二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.379 )
日時: 2012/11/01 01:13
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第16章 囚われの身になったリンたちの安否は?

(ストーリーモード:リン)

その夜、トキオシティのどこかにある廃工場の中はアジトになっていた。
アジトというよりは組織の一員のほとんどが埋め尽くされているといっていいところだろう。
その地下室にある牢屋のようなものに閉じ込められてしまっていることに気付かずにいた。

「・・・ン、リン!」

聞きなれた声を聞き、うぅんと唸りながらも顔を顰めた。
ようやく、意識が徐々に戻った私は眠そうに上半身を起こす。
ふと、ボンヤリとした視界に親友の望月優の姿が映った。

「うっ、優・・・ここはどこ?」
「よく分かんない・・・目覚めたら、こんなところにいたよ」
「そっかぁ・・・痛っ!」

スタンガンのダメージを受けた時の傷が疼く。
そうか・・・あの時、見知らぬ男にスタンガンを突きつけられて気絶したのを思い出した。
周りを見回すと・・・見覚えのある人が1人いた。

「リン、目が覚めたか!」
「幸介さん? 何でこんなところに?」

幸介さんと見知らぬ青年がその場に佇んでいた。

(そういえば、この青年は誰だろう?)

そう思いながら考え込んでいると、いきなり話しかけられた。

「君がバンの妹?」
「あ、はい・・・そうですけど・・・」
「やっぱり、そうだったのか! 自己紹介してなかったね」

青年はニッコリと笑いながら話しかけてくれた。
バン兄さんと幸介さんの知り合いだろうか。

「俺は樋田優雅って言うんだ。よろしくね! バンの同級生で仲良くさせてもらってるんだ」

バン兄さんのこと知っているのか!
どうりで知り合いだったんだ。

「私は山野リンです。よろしくお願いします」
「うん・・・それより、縄で縛られてるみたいだよ」

優雅さんに指摘され、後ろを見ると縄で両手を縛られていた。
いつの間にか知らない間に縛られていたのか・・・こんなところまで誘拐されてしまうなんて思わなかった。

「優雅さんたちは何でここに?」
「俺たち、大学近くの駐車場を通りかかってね・・・その時に1台の不審な車が止まっていたんだ」
「1台の車?」

そういえば、私たちが河川敷にいたとき・・・そんなのは止まっていなかったような気がした。
でも、優雅さんたちは私たちが車の中に閉じ込められていることを察して助け出そうとしたのだろう。

「うん、その車の中を覗いたら・・・君たちが寝かされていたんで、これはどうなってるんだと思ってね。バンに連絡したら、心当たりがないって言ってたから誘拐されたんだと気付いたよ」

やっぱり誘拐されてたんだ!
じゃあ、私たちだけじゃなく・・・優雅さんたちも一緒に誘拐されたのか!!

「でも、ここはどこなの?」

私は周りを見回しながら呟く。優も不安そうに周りを見つめていた。
地下室のような場所に閉じ込められていて、私たちが中に入っているのは牢屋だ。
こんな場所に閉じ込めておいてどうするつもりだ?

(それにしても、何か不気味だなぁ・・・・・・)

そう思いながら考え込んでいたその時、地下室のドアが開いた。

『ギギーッ・・・』

そこに現れたのは、見覚えのある青年だった。
早間綺羅だと気づき、私はやっと自分に置かれている状況を把握する。

「よう・・・やっとお目覚めかよ」
「キラ、あんたが何でこんなところにいるの?」

私は変わり果てたキラの姿を見て、気になることがあったのだ。
あの頃の記憶に残っているキラの表情が歪んでいるのは間違いなく読み取れた。
キラはククク・・・と不気味な笑みを浮かべた。

「何がおかしいの?」
「リン・・・・・久しぶりだな、こんなところで再会できるとはね」

キラに言われて、再会できたのは確かだった。それでも、しばらく見ないうちに何があったのかと質問しようと思っていた。

「キラ・・・・・・」

何か嫌な予感がしそうでならなかった・・・バン兄さんには心配かけてしまいそうで怖い。

「どうして、私たちを攫ったの?」
「ボスに命令されてな・・・その事で話を聞いて知ったんだ」
「・・・ボス?」

ボスがいるということは・・・・・・つまり、何かの組織に入っているのだ。
ここは何かのアジトなのか?

(そういえば、牢屋もその組織が施したものなのか?)

「ボスって、誰よ!」
「ククク・・・そこまでは何も教えねェよ」
「何だとォ!」

いきなりキレた優雅は怒りを抑える気になれなかった。
カッとなってキレる優雅さんを抑えようとする幸介の声が聞こえた。

「優雅、キレるの止めろ!」
「幸介・・・」

幸介に窘められ、優雅は怒りを抑えることに集中することができた。
それよりも気になるのは、ボスという存在・・・そいつが私たちのことを知っているのか?

「俺たちを気絶させたのも、君たちが仕組んだんだね?」

優雅さんがそいつに向かって話しかける。
キラは姿勢を正さないが、無言で頷く。

「あぁ、そうだ・・・俺たちが仕組んだのさ」
「そういうことか。おまえたち、いったい・・・何を企んでいるんだ?」

優雅さんの問いに答えようとせず、キラはクルリと踵を返して歩く。
地下室のドアが開かれたのと同時に無言で黙りこくったまま、廊下に出た。

「だんまりかよ!」

廊下に出たキラを見送った後、怒りが収まらないままになっていた優雅は顔を顰める。
幸介さんが冷静に話しかけた。

「ここはもしかしたら、何かの組織かもしれねえな」
「えっ、どういうこと?」

優は幸介さんが言ったのを見て驚く。なぜ、あんなに冷静でいられるのか分からなかった。
彼は周りを見回しながら、私たちに問う。

「最近、何か噂で聞いたけどよ・・・キラード団とかいう組織ができたらしいみたいだな」

キラード団って・・・じゃあ、キラは昨日の夜に私たちを襲ったというのか!
でも、キラード団ってどういう組織なのか知らない。

「そいつらのアジトっていうことも考えられるな」

優雅さんが頷きながら、俺たちを見回す。
確かに優雅さんの言う通りかもしれない・・・もしかしたら、ヤツらのアジトっていうことも有り得る。

「バンたちがここに来るまで信じて待とうよ」

優雅さんが言ってくれたので、私は優と顔を見合わせる。
幸介もコクリと頷く。後はバン兄さんに任せるしかない。

(バン兄さん・・・後は頼んだよ)

リンたちはその思いを胸に入れ、バンたちが助けに来るのを信じて待つことにしたのだった。