二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.5 )
日時: 2012/03/11 15:02
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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その日、セナは白ひげ海賊団に泊まることになった。
勿論その日は宴で。
しかし、宴の中には主役はいなかった。

ゆらり、ゆらり。船は、そんな効果音でもつきそうなくらい、ゆっくりと揺れている。敵戦も来ないとは、さすが白ひげ海賊団だ。
セナは、手すりに凭れかかり、海を眺めていた。その悲しげな瞳で。海は、ザザーン、と静かに波を立てている。エースは、飲み物を片手に、セナの隣に立った。


「……どうしたんですか?エース様。」
「、あんなァ。エース〝様〟ってのやめねぇ?」
「…それでは、何と呼べばよろしいのですか?」
「エース。」
「…え?」
「エースって、呼べよ。」
「…それは、無理です。」
「ッなんでだよ?」
「私は、これ以上、愛する人を作るのが、恐いのです。人はいずれ死んでしまうのに、私はそれを、ただ見守るだけ。私は、死ねないんです。
ずっと人は死んでいくのに、私だけ、何も変わらない。つまり、エースさんとこれ以上仲を深めていきたくないのです」


セナは絞り出すように声を出して、夜空を眺めた。
それを聞いて、エースは、黙った。
夜空には、流れ星。
エースは問う。


「……願い事は?」
「……………叶わない事は知っています。でも、この願い事だけは実を食べた後からずっと変わりません。






 ——願わくば、この身など、消えてしまいたい。」


涙が、セナの頬を流れた気がした。
エースは、セナと自分は似ていると思った。



生まれて来てよかったか、
そんな問いとは裏腹に、心の隅で生きたいと願う自分。

生きていたくなくて、
心の隅どころか、全力で死にたいと願う彼女。

逆。
自分と、彼女は逆。
でも、何処か、何故か似ていると思った。



「……私が、生まれてきた中で一番自由だと思う海賊がいました。」
「…それは、誰なんだ?」
「…君が一番、憎む海賊です。」
「!!……海、賊王……」
「…ゴール・D・エース。
 貴方の本当の名は、これですね?」
「…ああ。でもおれはアイツを父親だとは…」
「エースさん。惑わされては、駄目です。周りの人は、ロジャーの、君の、何を知っている?何も知らない彼らが言う非難の言葉等気にする必要が無いのです。貴方は、愛してくれている人々より、何も知らない彼らの言葉に惑わされるのですか?……生まれて来てはいけない人等、いないのです」


エースの目から、涙が零れた。
あの問いの答えを、聞けた気がした。
それと同時に、エースは、セナは自分より辛いものを背負っていると悟った。



「…有難う。」
「……こちらこそ、生まれて来てくれて有難う御座います。」
「!!!!…ああ!」


セナはニコリと笑って、用意された部屋に入っていった。




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