二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.14 )
- 日時: 2012/12/06 22:19
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
11話「周囲呆然、鬼は笑む」
「…あのさ、之、お前等と合わせなくっても良いよね」
「ん?……ああ、多分。回数分やればいいんじゃねぇの?」
真琴がのんびりと素振りをしながら平助に聞くと、平助からものんびりとした返事が返ってきた。
返ってきた……のだが、次の瞬間真琴が凄い速さで素振りし始める。
後20回といわれていた回数があっという間に終わってしまった。
「ふぅ…」
少しも疲れた様子が無い真琴が、きらっきらの笑顔で平助と新八の方を向いて
「俺は終わったから帰るな!頑張って!!」
と言って手を振って去っていこうとした。
其処を、三人の素振りを見るように言われていた左之助に叩かれる。槍で。
そんな思い切りではなかったのだが、べこっ、という良い音が鳴った。
「いったぁ…何すんのさ!俺と殺り合いたいの!?」
「ほう?良い度胸じゃねぇか。一回やってみるか?」
「良いけど」
「じゃ、立て。んでもってそこの竹刀構えろ」
左之は近くにあった竹刀を足で引き寄せて拾い、真琴に投げ渡した。
真琴はそれを上手くキャッチすると、不機嫌な顔で構える。
「え、やるってこっち?本気の殺り合いじゃなくて?」
「ここで死者だしちゃぁ困るからな」
「そう…分かった」
「じゃあ行くぞ。そらっ!」
左之は穂先をつけていない槍を振り回す。
真琴は上手い具合に次々とそれを交わしていく。
それどころか、笑みを浮かべて唄を詠んだ。
「ふむふむ…。空を斬る、赤い柄(え)澄んだ、銀の槍…。うん、我ながらよく出来てる」
真琴は槍と左之の間に空いた空間に体を滑り込ませる。
そして、槍の柄を竹刀を持たない手で押さえて、竹刀を首元にぴっと置いた。
膝で腹を蹴り、左之が下になるように押し倒した。
呆然としている周りの隊士や平助、新八、当の本人左之を見据えながら、真琴は笑顔を作った。
「まあ、こんなもんだよ♪」