二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼   ———刹那の契り ※イラスト描きます ( No.10 )
日時: 2012/10/08 08:50
名前: 亜鶴 (ID: V9P9JhRA)

今日やっとテスト終わりました。

さあ〜更新しなきゃっ・・・!





 第一話  雪の華 



京—————



寒い夜だった。ヒラっと白い雪が空から降ってきた。まるで雪の華のようだった。月明かりに照らされ、雪の華はきらきらと光り輝いている。
宝石のように美しく、幻想的だった。でも直ぐ様に刹那に消える。幻しを見ているようだ。あいかわず夜の京はシーンッと音を立てず、静かだ。昼は商人の声や子供たちの声、笑い声でにぎやかなのだが、夜はまったくの別の世界と言う感じがした。

そんな中「ガララッ」とある店の戸が音を立て、開いた。中から少女と女性が出てきた。店の前で二人はお互いの体を向けた。
「琴音ちゃん、お先に。悪いねぇ、片付けやらしちゃって」と言う。少女は微笑んで「いえ、お菊はんに片付けなんてやらせられませんよ〜
」と言った。「ほなさいなら」と手を振り、体を帰るべき方向に向けた。そのまま歩き出す。
「お菊はん、ほなさいならっ」愛想よく少女は女性の背に声をかける。女性はチラッとこちらを見て、微笑んだ。その微笑みにつられ少女も微笑んだ。



いつの間にか女性は遠くの方にいて、暗闇にのまれていった。見送ると、ため息し、((人手が足りないっていうのに・・・まあ〜しょうがないかっ・・・お菊さんは一番人気の舞妓さんなんだしね・・・
私もいつかは一番人気な舞妓さんになってみせるっ))と心に決意した。一番人気の舞妓は店のしたくや片付けをしないでいい、先に帰ってよいのだ。店のしたくや片付けとうは、新入りの舞妓がやっている。
この少女は入ったばっかりの新入りの舞妓、これからが一番たいへんなのだ。

店の掛かっていたのれんをくぐり、店の中に入ろうとした・・・。

突然だった。外から少女の腕が誰かに引っ張られた。少女は驚いていた。そのまま外に引っ張られた。そこには浪士が一人いた。
「おいっ!小娘、酒を用意しろ」と荒っぽい口調で娘に言う。


「あの・・・申し訳おまへんが、もう閉店の時間やので、お引取りください
。」と断る。でも引き取ろうとしない。浪士は強い力で少女の腕を握る。痣ができるほどの痛さ。「いやあああ、痛いっ!!離してっ!!」と嫌がる少女を見て、浪士は笑っていた。
「じゃあ、違うところで飲めばいっ!!行くぞっ!」と引っ張る。
「いやっ行きません————っ!!」と叫んで、瞳からは涙が溢れでていた。


「離してあげてください!!嫌がってます!!」と少女と浪士の左側に少年が立っていた。少年は勇ましかった。浪士は少年を睨み、舌打ちした。「何だ〜?小僧っ!うるせえぞっ!!」とシーンとしていた京に浪士の大声が張り詰めた。少年は浪士を睨む。
「その目つきはなんだっ!?生意気なガキめ!!」とイラつき始めて、少女を地面に突き飛ばした。「きゃあ!!」と悲鳴をあげた。ドンっ!と店の壁に背中を思いっきり当たった。痛そうに苦しそうな表情をした。少年は少女を心配し、「大丈夫ですか!?」と駆け寄って、声をかける。少女は苦しそうにしながらも、微笑み「大丈夫どす・・・」と言う。そんな少女を見て、少年は我慢できなくなった。

「あなたはそれでも男ですか!!最悪です!!女の人に暴力を振るうなんて、最低です!!」と言った。少年の目は真剣だった。
「その小娘が言う事を聞かないからだ!」と笑いながら、言った。

「だからって・・暴力を振るうなんて最低です!!彼女に謝ってください!!」

「ふざけんじゃねえ、俺はあやまらねえぞ!!この生意気なガキめ!!他人の心配をすんじゃなく、自分の心配をしたらどうだ!!!」と言って、浪士は左腰に差していた刀をさやから抜いた。少年は戸惑い、目を瞑り、とっさに少女を自分の体でおおいかぶさるようにかばった。二人の頭の五十センチぐらいのところに浪士は刀を構えた。



その時だった・・・!!
「無茶をするな」と浪士以外の男の声がしたと同時に、目を開け、前を見ると、浪士は地面に倒れていた。浪士の立っていた位置を見ると、そこには刀を持った男の人がいた。「斎藤さんっ!!」と少年は高い声を上げた。その男の人は少年を見ている。きっと仲間なのだろう。少年はほっとし、少女に覆い被さっていた自分の体をどけた。
「あの・・・この人斬ったんですか?」と少年は恐る恐る聞いてみた。


「斬ってはいない・・・峰うちだ・・・」男の人は冷淡に答え、刀をさやにしまった。
「よかった・・・」と少年は安心していた。
「僕なら、斬っちゃうけどな」と暗闇からもう一人の男の人が出てきた。その人はニコニコ笑っていた。少年は「沖田さん、やめてくださいよ〜」と言い、苦笑いしていた。

少女は地面に腰を下ろしたまま、うずくまっていた。怖がって、こちらをちらっと見た。すると、少年と目が合い、手を差し伸べてきた。「大丈夫ですか?」と心配しながら。その差し伸べてきた手につかまり、立ち上がった。少年の手は冷たく、小さかった。


「あの・・・助けてくださいまして、おおきにどした。」と丁寧に少年に向かってお礼を言う。少年は照れて、「助けてくれたのは、斎藤さんですよ。私なんか何にも・・・」と言った。少女は微笑んで二人にお辞儀した。顔を上げると、少年は「怪我していませんか?」と心配して聞いてきた。「いえ」と言い、後ろに手を隠した。手のひらからは血が出ていた。さっき、突き飛ばされた時に地面に転がっていたとがった石に軽く刺さってしまった。でも傷はすぐ塞がり、癒えてしまった。血がついているのに傷がないのは不自然とおもわれるのではないかと思って、少女はとっさに手を隠した。

((まただ・・・またすぐに傷が塞がってる・・・どうしてなんだろう・・・))と少女は疑問に思った。
自分が普通の人間ではないのだと思った。そんなこと考えていると、顔がこわばった。その様子を見ていた斎藤という男の人がたずねてきた。


「どこか悪いのか?」
「え?」
「顔がこわばっていた・・・」
「あっ・・・すんまへん。」と黙り込んで、また顔がこわばった。それと同時に心の中でため息をした。((あ〜もう・・・心配されてる・・・))と思う。うその笑顔を作り、話を切り替えた。


「私、橘琴音と申します。あの、今・・・時間空いていますか?」と自分の名を名乗り、尋ねてみる。三人はえっ?という顔をした。少女、橘琴音は答えた。
「私、ここの店の舞妓を勤めていまして、貴方たちにお酒をご馳走します。お礼がしたくて。」と言う。すると少年が「そんなっ!お礼だなんて、いいですよ!」と遠慮した。「いえ!させてください!!」と粘り強くたのんだ。

「じゃあ、飲ましてもらおうよ?」と沖田という男 の人が言う。店の中に入る気満々だった。
「待て!総司!寄り道などしたら、副長に叱られるぞ。」と斎藤は言う。すると、沖田が振り向いた。「いいじゃん!千鶴ちゃん、入ろう?」と少年の名を呼んで、誘う。少年は「あ!沖田さんっ!!待ってください!!」と沖田のあとを追って、店の中に入っていった。

店の外に残された斎藤はため息をついた。「まったく・・・」とつぶやく。すると琴音を見つめた。
「遠慮なくご馳走させてもらう。すまないな。」と微笑んで、中に入っていった。



((閉店時間なのに・・・お客さんを入れてしまった。私、馬鹿だな・・。))と心の中でつぶやいて、店の中に入っていった。







          つづく・・・



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