二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 銀魂・オリジナル小説 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/14 20:15
- 名前: みーぽん (ID: ouuVQhrA)
とりあえず、第一話。
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彼女たちの日常
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「ただいま帰りました〜」
「ただいま」
見廻組屯所の一角で、ここでは珍しい女子たちの声が聞こえてきた。
ツインテールのまだ幼さの残る顔の少女と、黒髪ロングヘアの整った顔立ちをした少女。
二人は、此処、見廻組の隊士。
なぜこのような少女たちがこんな組織に居るのか。
´´´´´
二人とも、様々な事情があるのだろう。
一見、普通の少女に見えても、この二人はただの女の子ではない。
ツインテールの少女・水無月美琴は、まだ15歳にもかかわらず、隊内最強のコンピューターの使い手。
作戦の計画やバックアップはお手の物で、
『コンピューター使いのエリート』と呼ばれている。
もう一人の黒髪の少女の名は、今井信女。
無口・無表情・無感動の三拍子が揃った、美琴より2歳ほど年上の少女。
主に刀を使って『仕事』を行う。その正確さから、
『殺しのエリート』と呼ばれている。
この二人は、見廻組で二人きりの女隊士だ。
今日も、『仕事』を終えて自室に帰ってきたばかり。
信女と美琴は相部屋で、12,3畳ほどある部屋を二人で使用している。
部屋の中にはぬいぐるみや本が散乱していて、一見すると『普通の少女』の部屋にも見える。
ぱちり。
美琴が電気のスイッチを押した。
「ふぁ〜、眠い…」
部屋の左隅、ノートパソコンやデスクトップパソコンが置かれている机に向かい、
ぱさり、と髪のリボンをほどく。
その後ろから、信女が音も立てずに部屋に入り、
謎の電子機器であふれている美琴の机に比べ、かなり整頓されている机に座る。
と同時に、ゴン、と音を立てて机につっぷす信女。
「ノブちゃんっ!?」
驚いて信女に駆け寄る美琴。
「だ、だいじょーぶですか?」
信女は、半開きの目のまま、顔を上げた。
そしてひと言。
「ドーナツ食べたい…」
「ああ、そっちですか…」
呆れ顔になる美琴は、信女に言い聞かせる。
「まったく、いくらなんでもポンデリングの食べすぎですよ?カロリーどれだけあると思ってるんですか?」
「200Calくらいでしょう?」
「正確には225Calです」
「…焼きドは低カロリーだから大丈夫」
「とか言って昨日もポンデリング食べてましたよね。5個くらい」
「・・・」
黙りこむ信女。どうやら、図星を突かれたらしい。
「…あなたの言うことには何も反論できない」
そう言うと、ムクリと起き上がった。
「じゃあ、さっさと書類片付けちゃいましょうか」
美琴が声をかけると、すでに信女は黙々と書類を書いているところだった。
相変わらず、一度スイッチが入ると、てきぱきと仕事をこなす人だ。
それを見て、美琴も赤いフレームの眼鏡をかけ、作業を開始した。
今書いている書類は、数日前に起こった、攘夷志士・真選組との戦闘に付いての報告書だ。
美琴は実戦には参加していないが、裏での作戦指示などを行った。
信女は、現場での敵襲や、真選組隊士との戦いも行ったのだ。
一度に色々な事が起こりすぎた事件だったが、とりあえず解決はできた。
しかし______
その日から、信女の調子が若干おかしくなっているのは気のせいだろうか。
普段から、あまり感情を表に出さない信女だが、長年付き合っている美琴には分かる。
溜め息をよくつくようになったり、普段の彼女ならありえないようなミスを犯したり・・・
やはり、何かおかしい。
そこで、美琴は単刀直入にカマをかけることにした。
「ノブちゃん、この前の事件についてなんですけど…」
「何?」
「あの時、あなたと戦ってた真選組の隊士さんがいましたよね?」
「それが?」
少し間をおいて、美琴がいった。
「ノブちゃん、もしかして、あの人のこと・・・
好き、だったりしますか?」
沈黙が、訪れた。
先に口を開いたのは、信女だった。
「なな、何言ってるの?そんな訳…ない…わよ」
(やっぱ図星だったか!)
心の中で、グッジョブ!とする美琴。
「だって、あの時遠くから見てたけど、二人っきりで何話してたんですか?
あの後すぐバトルになったからよく分からなかったけど…」
「…別に、何も無いわよ」
(これはキター!!絶対そうだー!!)
心の中でヒートアップする美琴。
「本当に、何も無いんだから。あなたの勘違いよ。」
「じゃあ、あの人のことは何も思ってないんですか?」
「さあ。ただ、ちょっと・・・
私と同じ目をしてるなって、思っただけ。」
「え?どういう意味ですか、それ」
「秘密」
そう言うと、信女はまた作業に取り掛かった。
「え〜、教えてくださいよー」
「教えない」
「何で〜」
そうやって、二人が他愛無い会話を繰り広げていると。
ガラリ、とドアをあけて、此処・見廻組の局長、佐々木異三郎が部屋に入ってきた。
「午後9時15分、大江戸デパートにテロリスト。至急出動」
それだけ言うと、すぐに部屋から出て行った。
すると、部屋の空気が一変した。
美琴の顔からさっきまでの笑いが消え、無表情になった。
信女も、無言で手元の刀を握る。
二人とも、『仕事』モードに切り替わった。
「私は現場に向かう。美琴はコンピューターを起動、すぐにテロリストの情報収集を」
「了解です」
すぐにそれぞれの仕事に向かう二人。
すでに、先ほどまでの他愛話は頭の中から消えている。
この少女たちの日常は、いつもこのようなもの。
普通の少女のような暮らしはこの先も、きっと、出来ないだろう。
様々な想いを抱きながら二人は、また人を殺める。
信女が出て行った部屋で、美琴がぽつ、と呟いた。
「いつか、普通の女の子みたいな生活、してみたいな・・・」
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