二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【APH】 君 ニ 花 ヲ 捧 ゲ ヨ ウ ( No.18 )
- 日時: 2012/04/11 18:05
- 名前: 陽菜 ◆y/0mih5ccU (ID: c9ok9eqZ)
第九話 「 別 れ 」
※うーん、ちょっと流血シーンがあります…。
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それから、空襲も度々起こり、"壕"と呼ばれる洞穴に皆避難していた。
一体、何人の人が死んだだろう。
一体、何人の人が殺されただろう。
お国のために死ねるなら本望。
だなんて言うけれど、本当は死にたくないでしょう?
もっと、生きていいんですよ。
……死なないで。
『…私が国なのに、戦争を否定したら、軍人は何と言うでしょうね…』
「…怒るんじゃないですか。…何故否定したら怒るのでしょう…」
偶然、儀間さんと壕で再会した。
…でも、儀間さんは、桔梗さんとはぐれてしまったようで…。
…早く、終われば良いのに。
これが、悪い夢だったら良いのに。
「おーい、御二人。見回りしてくれないか?」
『…はい。良いですよ』
外に出る。
外は、少し曇っていて、私の心のようだった。
『…見回りって意味ありますかねぇ?』
「…さぁ…?」
本当に米軍が来たら、どうするんでしょう。
逃げれるか分からないのに…。
…ううん! 暗くなっちゃ駄目だ! こういう時こそ、前向きに———…!!
「いや、でも…。本当に、早く、終わってほしいなぁ…」
『…そうですね…』
「…はぁ…」
儀間さんが、溜め息をついた。
その次の瞬間だった。
「あっ、危ない!!」
後ろへと、押されて、少しよろめいた、
刹那。
ばぁん。
乾いた音が辺りに響く。
紅い、紅い物が、周りに飛び散って。
『……儀間、さん……?』
何が起こったか。
私には、理解できなかった…。
いや、理解したくなかった。
でも、
理解、してしまった。
『……うっ、うあぁ…』
血の臭いが、鼻を劈く。
涙が、ぼとぼと。頬を伝った。
「〜〜〜〜〜〜(もう一人いるぞ)」
茂みの向こうに、知らない人がいて。
何を言ってるかなんて、分からなかったけど、身の危険を感じた。
…逃げなきゃ…。
殺されてしまう…!!
それからの記憶は、あまりない。
走って、走って、足を痛めるほど、走って。
自分の無力さを、嘆いた。
『…ッ…。くそぉっ…!! 畜生…っ』
自分が、哀れだ。
護るべき人に、護ってもらって。
『なっ…でぇ…!! 何で…! あんなに優しい人を殺すんだよ……!!! 馬鹿ぁぁぁぁ……!!』
…誰を恨んでも、結局、護れなかったのは、自分で。
涙は、これでもか、というほどに流れたけれど、心は、自分を恨んだまま。
『…私なんか、放っておけばよかったのに…。儀間さんのお人好し…。どうせッ、私は…死なないのに…』
痛い。痛いよ。
傷をつけられるより、もっと痛い。
誰も、誰も、護れないんだ。
私は。
『…戦争なんて、大嫌いだ。彼奴も、大嫌いだ。神様だって、大嫌いだ。この世の全て、…大嫌い』
ああ、そうだ。
世界があるから、戦争が起こって。
誰かが死んで。
『……私、生まれて来なければよかった……!!』
大切な人、皆護って、幸せに生きる…なんて、
所詮。
叶わぬ幻想だと。
世界が止まって、しまえばいいと。
願った。