二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.44 )
日時: 2013/03/16 16:01
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

30話「その歓喜は希望を打ち砕く」

今のこの情景は、一瞬で理解するのは難しいことだったろう。
門の前に転がる死体。浅黄色の髪を返り血で紫に染め、鮮血を浴び
立ちつくす少女。
おまけに幹部と殺人少女は知り合いとなれば、大問題への発展はもう
一歩だ。
これで屯所内に身内でもいたとなればもっと大変な事に

「おーい、皆無事か?」

長々とそんな事を考えてこの後を思案していた土方の耳に、場違いな
声が響く。
少女と同じ浅黄色の髪を背中で揺らしながら、真琴がひょこっと顔を
出し、途端に残念そうな顔をした。

「えー、もう終わってんの?」
「あのなぁ。遊びじゃなかったんだぞ。つか、思案の邪魔すんな」
「はいはい。副長さんの邪魔をしたつもりは毛頭なく。それより
 土方さん、事後処理だけど———っと!?」

真琴は最後まで話すことなく、途中で口を紡ぐ。なぜなら、血だらけの
少女が真琴に向かってガバッと抱きついたのだ。

「え?あの、お嬢さん?」

恐らくは。暗がりと返り血による変色で、真琴は少女の姿が良く見えて
いないのだろう。動揺しつつ声をかける。
その時少女は顔を上げ、桜が一斉に咲き誇った瞬間の様な美しすぎる
笑顔で真琴を見た。
その歓喜に満ちた一言は、土方の希望を見事に打ち砕き、真琴の問に
簡潔に答える事となった。

「嗚呼、ようやく会えた…兄上っ!!!」
「…………へ?」

『えええええええええっっ!!!!???』(幹部一同)