二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 練習 〆 003. ( No.18 )
- 日時: 2011/10/11 17:39
- 名前: 兎子. ◆.UAIP8bSDA (ID: HbGGbHNh)
- 参照: 戦闘シーン
「——まさか君と闘う日が来るとはね、姉さん」
「嗚呼……、」
カツ、カツとヒールと床が擦れ合い音を立てる。
無機質な部屋の中に立つ二人の姉弟は——王牙学園の行事の一環である戦闘シュミレーションを今まさに行おうとしているのだ。
シュミレーションとは言え、実際に相手が気絶するまではやるのだ。最も、手にしていい武器はスタンガン、武術等、出来る限りの死傷者が出ないように工夫されているものなのだが。
其れでもスタンガンなどを駆使すれば人が死亡する場合も考えられる。
命がけのシュミレーションは、まるで少女のような外見をした弟、ミストレーネ——通称ミストレ——にとって、姉よりも優秀ということを周囲に刻み付けることのできる行事だと捕らえている。
そのやる気は十分で、姉であるエリスレーラ——通称エリス——は微かに口元を緩ませた。無論、弟を勝ちさせるなどと言ったことは微塵も考えては居ない。相手を倒すことだけを考えている。
「——戦闘開始.」
矢張り無機質な声が響き渡り、双方が駆け出す。
広い一室は防音にもなっており、外部へ音が漏れることも無ければその強化ガラスが割れることも有り得ないつくりになっている。
つまり、何をしても誰にも何も言われない場所なのだ。
ミストレーネは駆けだしたまま大きく跳躍し、エリスレーラの端整な顔に踵落としを食らわせようと大きく足を振り上げる。しかし、エリスレーラはミストレーネの動きを読んでいたかのように反射神経を生かしその場から飛びのいた。
チッと忌々しげに舌打ちをしてミストレーネは再度体勢を立て直しエリスレーラの足首を狙いサッカーを生かしたスライディングにも似た足払いを掛けた。
「甘いね、ミストレーネ」
「なっ……!」
ぴょん、とあまりにも軽く跳躍したエリスレーラがスライディングを掛けてきたミストレーネの頭上を越え、スタッと着地してみせた。
そして何処からか持っていたスタンガン二丁を取り出してはバチバチを青い閃光が奔る。
「っくそ!」
ギリッとエリスレーラを睨みつけ、ミストレーネは己もサバイバルナイフを取り出した。其れは殺傷能力はあるものの、"反則武器"にはならない。
箇所によってダメージが異なるからだ。
一方が気絶又はリタイアするまで続けられるこの戦闘をエリスレーラは何処か楽しんでいるような口ぶりで言う。
「ミストレーネ、隙だらけ。バダップ君とは大違いね」
ふふ、と綺麗な笑みを浮かべエリスレーラは大きく跳躍した。なっ、と急いでナイフを構えるミストレーネだが少し反応が遅れたのが致命傷となったのか気付けばエリスレーラが自身を組み敷いておりその端整な顔はぐしゃりと屈辱に歪んだ。
バチバチとミストレーネの目前でスタンガンが嫌な音を立てる。
「顔はやめろっ……姉さん、うあ、」
目の近くへスタンガンを突きつけるとミストレーネは珍しく弱弱しい口調でそう言葉を紡ぎ出した。
エリスレーラは屈辱も恥も気にせず命乞いにも似たことをする弟を見下すように一言呟いた。
「嫌だ——ミストレーネの顔をぐちゃぐちゃにしてあげようか」
ひっ、とミストレーネの口から嗚咽が零れ、目が見開かれる。
スタンガンは段々と近づいて来て、バチリと最後の音が聞こえたかと思うと強い衝撃の後、ミストレーネは意識を飛ばした。
+
目を覚ませば、白いベッドが目に入った。
首のあたりに鈍い痛みが走る。——嗚呼、姉さんに、オレ。
負けた屈辱は別に無いものの、悔しさだけが込み上げてくる。ぺたぺたと顔を触ってみたものの包帯も無いし傷付いたあとも見受けられない。
安堵したように息を吐いてミストレーネは静かに息を吐いた。
「——何で、」
◇
何で、まだ追いつけねえんだろう。
ミストレはエリスのことを本当は憧れ慕い追っているのに追いつけないもどかしさ、とか。
戦闘シーン難しいようぐぐ。
10/11-兎子〆