二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照900超感謝】 ( No.127 )
日時: 2012/06/14 17:18
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

66話「重大発言」

沈黙を破ったのは、不知火の笑い声だった。
海「な、何ですいきなり!?」
匡「くく、く。海、馬鹿言うなよ。いくら長州鬼頭の俺でも
  他鬼の里に簡単に出入りはできねぇ。お前だって分かってる
  だろーが?」
海「さ、里長である私の許可があれば……!」
匡「おいおい、そら職権乱用ってやつだぜ?今さら里長の権限を
  持ち出しても、効果はねぇよ。」
言い返された言葉はまるっきりの正論である。海は悔しくなって
唇をかんだ。
海「………クソッ。」
項垂れた海をちらりと見て、不知火がぶっきら棒に言った。
匡「ま、お前の里には入れねぇ事はねぇが、な?」

そのころ、新選組屯所一室……。
千「近々、海達が此処を責めて来る事は考えられる。
  勿論狙いは彼女、千鶴でしょう。」
君「今回は風間家の御当主も参戦するやもしれま
  せん。」
平「その前にさ、血判が狙われないわけ?」
千「いくら海でも、もう里には入れないわ。表上、
  裏切り者なのだし。」
雪「そうですね、海さんしか知らない隠し通路
  とかがあったらすごいけど……」
その発言で、千と君菊の動きが止まった。
雪「……へ、あれ?」
土「何だ?どうした?」
君「姫様っ!!」
千「えぇ、それならあるわね!!」
空「あのぉ、何があるんですか?」
千「貴方と海が幼いころ使っていた、森の小道。
  貴方達は知らなかったでしょうけど、あの道を
  抜けた目の前は、里の歴史倉庫なのよ!」
空「えぇぇぇぇぇええっっ!!!?」
雪「もしかして私、重大発言しました…?」

そのころ、海と不知火は
海「どういう意味です?入れないと言いだしたのは
  不知火さんですよ?」
匡「お前の一族は千姫さん直属だが、その故どの
  鬼の家とも関係を持っている。それは知ってる
  よな?」
海「はい。不知火さんも風間様も、我が里にいらし
  た事があるのですか?」
匡「あぁ、一回な。お前らがまだ五つ位の時か?
  お前ら、森の小道使って二人で遊んでただろ?」
当時の幼さを思い出してか、海が顔を伏せる。しかし
その顔は同時に、懐かしく悲しそうでもあった。
匡「で、お前ら知らなかったと思うがな。あの小道を
  抜けた目の前に、蔵があったの覚えてるか?」
海「はい。近づくなと言われていたので、入った事は
  ありませんが。」
二人の質疑応答で話は進む。
匡「お前が持ち出して来た里の書。あれも資料とし
  ては上等だが、血判とは比べ物にならねぇ。
  そういう資料を保管しているのが……」
そこで不知火がニヤッと笑う。まるで海に、
『もう分かっただろ?』とでも言うように。
海「まさか、それがあの古い倉庫だと!?」
不知火が頷くのを見て、海が絶句した。
海「私はなんて鈍感なんだっ…!!」
匡「ま、そういうこった。あの道を使えば、血判を
  盗めるぜ。」
海「………行きましょう。」
絶句から立ち直り、海が凛と立ち上がった。