二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマGO 金色の懇願姫 ( No.14 )
日時: 2012/08/01 19:22
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: aUi6IQQT)

四つ目の御話    「名誉の片隅」














「月川、和奏…ねぇ。」


マサキは、月川和奏と言う女性と別れた後に、
ぼそりと独り言を呟いた。


「…けど、どっかで聞いた事がある様な…」


そんな事を思いつつ、マサキは校舎の中へと入っていった。









          *      *      *










マサキは、五時限目の予鈴が鳴っているのにもかかわらず、
図書館に来ていた。


「…はぁ、学活で自分の将来、ねぇ。」


五時限目の授業内容は、“自分の将来”についてだ。


「そんな事、今から知るわけないだろ。
 それに———、」



——どんなに考えても、想像通りにはいかないしな。




「あら、授業はどうしたんですの?」



本を何冊か抱えている少女、神無月架那琥が現れた。


「…こんにちは。
 神無月さんも授業はどうしたんですか。」

「私は、授業には出ていませんの。」


——驚いた。
  さぼり魔か?この人は。



「まぁ、どうでもいい事ですわ。」

「よくないだろ…」


すると、神無月は人差し指をマサキの唇にあてた。


「私は中学二年生。
 あなたよりも先輩、ですわよ?」


満面の笑みを浮かべた。


「…はい、神無月先輩。」








          *      *      *








「えっ!?
 神無月先輩って、ここの本を全部読んだんですか!?」

「えぇ、そうですわよ。
 小説から図鑑まで、すべて読みましたわ!」


“神無月先輩”と、呼ばれてカナコは嬉しそうに頬を染める。


「凄いですね、それ!」

「ふふふ、褒めていただいて光栄ですわ。」


——案外この先輩、面白い人なのかも。


「というか…、狩屋君、私の事を覚えていますか?」

「?名前を言ったんだから、覚えてるにきまってるにきまってるじゃないですか。
 なんなら、フルネームを言いましょうか?
 神無月架那子先輩、ですよね?」


すると、神無月の顔がパァっと明るくなった。


「そうですか!
 ……………もしかしたら、」

「如何しました?」

「いえ、なんでもないですわ。」


神無月は、ほほ笑みながらしゃべり続けていた。


「私、あこがれている人がいるんです。
 知っていますか?“銀色の歌姫”という…」

「あ!知ってますよ。」


——確か、外国で有名になった歌手だ。


「あの人、凄いですわよね…。
 自分を目立たせる事が出来て…」



「神無月先輩にも、きっとできますよ。」


そういうと、彼女の顔は今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。



「…そう、ですか?」

「絶対、出来ますよ!」

「ありがとうございますわ。」







          *      *      *








「スミマセン、遅れました。」

「狩屋、遅いよ!」

「せっかく、凄い人が来てるのに!」


サッカー棟に入ると、沢山の人だまりができていた。


「凄い人ぉ?」

「この人だよ!」


人だまりの中に連れて行かれ、たまっている中心人物をマサキは凝視した。



「おぉ、朝ぶりだな、狩屋。」

「月川さん…?」



そう、その人物は朝にあった、月川和奏だった。



「え!?狩屋、知り合いなの!?」

「まぁ…、サッカー部の元部員なんでしょ?」

「そうだけど、それ以上に凄い人なの!」


そう言って、顧問の音無は、月川を指してこう言った。




「この人は、月川和奏さん。
 元雷門中サッカー部員で、“銀色の歌姫”本人よ。」






サッカー棟に、一人の声が響く。