二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.21 )
日時: 2010/02/19 22:41
名前: ぺりどっと (ID: SLKx/CAW)

第12話 そのときは来る


やがて、その日はやってきた。
婚約者との対面の日。

俺は熱が出て寝込むことを
密かに期待してたが、残念ながら
試合してもいいくらい元気だった。

俺は鏡の前で念入れに髪型、
服装をチェックした。
そしてゴーグルも取り外した。

鏡が俺の赤い瞳を映し出す。

誰が来るかはわからないが、
父さんによれば俺の知ってる人らしいので、
さほど心配することは……

ある。絶対ある。無いはずがなかった。

もし、もし婚約者が『アイツ』
じゃなかったら、俺はどうすれば
いいのだろうか。

逆に、『アイツ』だったら、
俺はこれからどう接すればいいのだろう。

いろいろな不安がこみあげてくる。


……リラックス、リラックス。

落ち着け、俺……。


俺の心臓と脳みそが爆発しそうに
なったのは、その1時間後だった。
俺の頭には今、「!?」しか出てこない。

「こんにちは、笠峰玲華です。
 あの、今日はよろしくお願いします」

笠峰が礼をした瞬間、ポニーテールが
はらりと垂れた。清楚な白いワンピース。
胸元のブローチ。輝く黒のハイヒール。

彼女を、春の日差しが美しく
照らし出していた。

だが、やっぱり瞳だけは
切なそうに光っている。

まさか、笠峰とけ、け、け、けっこ……
け、け——。

想像するだけで意識が吹っ飛びそうだ。


見合い中も、俺は冷静さを
取り戻せなかった。返事や会話するのに
いちいち体中熱くなる。

自分だけ真夏の炎天下にいる
気さえする。

心拍数が大変なことになってる
ことは、薄々勘付いている。

俺はラッキーなのか、
それともアンラッキーなのか。


続く!!