二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜大江戸イレブン! ( No.41 )
日時: 2010/06/25 19:43
名前: ゆうちゃん (ID: 66DLVFTN)

第十話『優しき人』

「佐久間が……これを?」
源田は受け取った数珠をひっくり返したり掲げたりしている。
「……まさか、あいつがこれを預けるなんてな」
鬼道も数珠に目をやると低くつぶやいた。
「なにか知ってるのか?鬼道」
風丸が尋ねる。
鬼道はむしろ、「知らないのか」と目を見開くと話してくれた。

「佐久間は僧じゃなくて、忍者だ。それも天皇直属のな」

円堂とヒロトは意味がわからなかったのか、頭の上に「?」が浮かぶ。
風丸はあきれたようにそれを見ると、説明した。
「つまり、日本で一番えらい方の使いってことだ」
「……え?じゃあ、宮坂とマッハは?お前らは知らないのか?」
宮坂とマッハは頷いた。
「私たちは親に捨てられ、寺院で育ったのです。そして偶然そこに修行のために来た師匠に引き取られたのです。だから、私たちにとっては最初から旅の僧だったのです。」
「……まぁ、実際旅してたら食料が切れて盗みに入ってただけだったんだけどね。…………でも、感謝はしてる。本当の家族みたいに接してくれた人だし」




沈黙。








「……そんな風におもってたんですか」
宮坂はマッハに言われてはっと顔を上げた。
前面真っ赤だった。
「ちちちちちちちちち違うぅぅぅぅぅっ!!!!」
南雲と涼野が「ははーん」と宮坂をなじりはじめる。



「……連れにまで正体を隠してたのか。なにを考えてたんだ、佐久間は」
鬼道はふうっと息をはく。
「優しいあいつのことだから、きっと巻き込みたくなかったんじゃないのか」
源田がにこりと微笑む。
「で、この数珠はだな。佐久間が旅に出るときに、俺達が渡したんだ。僧ならもってろって。」
鬼道は頭をかく。
そして真剣な表情になると言った。
「これを渡してきたということは、あいつは僧でなくなったということだ。……きっと今、忍者としてでていったんだろうな……」





「大変だ!殿が倒れられた!!!!」


向こうから大声で叫ぶ家臣の声がした。
風丸はその声が遠くで聞こえた気がした。

「鬼道様!」
「すぐ行く……若、くれぐれもお気をつけて。……ヒロトの話の後からどうも、江戸の様子がおかしい。————戦になるかもしれない」
そう言って走っていった。


「若」
「……あぁ、すまない。大丈夫だ」
風丸は源田に答えた。
「若、鬼道は頭がいい。彼の言ったことが本当だったら、大変です。彼らにも協力をしてもらいながら、江戸を見渡しましょう」
源田はそう言って、円堂を見た。
円堂も
「あぁ。けど、風丸は休んでてくれよ。将軍のこともあるだろうし。お前がいなきゃ国がもたねぇだろ」
「円堂……」
風丸は迷ったような表情をうかべると前を見た。
ヒロト、マッハ、宮坂、南雲、涼野。
皆が自分を見ていた。
そして決心して、頷いた。

源田が頭を下げる。


「——————若、ご命令を」