二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.324 )
日時: 2012/01/13 20:00
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 64話「幼き声」

 何もない空間に深々と降る雪

  溶けることのない氷の結晶

 中に封じ込まれるは------------






「…お前との決着はまた今度な」
緋色の少年は言い、その場から消える

残るは少年の笑い声のみ



「つららちゃん!!」
吹雪はつららの元へと走る

つららは虚ろな目をし吹雪の方向を見る
何も映っていない様な虚ろな瞳は光すらもなかった

「っ!…つららちゃん?」
吹雪はつららに話かけるがつららは反応をみせない






「…しろう?」
微かな声でつららが言う
「つららちゃん!大丈夫?!!」
吹雪が言うが


「…アツヤ」

つららが呟く


「え?」







誰よりも弱いのは私だった

君はもう、前へ進んでいるのに…私はいつまでも此処にとどまり続ける


私は、前に進んでいるんじゃない

逃げているだけ


それは、誰より私が知っている






「あの頃のままでいたい」


溶けることのない氷の結晶からは聞こえるは


幼い少女の悲しい叫び