二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 499章 善戦 ( No.736 )
- 日時: 2013/03/06 01:38
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「うーむ……ティンの奴どこ行ったんだ……?」
きょろきょろと辺りを見回しながら歩を進めるのは、迷彩柄の服に漆黒のコートを着て、無造作に跳ねた緑色の髪の男。
7P、フォレスだ。
「時間に遅れたのは悪いと思うが、いつもならビオトープで待ってるはずなんだがな……うーむ……最近、なんかあいつ変じゃないか?」
その変になっている原因が自分にあるとは露ほども思っていないフォレスは、ティンの行きそうな場所を片っ端から当たっていくが、一向に見当たらない。
「つーか変なのはティンだけじゃねえか。フレイもアシドも、エレクトロもドランもレイさんも……あと、俺もか」
自分ではあまり自覚がないが、少なくともフレイやアシドは変わったと言っている。長い付き合いのフレイと、変化の原因をほぼ突き止めているアシド。この二人が言うのだから、つまりはフォレスも変わったのだろう。
「変わりねえのはガイアくらいだろうな……あの揺るぎのなさ。ゲーチスの目的とのシンクロ率。やっぱあいつが、俺たちのリーダーなんかね……」
仕切っているのがエレクトロであるが故に、どうしてもガイアがリーダーであるという感覚がないフォレスなのだが、最もゲーチスに近いという形でいえば、やはりガイアがリーダーに相応しいのだろう。
「それに、トップは参謀に従う方がいいともいうしな……いや、実際の参謀はゲーチスか……」
などと呟きながら歩いていると、焦炎隊の居住区まで来てしまった。
「期待薄だが、こっちも覗いてみるか」
いるとしたらあの忍者んとこだろう、と言って廊下を進み、中程まで到達すると脇の襖を静かに開く。
「む……今日は客が多いな。何用であるか」
中にいたのは、座禅を組んでいる忍装束の男、ハンゾウだ。
「野暮用だ、すぐ済む。なあ、お前ティン見なかったか?」
あまり期待していなかったのだが、ハンゾウの返答は、
「どちらもこの部屋に来たぞ。ティン殿は相当興奮していたようで、すぐに出て行ってしまったがな」
というものだった。
結局所在は知れなかったが、どうやらティンはそこら中を駆け回っているようだ。
「……あ、そうだ。一つ頼まれてくれねえか? フレイなんだが、たぶんまだ部屋で寝てると思うんだ。起こしといてくれねえか?」
「それは心配無用だ」
「あ?」
どういう意味だ、とフォレスは問う。
「ついさっき、フレイ殿は自力で拙者の所に来られた。そして今しがた、レイ殿と共にいずこかへと行ってしまった」
「そうか……珍しいな、あいつがこの時間に起きてるなんて。まあいい。ありがとよ、邪魔したな」
一応の礼を言って、フォレスは襖を閉める。
「……さーて、あいつは本当にどこいったのやら」
炎を消し飛ばした刹那、地面からノコウテイが飛び出す。
「それも想定済み! カンカーン!」
ティンが叫ぶと、カンカーンは地面からさらに土砂を噴射。尻尾を振り下ろすところだったノコウテイを攻撃し、態勢を崩す。
「今よリザードン! ダイヤブラスト!」
空中で、しかも態勢の崩れたノコウテイでは、至近距離からの攻撃は回避も防御もできない。その隙を狙い、リザードンは白色に煌めく衝撃波を放つ。
「やっばー……レイー」
「はい……ヤミクラゲ、悪の波動です」
しかしそこは7Pの紅二点。すぐさま意思疎通をし、レイがフォローに出る。
ヤミクラゲは悪意に満ちた波動を束ねて発射し、遠くから衝撃波にぶつけて相殺した。
「続けて気合球です……」
「こっちも攻めるよー。ノコウテイ、ドラゴンダイブだー」
ヤミクラゲは続けて気合を込めた球体を放ち、ノコウテイも跳び上がってカンカーンとリザードン目掛け急降下。
「リザードン、エアスラッシュ! カンカーン、怪しい光!」
リザードンは空気の刃を無数に飛ばし、気合球を相殺。さらに残った刃でヤミクラゲも切り裂く。
カンカーンは怪しい閃光を発してノコウテイの動きを止め、混乱状態にする。
「ソーラービーム!」
そして太陽光を集めた光線を発射。至近距離からの大技を食らい、ノコウテイは吹っ飛ばされた。
「おぉー、やっるー。しかも混乱かー、面倒だなー……レイー」
「はい……ヤミクラゲ、悪の波動です」
ヤミクラゲは再び悪の波動を発射。しかし連射でもなければ束ねてもいない。むしろいつもよりも波動の小さい攻撃だ。
波動はカンカーンに向かっていく——が、途中で大きく進路を変える。そして——
——ノコウテイの顔面に直撃した。
「っ!?」
味方に攻撃するという奇行を目の当たりにし、ティンは驚愕する。戦慄と言ってもいいかもしれない。
ダブルバトルは、如何に味方へダメージを与えないかが重要だ。地震や放電などの技は、威力が高く攻撃範囲も広いが、味方にもあたってしまうのがネック。そこを如何に工夫するかがポイントになるわけで、味方にあえて攻撃を当てるということは、普通のバトルでもそうであるようにまずありえない。
勿論、あえて味方の体力を削る。あえて味方を倒す。などといった戦法もないわけではないが、ヤミクラゲやノコウテイの特性、覚えている技から判断するに、その手のコンボはまずない。
ならばなぜ、とティンは疑問符を浮かべるが、その理由はすぐに明らかになった。
「ノコウテイ、スピンテールだよー」
ノコウテイは回転しながら跳び上がり、空中のリザードンへと尻尾を叩き付け、地面に落とす。その攻撃には一切の迷いがなく、よく通った指示だった。
率直に言って、ノコウテイは混乱してなかった。
「まさか、さっきの悪の波動で……?」
「まーねー」
つまりフレイは、味方の技を喰らって強引に混乱状態を解除したようだ。のほほんとした空気感のある少女だが、意外とやることが大胆だ。
「んじゃー次ねー。ノコウテイ、怒りの炎だー」
着地したノコウテイは怒り狂ったように燃える業火を放ち、リザードンとカンカーンの視界を塞いでしまう。
「潜るだよー」
そしてすぐさま地中に潜る。また怒りの炎を目くらましに使った奇襲だろうか。
「ヤミクラゲ、悪の波動……」
ヤミクラゲも悪の波動を連射する。しかし、
「だからもうそれは読めてるのよ! リザードン、ダイヤブラスト最大出力! 悪の波動ごと消し飛ばしなさい!」
太陽光を受け、最大の火力でリザードンは煌めく爆風を放つ。爆風は怒りの炎と、同時に襲い掛かってきた悪の波動をまとめて相殺し、消し飛ばしてしまう。
直後、地面からノコウテイが這い出る。
「カンカーン、ソーラービーム!」
だがそこにカンカーンのソーラービームが発射され、ノコウテイは地中に逆戻り。カンカーンから離れたところからまた出て来た。
「……そろそろですか」
ヤミクラゲの立ち位置を見遣り、ポツリとレイは呟いた。
第四節その三。終わらなかったですが、それにはれっきとした意味があるのです。それは次回明らかにしますが。それはさておいて、久々にフォレスが登場した気がしますね。なんだか最近はよくフォレスの名前を出していたような気がするのですが、こうして登場させるのは久しく感じます。錯覚か本当に久々登場なのかは、読み返せば分かる事ですがね。そういえばガイアの名前も本編で久々に出ましたね。名前だけですが。フォローとかされちゃってますが。そしてティンのバトルですが、ティン、結構善戦してます。未解放とはいえ、7P二人を相手に結構押してますよ。二人はまだまだ余裕な感じですが。ではあとがきもこの辺で。次回こそは第四節、終了です。お楽しみに。