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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 記憶ノ螺旋 薄桜鬼 ( No.4 )
- 日時: 2010/04/30 16:05
- 名前: 牙暁 (ID: ouG7SBqg)
■弐個目....
新選組のあの羽織には、意味がある。
浅葱色は、武士が切腹する時の礼装の色。
白い山形は、決死の仇討ちをした忠臣蔵の隊服と同じ模様である。
詰まり、死ぬ気で切り込む覚悟を表しているのだ。
彼も其の羽織を着ている時点で、一応死ぬ覚悟はあるのだろうと察する。
「真逆、あの噂が君だった何てね」
突如呟いた彼の言葉に、僕は目を瞬く。
彼に言う噂については、どんな物なのか知らない。
しかし、僕が中心の噂らしい。
「君の処分は、帰ってから決める」
其の言葉と共に、僕の思考回路は一瞬停止する。
処分? 何故? 何故に僕が処分されなければならないのか。
僕が考えを巡らせ黙り込んでいる間も、彼は死んだ羅刹の羽織を脱がせている。
彼は血塗れた羽織を抱え、僕の手首を掴むと、足早に歩き始める。
手首を掴む力の強さに、僕は顔を歪める。
今逃げようとすれば、確実に即効斬られるだろう、と思い知らされる。
「死体。あの侭で良いんですか」
「奴等の始末は、山崎君がやってくれるよ」
山崎……が誰だか判らないが、逢えたら礼を言おう。
其の時に、僕が生きているのなら。
「其れより、人の心配するより自分の心配すれば?」
彼は此方に振り向きもせず、僕に釘を打つ。
確かに彼の言う通りだ。
「自分の心配か……」
今自分は、生と死の狭間に居る。
僕が殺されるか如何かは、新選組の考え一つ。
僕と彼は其れ以上話す事はせず、彼に引かれるが侭に身を任せた。
彼に握られた手が痛い。
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