二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【薄桜鬼】 死神少女と約束の桜 ( No.36 )
- 日時: 2012/01/23 18:13
- 名前: 雛苺 (ID: X9g0Xy3m)
- 参照: 元・悪魔ビビでございます。
第10話
「あの時ってどういう------------------」
「伊織ッ!!ここにアイツ来なかったか・・・あ」
勢いよく部屋に駆け込んできた昴と驚いた土方の間に変な間が出来る。
「おい。なにしてんだよ」
昴が伊織を庇うように前に立ち土方を睨んだ。伊織は昴が土方が伊織に何かしに来たと誤解していることに気付くと慌てて昴の前に立った。
「違うの昴!土方さんは傷の事謝りに来てくれたんだよ?」
「・・・・・・」
一瞬驚いたように眼を見開き土方を見る。しかし昴は再びその瞳に鋭さを出した。
「・・誤解した事は謝る。だが----------------俺はお前を許さない!たとえ伊織がお前を許しても俺は絶対に許さないからな!!」
「昴・・」
「明日の朝道場へ来い。お前らの腕を見る。場所は千鶴が案内する」
土方は昴を睨み返し、小さく言うと部屋を出た。
「もう二度と来んなっ!!伊織!塩まけ!塩!!」
「はぁ・・・」
まだツンツンとしている昴を見上げ溜息をついた。そして冷ややかな瞳で昴を見る。
「昴・・私、これチャンスだって言ったよね?」
「う・・・で、でもよ」
「でも、じゃない!!これで約束が先延ばしになったらどうしてくれるの!?」
「・・・・ごめん」
しょぼんとする昴を見て伊織はまた溜息をつくと、眉を下げて笑った。
「でもありがと。怒ってくれて---------------私はもう怒れないから」
「伊織・・」
哀しそうに微笑む伊織をみて昴は静かに名を呼ぶ。
伊織が”約束”を叶えるにはたくさんのモノを失う必要があった。しかし、伊織は迷いもせず”約束”の為に全てを差し出したのだ。
「怒れないってどういう意味だ・・?」
部屋の外で聞き耳を立てていた土方は、伊織の言葉に眉をひそめる。あの2人は謎だ。それと同時に危険対象でもある。土方は伊織が言った”あの時”という言葉を不思議に思いながら部屋を後にした。