二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 負けません。 (黒子のバスケ.) ( No.16 )
日時: 2012/08/06 22:44
名前: 悠希 ◆YLdWB0/d2s (ID: Ocs18kVY)



 「よぉっしゃー!! あ? ……うえっ?!」
 「……ゴール、壊しやがった」
 

 現状。リング片手に火神がガッツポーズ。


 @第9Q.ぶつけ合った拳


 火神がシュートついでにゴールを壊したおかげで、コート全面が使われることになった。
 その時の海常の監督、たけうちの表情を麗也は一生忘れないだろう。——爆笑ものであった。


 「……ナイスだかがみん」
 「かがみん言うな。人をなめた事ばっか言ってるからだ」
 「そうだな。俺も、イラッとしてたんだ」


 満足げに麗也も笑い、隣を見れば黒子も同じようだった。
 そしてゲーム再開——と同時に、待ち望んでいた黄瀬がコートに立った。


 「……お待たせ」
 「やっと出やがったな」
 「火神のおかげで、そんなに遅くなかったようにも思えるんだけどな」
 「……確かに、黒沼君の言うとおりですね」


 全員が表情をひきしめて黄瀬を見た。
 モデルとは思えないような迫力を出す黄瀬に、麗也は微笑んだ。


 (相変わらず、半端ないオーラをだすよな)


 誠凛メンバー——日向、伊月、黒子、火神、麗也は更にスイッチが入った。
 ボールが渡り、海常側だ。それは黄瀬にわたり——火神と同等、いやそれ以上の威力でシュートを決めた。
 ゴールは壊れなかったが、それでもやはり、凄い力である。


 「——馬鹿野郎ぶっ壊せって言ったろが!!」
 「すんませぇんっっ!!」


 が、見事に黄瀬は部長の笠松に蹴りをいれられていた。


 (この人の指示か。火神と同じようなダンク決めろって——負けず嫌いな人だな)


 ふと黄瀬と目が合えば、挑発的な瞳でこちらを見てきた。
 “次はそっちの番だ”——そんな目だ。麗也は真剣な瞳のまま笑い返した。


 (……じゃあ、俺も行こうか)
 
 「——すいません、次、パス回してください」
 「おっ、やっと来たか。了解、ポイント取ってくれよ!!」
 「……勿論です」


 軽く手を動かしながら麗也は答えた。
 そして再びボールがコートを回る。日向はしっかり麗也にパスを回してくれた。


 (——マークが、2人)
 

 静かに麗也は微笑んだ。ちらりと見れば、日向も笑っている。


 「——余裕だろっ!!」
 「もちろん……ですっ!!」


 速度をあげ、その2人をあっという間に抜く。
 そのあとに来たもう1人もかわし——最後にはダンクをかました。


 「「おおぉぉーっ!!」」
 「……ダンクするのって久しぶりかもしれないなー。……あれ??」


 ギッシギッシとゴールが嫌な音を立てている。ヤベ、と麗也の顔が青くなった。
 が、ギリギリでゴールは壊れなかった。ほっ、と麗也は息を吐いた。


 「んだよ壊せばよかったのによぉ!!」
 「あのなぁ、火神。壊したらゴールなくなって試合できないぞ」
 「……あ、そうか」
 「ってお前また壊そうとか思ってたのかよ」


 黄瀬のほうを見れば、真顔でこちらを見た後——笑顔を見せた。
 そしてすぐに自分のポジションへと戻っていく。


 (勝負はこれから……って、感じだな)


 *


 (やっばいほどハイペースゲームだな、コレ……っ!!)


 コートを駆け回りながら麗也は思った。
 試合経過は3分——だが、かなりのペースである。ちらりとベンチの由梨を見れば、由梨もこちらを見ていた。
 わかるように微笑んでやると、由梨も少し表情が柔らかくなっていた。


 (ほんっと、迷惑かけっぱなしだ……。っと、いける!!)


 相手に渡っていたボールを麗也はカットし、いったん黒子へパスをする。
 そしてそのまま素早いパスで火神に回り、シュートを決めようとした——が、黄瀬に阻止された。
 黄瀬は走り——火神と同じことをして、シュートを決めた。


 (キレが増してんな……っ!! なんつー進化形だよ……っ!!)


 汗を拭いながら火神のほうを見れば、火神も悔しい様である。
 それに、先ほどからのハイペースで、かなりの汗をかいていた。


 (やばいな……。火神を一旦休ませないと。タイムアウト取ってもらうように言うか?)


 が、その時、リコがタイムアウトを取っている姿が目に入った。
 やはり考えることは同じだったようである。そして一旦タイムに入った。


 「……火神、大丈夫か??」
 「あ? 全然行けるぜ」
 「……そうか」


 そうは言うが、かなりの汗の量である。麗也が1番ましかもしれない。
 まだ5分しかたっていないが、全員がものすごい汗をかいていた。


 (ハイペースゲームすぎるよな……)


 そんな時、海常側のベンチからたけうちの怒号が聞こえてきた。
 そしてそのあと、海常の選手が麗也をちらちら見ているのがわかる。


 (マーク、……くるか? 火神には涼がついてるし…、黒子にはつきがたいし……)


 ふぅ、と麗也は息を吐く。


 (一応結構俺にもパス回ってきてるしな……。頭に入れとくか)

 「……黒沼君、聞いてる?」
 「え。あ、すいません。聞いてませんでした」
 「正直でよろしい。たぶん、黒沼君へのマークが増えると思うわ。それでも一応、君には黄瀬君のマークについてほしいんだけど……」
 
 (マークの中で、さらに涼へのマーク、か……。行ってみるか。……それより)

 「俺は行けますけど。……黒子、お前のミスディレクション、……大丈夫か??」


 ——お前のミスディレクション、40分フル続かないだろ。
 そう言えば、黒子は“今言おうと思ってました”といった。が、空気は硬直している。


 「〜〜〜〜〜〜どーしてそういう大事なことを先に言わないのぉッッ!!」
 「すいません……。き、聞かれなかったんで……」
 「聞かななんも喋らんのかおのれはぁぁっ!!」

 
 リコによる首絞めタイムである。
 そんな中、麗也は火神に話しかける。


 「一応俺もマークに付くけどさ、どうせ火神、お前突っ走るだろ」
 「……わかってんのかよ」
 「……お前ならそういうと思ったんだ。俺も自分のマークかわしながら行くから、おおかた頼むよ」
 「——任せとけ」


 互いに笑いあい、拳をぶつけあった。——タイムアウト終了である。
 コートに入る直前、由梨が麗也を呼んだ。


 「麗也。——行ける??」
 「……もちろん」
 「でも……。なんでもないや。頑張れ、麗也!!」
 「勿論!! ……言葉のんでくれて、ありがとな。あと——、」
 「……あと??」


 麗也は力強い笑みを見せ、拳を由梨に向かって出した。


 「言わなくても、いいから。大丈夫だから。——ありがとな」
 「…………うん……っ」


 由梨も麗也に向かって拳を出し——ぶつけあった。
 お互いに力強く微笑んだ後、麗也はコートに入った。


 (——頑張れ、誠凛!! 麗也!!)


 *


 由梨は麗也の体の事を常に心配してます。
 本当はフルなんかで出たらどうなるかもわからない麗也です。
 ちなみに麗也は体の事をリコに言ってません。
 由梨と黒子にも口止め済み。
 そのわけはまた本編で明かせたらなーと思います(・ω・´)
 
 さ、参照400突破……?!
 非常にうれしくて、最初は本当に自分のスレか題名を何度も見ました(笑)
 本当にありがとうございます。

 次回、練習試合は続きます!! 誠凛魂見せつけろ!!
 読んでいただき、本当にありがとうございました(`・ω・´)