二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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(REBORN!)あの日の炎に消えた記憶
日時: 2009/11/22 12:21
名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)

クリックありがとうございます。

この話は主に雲雀さん中心です。
未来編総無視です。
設定的に女体化が約一名います。
シリアスです。(のつもり)

再再再スレッドです。
よろしくお願いします。

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Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.12 )
日時: 2009/12/01 21:14
名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)

(第十三話)
「ヴェルデ、新しい足が必要なの。」

泣いてなんていられなかった。
私は彼らのボスなのだ。
気丈に振舞わねばならない。
常にファミリーを包み込む大空でなくてはならない。

超特急で用意させた義足を身につけ、
正装に着替えると、私は執務室にこもった。

「頼みがあります、皆さんに。」

大きなスクリーンに、スクアーロ、
アリア、ディーノ、九代目の姿が映し出される。
静かに答えた私の表情から、事の重大さを感じ取ったのか、
一同の表情は一瞬にして険しくなる。

「アルコバレーノを保護していただきたい。」

「どういう意味ですか。」

今まで一言も言葉を発さなかった九代目が、口を開いた。

「そのままの意味です。
わけあって、私一人では彼らを保護できないのです。」

「では、そのわけを説明してはくれないかね、イレーネ。」

九代目の声はどこまでも冷たかった。
まるで感情を殺しているような、痛々しい表情だ。
手が震える。・・・言えるわけがない。
自分は死ぬから、残された彼らを助けてやって欲しいなどと、
とてもじゃないが口に出せなかった。
私じゃ彼らを守れない。

沈黙を突き通す私に痺れを切らし、スクアーロが荒々しく叫ぶ。

「わかったあ、保護、すりゃぁいいんだなぁ?」

「そうね、私はあなたの影武者だもの。協力させてもらうわ。」

「手紙の返事をくれるなら、協力するぜ?」

スクアーロとディーノはこちらをみて頷く。
本当に重要な話をしていたはずなのに、
久しぶりに四人と会話した時間はとても少なかった。
それでも、なんとなくお互いに状況を察して、
執務室での会議は早々と幕を下ろした。

(第十四話)
日本で暮らしたい。
残された時間を、生まれた自分の国で過ごしたい。
そう言えば、誰も私をとめようとはしなかった。

事情も話さず、勝手なことを言った私を
黙って受け入れてくれたアリア達には本当に感謝していた。
それでも、いつかは話さなければいけない時が来る。
その日を恐れて、私は鳥籠から離れる決心をしたのだ。

行き先の決まったアルコバレーノ達は、
ただ黙って私に一礼して鳥籠を出て行った。

そんな彼らを見送った後、私は鳥籠に火を放った。
自分の大空の炎で焼かれていく鳥籠を、
私はただ呆然と見ていることしかできなかった。
舞い上がる灰と、木が焼けるにおい。
あの日と同じ、オレンジ色の景色。
けれど、私にはその炎が綺麗には見えなかった。

けがれて、くすんだ大空。
まるで、私のようじゃないか。
それでもただ、そこに在ることしかできない、
秋哀をたたえた、大空——

雲に隠れていた日が姿を現し、
瞳から零れ落ちる一筋の水滴を、
そっと照らした。


(第十五話)
私が日本にやってきて、いや、帰ってきて、
私のまわりからは人がいなくなった。
ドクターシャマルが手配してくれた家と戸籍は
いかにも日本風で、私は並森に溶け込んでいた。

「雲雀恭弥」
私の、新しい名前。
いや、今日から僕、になるのかな。
不思議と違和感はなかった。
まるでそれが本当の名前のようで、
雲雀恭弥であることに次第に慣れていく自分が、
哀しく思えてならなかった。

日本。あんなに帰りたいと願った場所なのに、
僕の望むものは何一つ無かった。
並盛島、並盛海岸、並盛商店街・・・
ゆっくり並盛をみてまわった。
懐かしいところばかりなのに、
僕の居場所はここにはなくて。

それでも僕は雲雀恭弥で。
沢田雛結でもなく、
雲雀でもなく、
イレーネでもない、
“雲雀恭弥”で。

不良という不良を、端から端まで倒してまわった。
学校は群れるやつが多すぎて、
不快だったから、あまり授業には出なかった。
いけないこと、してる自覚はあった。
寂しいって言うの、こういう気持ち、
紛らわすにはちょうどいいでしょ。
どうせろくな奴、いないんだから。

風紀委員とか、面白そうだったから、
入っただけ。
学ランも、面白そうでしょ?
ただ、それだけの理由——。

Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.13 )
日時: 2009/12/01 22:32
名前: 風梨  (ID: AwQOoMhg)

え?じゃあ並森中の風紀委員長はツナの妹ってこと??

 ………………ええええええ!!!!!

Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.14 )
日時: 2009/12/13 14:43
名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)

風梨さんへ
そうなんです。

Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.15 )
日時: 2009/12/13 14:48
名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)

(第十六話)
僕が“ゆりかご”について知ったのは、
それから数年たったある日のことだった。
日本でイタリアの情報を手に入れることができるはずもなく、
僕の情報源といえば、一方的に送りつけられてくる
ディーノからの手紙だけだった。

内容はひどいもので、
僕の目の前で起こった出来事でもないのに、
思わず目を覆いたくなるほどのものだった。
親と子の対決、僕が一番恐れていたことそのものだった。

ディーノからの手紙は、自分の意見や見解を一切交えない、
淡々としたもので、慎重に言葉を選びながら書かれたことが
手に取るように伝わってきた。
そして、僕が何よりも驚いたことは、スクアーロとxanxusから
僕に宛てた手紙も同封されていたということだった。

スクアーロは相変わらず大雑把で汚い字で、
それでも一生懸命、僕に伝えようとしていることがわかるものだった。

ディーノとスクアーロの手紙は、内容がずいぶんと違っていて、
ディーノからの手紙は表立って公表された情報、
スクアーロからの手紙は裏の真実というにふさわしい内容だった。

Xanxusが九代目に対して怒りの矛先を向けた理由。
それは、xanxus自身が九代目の実の息子ではなかった、
ということもある。
しかし本当の理由は、九代目が十代目に沢田綱吉、
僕の実の兄を選んでいたことだろうと
スクアーロは手紙につづっていた。
ツナの暴走により、大空の炎を失い、
傷ついた僕のことを考えての怒り。
ずっと九代目とボンゴレのために、
力を尽くしてきた自分を裏切ることへの怒り。
そんな男の雲の守護者として、
僕が選ばれることを見こしての怒り。
九代目があくまでxanxusのためにと、
そう決断したことへの怒り。
どんなに目立たぬように生きても、
僕がアルコバレーノのボスとして、
ボンゴレの血を継ぐものとして、
業を背負って逝くことを
強要させられたことへの怒り。
そして何より、
真実を知ってなお、
反発することしかできない、
自分の不甲斐なさへの怒り。

「どうか、xanxusを許してやってほしい。」
スクアーロからの手紙は、そう締めくくられていた。



(第十七話)

— 雲雀へ —

手紙を書くなんて、まったく俺様の柄じゃねぇ。

が、まあ、しかたねぇ。

俺か、沢田綱吉か、どちらを選んでも、
俺は何もいわねぇ。

おまえの好きにしろ。

ボンゴレからぬけたけりゃあ、
それもいいだろう。

沢田雛結に戻ってもいい。

アルコバレーノとして生きるも、
おまえの自由だ。

雲雀、



















すまなかった。







Xanxusは、この手紙を書きながら、何を思ったのだろう。
きっと、この手紙はゆりかごの前にかかれたのだろう。

多分、これがxanxusの、精一杯の優しさ。
不器用な人だから、きっと何回も書き直したんだろうね。
僕がこの先、どんな道を選択するかを見こしての、
最後の、兄妹の会話。
敵として、戦う僕にむけての、メッセージ。

ありがとう、兄さん。
戦うよ、兄さんの敵として。
僕は、ツナも、xanxusも、どちらも大切なんだ。
どっちも大好きなんだよ・・・
できることなら一緒に行きたかった。
何もかも投げ出して、ともに生きたかった。
でも、心は・・・
心は常に、あなたとともに・・・

Re: (REBORN!)あの日の炎に消えた記憶 ( No.16 )
日時: 2009/12/13 14:52
名前: 朝陽 (ID: nWEjYf1F)

(第十八話)
積極的にツナと会話しようとか、会おうとは思わない。
近くにいればいるほど、つらくなるから。
彼は、僕のことを覚えていない。
母さんも、ツナの暴走でのショックが大きくて、覚えていない。
僕は、完全に存在しなかったことになっている。

それは、当たり前だと思う。
勝手にいなくなって、勝手に戻ってきて、
実は妹でしたー、なんて、言えるはずが無い。
そんなの、勝手すぎる。
これ以上、彼らの生活を壊してはいけない。


九代目から手紙が届いたのは、
そんなふうに悲観的になっている時だった。

ディーノとの婚約と、
いつか必ず、イタリアに帰ってこれるようにする。
長く、難しい言葉でかかれていたわりに、
内容は薄くて味気ないものだった。

婚約、という部分に引っかかりはしたが、
それも当然のことなのかもしれない。
同盟マフィア内での結婚はよくあることだし、
これでディーノと九代目の役に立てるなら、
それでいいと思ったからだ。

よく考えれば、ディーノも僕も、
自然と、お互いを繋ぎ止めておく術を
求めていたのかもしれない。
一緒にいる理由が、
欲しかったのかもしれない。

(第十九話)
リボーンがツナの家庭教師になって、
ディーノが日本にやってきて、
獄寺隼人・山本武・笹川了平らと
知り合いになって、
ファミリーを増やして・・・

それでも、僕の生活は特に変わることはなかった。

桜クラ病とか、六道骸とか、ほんと、迷惑な話。
ツナと群れてる連中は、勝手に因縁の中とか言ってるけど、
何も知らずによくそんなことが言えたものだ。
彼自身が、特別気にくわないってわけじゃない。
彼は僕の霧のリングの能力を見抜き、
僕の正体を見抜いてたから、
邪魔だと思った、ただそれだけ。
あとは、しいて言えば、並森の人間に手出ししたから、
それぐらい。

六道骸との契約。
“僕の正体を黙っている代わりに、
クロームと犬、千種の面倒をみること”
気に食わないけど、しかたなかった。
クロームとは意外と気が合うし、
城島犬と柿本千種は、骸の命令があるせいか、
僕に手出しはしないから。

リング争奪戦。
これが起こるだろうなということは、
はじめから予想がついていた。
しかし、xanxusのことだ、
もっとすごいことを企てているだろうと、
僕は内心では不安を隠せないでいた。

そして、一番気がかりだったこと、それは
“ヴァリアーの雲の守護者は誰なのか”
ということだった。

(第二十話)
ハーフボンゴレリングが、
僕の机上に届けられたのは
骸強襲の一件がおさまった直後のことだった。
僕に届けられたのはハーフ、半分だけで、
九代目は僕を選んではくれなかった。
その事実が、覚悟していたはずなのに、
いやに僕の心をしめつけた。

ディーノが僕の短期の家庭教師になって、
他の守護者も修行で忙しそうで、
僕もそれなりに過酷な修行をしていた。

そんな中で、ヴァリアーの雲の守護者が
ゴーラ・モスカだと知り、僕は戸惑っていた。
僕がゴーラ・モスカを倒すのはたやすいことだろう。
なぜxanxusがロボットを守護者に選んだのか。
そんなこと、理由なんて決まっている。
おそらく、僕の帰ってくる場所を残しておくため。
ツナが勝とうとxanxusが勝とうと、
僕が死ぬことは絶対にあり得ない。

ツナが勝てば、そのまま僕は雲の守護者になる。
Xanxusが勝てば、僕はヴァリアーにとんぼ返り、というわけだ。
我が兄ながら、できすぎたシナリオを考えたものだ。
これではまるで、僕を手元に取り戻すためだけに
リング争奪戦を行うようではないか。
パードレが、九代目が、これを許したとは到底思えない。
しかし、ただひっそりと死を待つ僕に、何ができよう?
この先を生きてゆく彼らに、何が言えよう?
生きることを、投げ出しているわけではない。
ただ、僕は冷静に周囲を見渡しているだけなのだ。
冷静に、抗いようも無いこの業を呪っているのだ。
受け入れるしかあるまい、自分の運命を。


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