二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.29 )
日時: 2010/03/06 16:59
名前: ぺりどっと (ID: SLKx/CAW)

第16話 逃れられない現実


あれから1ヶ月が過ぎた。
笠峰とは時々会ったが、今度は
向こうから目をそらされるようになった。

俺、何かしたっけ……。


教室に忘れ物を取りに行った俺は、
偶然音楽室の前を通った。

ふとバイオリンの音がして、
俺は立ち止まった。

誰もいないはずじゃ……と、
一瞬怖くなったが、ドアの向こうに
人の影が見えたのでホッとした。

流れるようなメロディー、
澄んだ音色……。

誰だ、こんなの弾く人は。

恐る恐る音楽室のドアを開けると、
緋色の長い髪がゆれていた。

もしかして!

「あ……」

やっぱりそうだった。

「おまえ、バイオリン習ってるのか」

「ええ、6歳のときから」

「上手だな」

「ありがとう……」

照れくさそうに視線をそらす
彼女が、愛おしく感じる。

が、彼女の表情は一瞬にして
真剣な顔に変わった。

「……鬼道くんには、言わなきゃ
 いけないことがあるの」

「なんだ?」

「婚約破棄……してもらいたいの」

は……

えええ!!!

何をいきなり言い出すんだ!

「本当は私、他に好きな人がいるの!
 黙ってて……ごめんなさい」

「ちょっと待てよ、いきなり
 そんなこと……」

「今まで怖くて言えなかったの。
 言ったら、どう思われちゃうのかなって」

「だったら、最初からしなければ……」

「私が本当の気持ちに気付いたのは、
 つい2週間前のことなの」

急展開に戸惑っている俺に
突き刺さるいくつもの言葉。

待てよ、今までのは一体……?


続く!!