二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 学園アリス ♪戦慄の歌姫♪ ( No.3 )
日時: 2012/06/17 18:21
名前: 燕去 (ID: eXWZ7ycO)


 夢でみた記憶の欠片

霞がかった視界。
朧げな世界に、佇む人影。
一人は、髪の長い女性。いや、少女というべきか。
身長から考えると、女性よりも、少女の方がしっくりくる。
もう一人は、髪の短い女の子。
少女を見上げて、必死に何かを言っている。
二人とも顔がわからない。
霞のせいでよく見えない。

「涼お姉ちゃん。またお歌、歌ってよ〜」

いきなり、女の子の声と思われる声が響いてきた。
声が高くて、すぐに子供とわかる声だ。
必死に、歌を歌って。と頼んでいるようだ。

「え〜。そんなことゆうたかてな〜。
 今日も、いっぱいうとたやろ〜?」

語尾を伸ばした言い方。
おっとりとした言い方に、少しの愁いが入っている。
困ったような言い方だが、声が全然、困ったように聞こえない。

「そんなこと言わないで〜。お歌〜〜。」

駄々っ子のように、お歌!お歌!とせがむ女の子に、根負けしたようだ。
困ったような笑いをもらした。
笑ったのが気に入らなかったのか、女の子は頬をふくらました。
その様子を見て、ごめんごめんと言いながら、頭を撫でた。

「ほんまに、あんたら兄妹はよう似てんな〜。
 『 』と『 』はそっくりやわ。
 『 』もよう歌っててごねとったわ〜。」

女の子には兄妹がいるようだ。
重ね合わせて言っているのがわかる。
困ったように言っているが、何となく嬉しそうだ。
よく可愛がっていたのだろう。
表情は見えないが、微笑んでいるようだ。

「本当に? お兄ちゃんと私、そんなに似てる?」

不思議そうな顔で、問うてくる女の子に頷きながら、

「うん。似とる、似とる。
 『 』も…お兄ちゃんもようごねとったわ〜。」

何らかの答えを見つけ出したようだ。
不思議そうな顔から、一転。
途端に、せがまれた。

「あと一回だけ!!!
 あと一回だけ歌って!!! お願い!!!」

「しゃーないな〜。一回だけやで?」

もう降参とばかりにいうと、やったー!!と大喜びした。
やれやれ、まったくどうして兄弟二人そろって…。
という声も、女の子の歓声にかき消された。

「そんなに騒がへんの。何の歌の歌ってほしい?」

「えっとね〜」

怒りながらも優しく問うてきた女性と手をつないで。
本当に嬉しそうに、考えている声が聞こえた。

視界が真っ暗になり、何もわからなくなった。
最後まで二人の顔は、わからなかった。
意識が遠くなる。



アノコハ…

      ダレ……???