ! フリーザー、アイスバーン!」
フリーザーは氷の衝撃波を、今度こそレオたちに向けて放った。
「なッ…!」
衝撃波は猛スピードで飛んでくる。これは避けられない。ポケモンを出す余裕もない。
だが、
「下がって!」
シオンが突然前に出、三人を押し飛ばす。氷の衝撃波が迫る。

衝撃波がシオンを容赦なく捕らえ、シオンの体が宙を舞う。

「シオンさん!」
レオたちの叫びだけが、雪野原に響いた。



久しぶりにクルサの台詞を書きました。関s…コガネ弁は書いてて楽しいですね。そしてレオたちがフリーザーと戦いますが、絶対零度を受けてあえなく退場、そしてシオンが宙を舞いました。…何か今回のクルサはとてつもなく悪役ですね。さて、次回はフリーザー戦続き。それでは、次回もお楽しみに!