二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.457 )
- 日時: 2013/03/22 14:46
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)
第15章 謎の幽霊屋敷探検(後編)…ついに姿を現したバンたち、その理由は?
(ストーリーモード:ハル)
目の前に現れた3人の青年を見て、思わず立ち竦んでしまう。幼馴染の山野バンだけでなく、大空ヒロや立向居勇気もいた。
どうして、ここにいるのかも分からない。バンたちに知られてしまった以上、どうやって話したら良いか悩んだ。
「…だんまりか?」
その時、バンの一言が沈黙を破る。何も言えないで居た私の様子を見たヒロがバンに気遣って話す。
「バンさん、ハルさんのことで怒らなくても良いんじゃ…」
「…ヒロ、お前は黙ってろ。それに聞きたいこともたくさんあるしな、俺たち」
バンはヒロに相槌を打つかのように、冷静に答えてから落ち込みかけていた私を見る。
ナオや楓もバンの怒りを感じ取っているのか、思わず肩を落とした。元々、楓が言い出したから連れて行くハメになったって言えば良い。
でも、バンが許してくれないのは分かっている。少しだけ勇気を振り絞って、バンに声をかける。
「ねえ、バン…」
「なんだよ、言いたいことでもあるのかぁ?」
「怒ってるなら、そんなに言うことないじゃない…」
「バカ、何言ってんだ。お前たちで幽霊屋敷を探検しに行ったんだろ?」
「えっ…どうして、それを知って------------------------」
そう言いかけた瞬間、バンが左手を繰り出して殴りかかってきた。その攻撃をかわして、すぐに避けた。
いつもと違うバンを見たのは初めてで、何かあったのかも想像できない。
「…バン?」
ふらつきながら、バランスを立て直したバンは下に伏せていた顔をゆっくり上げて、私を捉えた。
トロンとした目つきで、完全に目が据わっていることに気付いて驚く。もしかして、酒を飲んだ帰りに立ち寄ってきたということか?
「お前さぁ、いつも無茶なことして…心配かけさせやがってェ……」
「バン、落ち着け。飲み過ぎは良くないって言えば分かるだろ?」
その様子を見かねた立向居がバンの肩を叩いて、落ち着かせようとする。
かなり泥酔しているところを見る限り、こんなになるまで飲んだのか。立向居は私を見て、納得しながら駆け寄った。
「さっきはごめん…バンのヤツ、飲み過ぎたみたいでさ」
「別に良いよ…。でも、何で私たちがここにいるって…」
どうして、ここにいることが分かったのか知りたい。ナオたちも同感だった。
立向居は私たちを見た後、ハァーッと溜息をついて顰めた。ようやく、思い出して答える。
「最初、ミソラタウン駅に着いた後に楓たちを見かけたんだよ」
「えっ…どういうことなの、勇気?」
「楓…お前、昼間に人見やナオと一緒に話し込んでたろ?」
「あっ…もしかして、あの時--------------------------」
そう、立向居はトキオ大学で楓がハルとナオに何か話し込んでいたところを目撃していたのだ。
その事に気付かず、夢中で話していたのだから…楓は立向居を見て、動揺を隠せない。
流石にそこまで聞かれたら、何も言えなかった。バンのこともあるし、今は話す気分ではない。
「ああ。だから、夜を待ってたんだ…バンたちを誘って、楓たちの後を追いかけようと思ってさ」
なるほど、それで追いかけてきたというわけか。でも、何で酔っているのか。
いつもは家に居るはずなのに、いったい何があったのかと言うことは私も分かっていた。
「でも、何でバンが酔ってるの?」
「ああ…居酒屋で飲んでたみたいで、俺が迎えに来た時はこの有様でさ」
「はぁ…どうりで機嫌が悪いと思ってたのは…そういうことか」
「まぁ、今回は大目に見てやるからさ。その代わり、何があったか聞かせてほしいんだ」
「勇気…」
「楓のことも心配してたけど、お前たちが無事でよかったよ。話は後で楓にじっくり聞かせてもらうからな」
立向居は楓の左手を握った後、笑顔を見せて呟く。その様子を見た楓は動揺しきったまま、立向居に連れられて帰った。
2人の姿を見届けた後、私はナオと一緒に顔を見合わせる。酔い潰れたバンの身体を支えていたヒロが私たちの姿に気付いて、ゆっくり立ち上がった。
「ハルさん、今日は僕の家に泊まって下さい。事情はそこで聞きますよ」
「えっ…私は?」
「もちろん、お前も一緒だよ。ナオにも聞きたいことがあるから…良いよね?」
ヒロに促され、ナオは困惑しきりにコクリと頷いた。その時、バンが目を覚まして起きる。
目は相変わらず据わったままだ。その様子に気付いたヒロが話しかけて、心配そうに気遣った。
「バンさん、今日は僕の家に泊まらせますから」
「いや、俺は自力で帰れるから良いよ。今日はハルを迎えに来ただけだから…」
ヒロから離れたのと同時によろけながら、私の肩にしがみついた。かなり飲んだということは歩けないのか…。
半ば呆れながら、溜息をつくしかない。全く、どれだけ飲んだんだか知らないけど…説教してやらないと気が済まない。
「ヒロ、本当にごめんね。バンのことは私に任せて…」
「でも、女の子が背負えるわけないですよ…。僕が背負って、家まで連れて行くのもありだし…」
「ううん、良いの。いつもありがと、ヒロ…」
「じゃあ、僕はナオを連れて帰ります。ハルさんも気をつけてください」
ヒロはナオを連れて、幽霊屋敷から出た。残るは、私とバンだけになった。
酔い潰れているバンは私の肩にしがみついたまま、気持ち良さそうに眠っていた。
とりあえず、バンを起こして脱出した方が良いかもしれない。バンの肩を揺らして起こす。
「ちょっと起きて、バン」
「…んぅ……」
「ほら、立ってよ」
「…ぅん…」
バンの両手を引っ張りながら、ゆっくりと立ち上がらせる。ふらついたのか、バンは壁に背中を預けた。
仰け反ったバンの体を支えるようにして、背中に乗せる。肩にバンの左手を回して握った。
右手で身体を支えながら、左手でバンの左腕を持って背負いながら歩く。
「ったく、しょうがないね…」
幽霊屋敷探検は楽しめたし、後でバンの話を聞きたい。というのも、今は寝入っているからしょうがない。
穏やかな寝息を立てながら、気持ち良さそうに爆睡しているバンの寝顔を見て、顔を綻ばせた。