二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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RR 赤イ翼ノ執行人 ー 人は単純だ。だから、つまらないー
日時: 2012/08/17 19:21
名前: 東洋の帽子屋 (ID: O7xH2wYh)
参照: http://blog.livedoor.jp/yamisizuku00/

初めまして。
ようこそいらっしゃいました。
ああ、ごあいさつが遅れました。元神咲 裕の帽子屋というものです。
以後お見知りおきを。

■この二次小説は、藤本新太先生の作品レッドレイヴンを題材にしたものです。それを踏まえた上でご閲覧下さい。



■プロローグ

…青い、空が見たかった。ただ、それだけだったんだ。

■第一章
−借り物の力。それは、ただの子供騙しにすぎないと。ボクが一番分かっている−
>>1 >>13

□第二章
−一度だけでいい。自由に笑って見たいと彼女は言った。

もし神様というのがいるとしたら……いや。気付けな かったのは、紛れもないボクの罪だ−
>>14>>15>>16>>17>>18>>19>>2>>3>>6>>12

■第三章
−彼は言った。「いいか?ダルいから一度しか言わねぇ。お前は、もう俺達の仲間なんだ」−

□livedoorblog、公開中です。
お時間ありましたら、是非上記のURLからお越しください。
我が家の愛犬とオリジナルイラストを掲示予定です。
お越しくださいったさいに、コメントを頂けると管理人は飛び上がるほど喜びます(笑)

お客様

・黒簾様
・黒猫様
・満月*様
・ゆったりノック様











 
 

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Re: RR 赤イ翼ノ執行人 〜人は単純だ。だから、つまらない〜 ( No.19 )
日時: 2012/08/08 03:06
名前: 東洋の帽子屋 (元 神咲 裕) (ID: 393aRbky)
参照: http://

と、アンナはどうにかして目で訴えてくる。
……まあ、普段ならありえない話を持ちかけてくるなぁ、と思ったかもしれない。

そう、普段なら。

「……アンナ、悪いんだけど今から僕がとる行動に動揺しないでね」
「……へ?」

僕はコートの内ポケットから、封筒を取り出した。
「黒い……封筒?」
「そう。黒い封筒。この中に、今回の特別任務の内容が書かれた紙が入ってる」
「特別……任務」
黒い封筒から取り出されたのは紙切れにも似た便箋だった。
そこには赤いインクで文字が綴られている。
一歩前へ出て、僕はその内容を読み始める。
『今回の特別任務は、レッドレイヴンにふさわしい人材を見つけてくること…………だってさ」
僕はアンナを振り返った。意外にも表情は落ち着いていて、そして全てを理解したように
「そう」
と呟いた。
「つまり、アンディは私にこの子達を引き取らせてくれ……そう、言いたいのね?」
アンナは眉間にシワを寄せて難しい顔をしている。
わかっちゃいるが、認めたくはない。そんな感じだ。

しかし、僕は
「うん。その通り」
と、なんの違和感もなく軽々と口にした。
……その言葉に更に頭を悩ませる様がみてとれる。アンナは更にシワを寄せると、うつむいて顔をあげなくなってしまった。
「…………」
時たま、ブツブツ言っては手で何らかの仕草をする…………そんな繰り返しが数回続いた後、ついにアンナは
「うん」
と、一言、発した。
「わかったわ。この子達の事、アンディに託す。私はマフィアだから……。それだけでこの子達を苦しめてしまう」
アンナは子供達の事を振り返った。
その目は憂いに満ちていて、時々揺らぎそうになる。
……どうしようもなく、自分は無力だ。と、ポツリと呟いたのが隣にいた僕にだけ聞いてとれた。
「……すみませんでした」
アンナは深々と、子供達に頭をさげた。

それはきっと、アンナならではのけじめだった。

子供はなにも悪くない。

悪いのはワタシタチ。

あなた達の家族を奪ったのも、スべテを破壊して、踏みつけて回ったのもワタシタチ。

それが例え、自分達が直接的に関わってないとしても。


マフィアの同列であることに、変わりはない。


「……アンナ?」
「あっ……ごめん、アンディ」
アンナは顔を上げると、無理に表情を作ってみせる。
「この子達、宜しくね」
アンナはポンッ、と僕のかたに手をおくと、羽織っているコートを翻して聖杯堂を出ていこうとした。

……と、その時だった。



「おいおいアンディ、それはねーんじゃねぇの?」

「!?」

突然、天井から声が聞こえた。
アンナとリナージュは即座に天井を見上げる。
……しかし、僕は姿を見ずともそれが誰だか分かっている。
「この声は……」
その声の主は飛び降りて来ると、見事地面に着地する。


……それは清き鳩にも似た、白い衣をまとっただけの黒い鴉。


「バジル」
「よう、アンディ……と、穏やかに再会出来れば良かったんだけどな」
バジルはそこいら一帯に転がっている
コンクリートの塊の一つに近寄った。
「だが、あいにく今は……」
ガッ、と左手でコンクリートの硬い肌に爪を立てる。

「コンクリートがっ……!!」
バジルが爪でなぞった部分にそって、深い溝がいとも簡単にコンクリートに刻まれていく。
「今は、気分サイテーなんだよね」
手についている、腐食した黒い屑を払いながらバジルは眉を吊り上げてニタリと笑う。
「無駄な死人は出すな、面倒事には首を突っ込まず、時間きっかりに帰ってこい……つまらなすぎると思わないか?」
バジルは両手を広げ、大きな声でセリフを口にした。
……その仕草はまるで、舞台に立って熱演している役者のようだ。
「……もう一度聞く、何で来たんだよ? 三流役者」
「おおっと、中々手厳しいな」
バジルはククッ、と微笑する。
「…………でも」
「!」
ボクはバジルが声のトーンを一つ落としたことに気がついた。
途端に、足元に置いていたギロチンを手に取る。
「アンディ??」
「……アンナ、子供達を連れて逃げて」
「えっ?」
「このパターンはヤバイ。バジルは相当キレてる」

その言葉を聞いて、アンナはチラリとバジルの事を見る。
「……別にそんな感じはしないけど」
「いいから、早く!」

「おい」

「「!!」」

「なにボソボソと喋ってんだよ。言わなくても分かるだろ?アンディ。俺は気が短いんだ」

—その台詞と同時に、空気が震えた。

「行け!」
ボクはギロチンを構えなおす。
……と、目の前に一筋の閃光が走った。
『猛毒蠍 "デス・ストーカー"』
「……っ!」
ギャリンッ、という鈍い、嫌な金属音が辺りに響く。




Re: RR 赤イ翼ノ執行人 〜人は単純だ。だから、つまらない〜 ( No.20 )
日時: 2012/08/08 08:12
名前: 東洋の帽子屋 (元 神咲 裕) (ID: SkZASf/Y)
参照: http://

前作の全ての小説を、こちら側に移しました。
これらは、赤イ翼ノ執行人の前編です。
皆様には大変なご不便をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。

Re: RR 赤イ翼ノ執行人 〜人は単純だ。だから、つまらない〜 ( No.21 )
日時: 2012/08/11 20:39
名前: 東洋の帽子屋 (元 神咲 裕) (ID: 21getbfq)
参照: 新章突入…ウォルターに期待(笑)

第三章〜いいか?ダルいから一度しか言わねぇ。お前は、もう俺達の仲間なんだ〜

「えっ。このまま、次の任務に向かえって?」
『ああ、すまないが休んでもらう暇はない。そのまま、ザップヘンドに向かってくれ』
ボクは馬車の荷台の上で、左右に揺られながら次の指示を受けていた。
朝の爽やかな日差しとは裏腹に、上司は相変わらずの腹黒さだ。
「というか、アンディ。何でこいつらまでいるんだ?」
「ん? その言い方はないんじゃない? お仲間だよ」
「えっ! なん……」
『裁判官命令だぞ? シャルル』
「ぐむっ……」
あの件からシャルルは子供・幼児恐怖症になってしまい、まず直してもらった際にべスを見て飛び上がると、しばらくボクのフードに入ったっきり出てこなくなってしまった。
少し落ち着き始めた今、やっとこうして電話を繋ぐことが出来たのだ。
今だノイズは残るものの、動けてはいるようだった。
「はあ、ロボットの身にもなってくれよ」
「…ごくろう……さま?」
「なんで疑問形なんだよ!」
ボクは受話器を押し当てている反対の耳をふさぐ。
(……うるさいなあ)
「……ん? カルロ、ザップヘンドって言った?」
『ああ。君は、休暇中に訪れたことがあるのだろう? 機械工業の街、ザップヘンドに』
「うん。まあ……」
ボクの脳内に、金髪を三つ編みにした少年の残像がフッ、と過った。…彼は今元気だろうか。
「了解。多分、いったことのある街だから心配はと思うよ。あ、そっちの角右ね」
アンディの指示に子供達は馬の手綱を引く。しかし、シャルルが慌て左だ、左っ!と連呼した。


【ザップヘンド 街の西側の外れ バクニシャン工房前】

「……はー。やっとついた」
ウォルターは棺をドッ、と地面に落とし、その店の看板を見上げた。
そこには鉄錆で大変見にくくなってはいるが、確かにバクニシャンと掲げられている。
ウォルターはポケットから紙切れをとりだし、再度それを確認する。
「……うん。ここだな。それにしても……まあ」
ウォルターは周りをぐるりと見渡す。機械工業の街と聞いていたからどこもかしこも都会的で、五月蝿いに違いないと思っていた。
しかし、この工房一帯は特に目立ったものもなく、言い方は悪いかもしれないがはっきりいって廃れていた。

店の顔である看板の鉄錆びをみると、商売もあまり繁盛していないようだし……。
正直、不安になった。
「本当にここであってんのか……?」
胸に心残りを覚えながらも、ウォルターは店のドアに手をかけた。

……すると、ポンッと。
「!?」
ウォルターは背筋をピンッと伸ばし、勢いよく後ろを振り返る。
「わっ。おどろいたぁー」
ウォルターが振り返る一瞬手前で、それはおどけた声を出して飛び退いた。

そこに立っていたのは、だいたい14、5歳くらいの少女だった。
黒く、艶が滑らかな上質な髪の下に赤い活発そうな丸い目がにこやかに笑う。フードを被っているせいか、肌はまったく日に焼けておらず、不思議なくらいに白かった。
「あなた、レッドレイヴンでしょう?二番目の、棺桶のやつ!」
彼女はウォルターの棺桶をみて嬉しそうに跳ねる。本当にじっとしていられないようだ。体力が有り余っているらしい。
「ああ。そうだけど……。やっぱり。俺を煙たがらないっていうことは、ここであってるんだな?」
その元気のよさに、ウォルターはもはや遠い目で暖かく見守っていた。

「うん。そうだよ。いらっしゃい。裏側のお客様。ここは、レッドレイヴン達の武器を作るところだよ!!」
秘密であるはずの内容を、軽々と大声で口にする。
周りに人影はなかったからよかったものの、さすがにウォルターも冷や汗をかかざるを得なかった。









Re: RR 赤イ翼ノ執行人 〜人は単純だ。だから、つまらない〜 ( No.22 )
日時: 2012/08/15 12:02
名前: 東洋の帽子屋 (元 神咲 裕) (ID: Z6SnwTyI)
参照: http://

返信20回&参照150回感謝

いつもレッドレイヴン赤イ翼ノ執行人を御覧頂きありがとうございます。
ついにこのスレッドも返信20回参照150回を越えました。
とくに企画は用意していなかったんですが…どうしましょう?まあ、参照500回に期待と致しましょう(そこまで行き着くかも怪しいものですが(笑)

皆様に感謝。それから藤本新太先生にも感謝。
これからも僕の妄想世界におつきあい下さい。

Re: RR 赤イ翼ノ執行人 〜人は単純だ。だから、つまらない〜 ( No.23 )
日時: 2012/08/16 08:12
名前: 東洋の帽子屋 (元 神咲 裕) (ID: oMcZVhE7)
参照: http://blog.livedoor.jp/yamisizuku00/

その少女に案内され、ウォルターは店の裏側に導かれた。
そこには工場内から排出したと見られる壊れた機器や、ネジなんかがゴロゴロと転がっている。
「ちょっと、そこで止まってて」
少女は何段にも積み重ねられている鉄鋼の前に立った。そして……。
「えっ! ちょっと、まてまて!!」
ウォルターは、少女が足で鉄鋼をいまにも蹴り飛ばしそうな仕草を見て思わず止めにかかる。

しかし、時すでに遅し。

ゴッ、と耳を塞ぎたくなるような鈍い嫌な音を立てたかと思うと鉄鋼の端が浮き上がる。
「……へ?」
ウォルターは汗をタラリ、と垂らす。
(そのほっそい足のどこにそんな力があるんだよ!)

ウォルターの間の抜けた声などお構いなしに、間髪なく少女はいよいよ鉄鋼を蹴りあげる体勢に入る。
「あぁぁっ……せいっ!!!」

『ッ…ガアァン!!』

鉄鋼計5本、見た目1tはありそうな鉄の固まりはいとも簡単に空中へと蹴りあげられる。
「……マジかよ」
ウォルターが唖然とするなか、その呟きも地響きを起こしながら落下してくる鉄鋼達にかき消された。

…すると、鉄鋼が置いてあった場所にポッカリと、口を開いたように穴があった。大人一人……ウォルターが屈んでようやく入れそうな位の小さい穴だ。
「ささ、どうぞ。入っちゃって」
少女が穴の前で手招きしている。背後の穴は闇一色でなかの様子を確認できない。
「……取って食われそうな気がしてきた」
ウォルターは重い棺を背負い、溜め息まじりに少女の手招くほうへと歩いていった。




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