二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.5 )
日時: 2010/01/28 20:38
名前: ぺりどっと(元くろーばー) (ID: SLKx/CAW)

第1章  春という季節


春、それは別れと出会いの季節。

3月に桜の蕾の下を通って卒業した先輩たち。
そして4月、うららかな日差しを受けた
桜並木をくぐり抜けて入学した新入生——。

皆、同じ校舎の中にいる。

そして俺、鬼道有人も、
雷門中の校舎の中だ。

ここには、世宇子へのリベンジと、
「別のサッカー」を求める目的で来た。

俺はすっかり学校に慣れ、円堂のガイド無しでも
図書室に行けるようになった。

ここの図書室は、サッカーのグラウンドの次に
俺が好きで、大切な場所だ。

俺は週に1日は図書室に寄り、本を借りていく。
読書と、勉強のためだ。
俺は常に成績トップでなければいけないから。


俺は図書室のドアを開けた。

3階であるだけあって、日当たりは最高だ。
窓も少し開いてるが、入ってくる南風はとても
快かった。

俺は無意識に本棚を見回した。

——やけに静かだな。

受付を見ると、図書委員がいない。

そういえば、新学期はまだ貸し出しを
していないんだったな。

そのことにやっと気付いたが、今さら
本を探すのをやめるつもりは無かった。

その瞬間。

「きゃっ!」

俺は短い悲鳴が聞こえたほうへ行った。
たくさんの本が散乱し、あたりはほこり
だらけになってしまった。

誰もいないはずじゃあ……

首を傾げつつ、俺は本を拾い始めた。

「あ、あの……」

鈴のような綺麗な声が聞こえたのは、
そのときだった。