二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.192 )
- 日時: 2011/12/14 16:39
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
34話「傷み」
声がした。とても強い声
泣き叫ぶような、声
「ターナぁぁあ!避けてぇぇぇええぇっ!!!!!」
「----え?」
間に合わない、誰もがそう思った
突き飛ばす腕
崩れる身体
ナイフが身体に刺さる鈍い音
倒れる身体
「クッ!…ルー…ナ…?!!」
見開かれる目
ターナの目の前には蔦を無理やり解き
荒い息をして、横腹のあたりの服を赤く染め倒れるルーナの姿
「ルーナっ!!!!!」
すぐにターナがルーナに駆け寄り抱きかかえる様に上半身を起こす
「タァ…ナ。役に立っ、た…で、しょう?」
苦しそうに息をしながら言う
「ルーナ…ルーナぁ!」
ターナは今までの冷静な冷静な表情とは違い、辛く、悲しみの表情をしていた
「ねぇ…ターナ。忘れ、ないで………ターナ----------------------------------ありがとう」
泣きながら言うルーナ
それを聞くとターナはすぐに
「何言ってんだ!!!ルーナァっ!!!!」
ルーナの横腹の傷口を抑えるが血が溢れる
ナイフの飛んできた方向で何かが動いた
それに気づき円堂はその方向に向かう
笑う少女
辛そうに、苦しそうに
だけど、笑うことをやめない
「ター…ナ。私は…いつでも味方だよ。独りじゃないよ…だか、ら…大丈…夫…だよ…ごめん…ね」
ルーナは泣きながら言う
ありったけの笑顔で。儚く笑いながら
「ルーナっ!!!!ルーナぁぁぁぁぁああぁぁあああ!!!!」
ターナの声が森全体に響き渡る
ルーナを抱えたまま崩れるターナに
「ターナっ!任せて…お願い」
舞衣香が言う
「絶対に助けるから」
菜乃香が続く
秋は自分の持っていた布きれをルーナの傷に当て、止血をしながら
「私達は…人が苦しんでいる処を見たくないの」
「…頼むよ…言えた立場じゃないのは、分かってる…だけど。ルーナは助けてくれ!」
その言葉からはターナがどれだけルーナを大切に思っているかが伝わった
舞衣香がルーナを抱え走る
その後を菜乃香が感情のブレーキが外れ泣き続けるターナを背負って走る
秋はその間も止血を続ける
着いたのは城の医務室
医務室の外にはターナと舞衣香
「私は医療とか苦手でね。大丈夫。菜乃香も秋も…そっち方面の知識も実力もあるから」
舞衣香はターナに言い聞かせる様に言う
「…僕が、僕のせいで…」
「ターナ…暗い。暗いわ…アンタのせいじゃない。アンタがそう思ったらアンタを庇ったルーナの思いはどうなるの?」
「ルーナの…思い?」
ターナは聞く
「そう。ルーナはアンタを庇った。それは、アンタが大切だったから。アンタを“守り”たかったから」
後悔で泣くターナを横目で見ながら舞衣香は
「泣け。泣きたいだけ…全て一度吐き出しな。苦しみも、悲しみも」
「嗚呼…今日は雨ね…」
静かな廊下その言葉だけが響いていた