二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百二十七話 世界を賭けた最終決戦 ( No.312 )
- 日時: 2012/11/29 23:42
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: PIT.hrJ/)
- 参照: 今回はちょっと文字数が少なめです。ご了承ください。
ザントのサザンドラは頂上を目指してひたすら飛びつづけていた。
先ほど、ネメアの物とはまた違った巨大な咆哮が上の方から聞こえた。
「先ほどの咆哮が気になるな。最悪の場合、ガタノアは既にイビルの手中にある、と考えた方がいいかもな」
サザンドラの進行方向を見据えながら、ザントが口を開く。
「そうなってて欲しくは無いですけどそう考えた方がいいですね。今の咆哮も怪しいですし」
レオもザントに言葉を返す。
ちょうどその時、ウェイガが目を覚ました。
「……ん? 私は、何をしていたんだ…? そして何故私はサザンドラの背中にいるのだ?」
「あんまり気にしない方がいいですよ。特に頬が腫れてる理由とかは」
「?」
状況をほとんど理解していないウェイガに対し、ザントは簡単に告げる。
「もうすぐ頂上だ。戦闘の準備をしろ」
ついにレオたち三人も頂上へ到達する。
頂上にはいくつもの柱がそびえ立ち、その奥には小さな神殿のようなものが建っている。
そして、その神殿の前はいくつかの影があった。
まず一つ目の影は、イビルの総大将、マター。『ゲート』と『リモコン』をそれぞれ両手に装着し、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
その前に立つのは、チャンピオンのグレース。こちらからは表情が見えない。
更に、グレースの足元に、グレースのポケモンである三体が倒れているのが分かる。
そして、最後の影。
マターの後ろに佇むのは、紫色の幽霊のようなドラゴンポケモン。
「…ッ」
僅かにザントは声を上げる。
レオとウェイガも、このドラゴンポケモンが何か分かっている。
恐怖を司る伝説のポケモン、ガタノアは、既にマターの手中にあった。
「これはこれは、初めまして、ソルナのジムリーダー。私はイビルの総大将、そして世界の支配者、マターと申します」
「……ガタノアか」
ザントは特に表情を変えず、忌々しく呟く。
「流石は伝説のポケモンと関わりを持ったことのある男。やはり知っていますか」
「ああ、知っているさ。貴様が、いや、ガタノアがチャンピオンに何をしたのかもな」
レオとウェイガが、グレースに駆け寄っていた。
「グレースさん、どうしたんですか!?」
「目を覚ますのだ、チャンピオ——!?」
グレースの型を叩いたウェイガが、愕然とする。
ザントはその様子を確認した後、マターに告げる。
「貴様はガタノアの力を使い、グレースを石化した。ガタノアの眼光を見た人間は、体が石になってしまう。そうだろう?」
その言葉を聞いて、レオとウェイガの動きが止まる。
レオは、グレースからその話を聞いたことがあった。しかし、レオはおろか、グレースすらもその能力は神話上の物だと考えていた。
まさか、その力が本当の物だったとは。
対して、マターは不敵に笑う。
「さて、本当ならここで一思いに石化してもいいのですが」
マターは一拍置き、
「私としても最強のジムリーダーの実力に興味がありまして。貴方と一度戦ってみたいんですよ。貴方を打ち負かし、そして石化させれば、私はウチセトで一番強い者だと証明される」
「ほう。伝説のポケモンの力に頼らないと世界を支配できない程度の力しか持たない男が、俺に勝つというのか?」
その言葉に、マターの笑顔が一瞬消えるが、
「その言葉が何を意味するか私には分かりませんがねえ。ま、覚悟した方がいいですよ」
再び不気味な笑みを取り戻し、マターはボールを取り出す。
ザントのその言葉に、とてつもなく深い意味が込められていることも知らずに。
「レオ、ウェイガ。チャンピオンとそのポケモンをどけろ。バトルの邪魔になる」
グレースは後ろの二人に指示し、
「さてイビルのボスよ、終焉の時だ。その程度の力では世界の征服など到底出来ないということを証明して見せよう」
「足掻く権利くらいは認めましょう。それを叶える権利があるかどうかは分かりませんがね」
最強のジムリーダー、ザントと、イビルの総大将、マター。
グレースが動けない今、ウチセト地方トップ2の二人が、戦闘態勢に入る。