二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Chapter—1 ( No.3 )
日時: 2010/05/05 13:57
名前: 花森千風 ◆O6d6xo.9Cg (ID: OnRzE.oe)


 辺りを見回してみると、どちらを向いても草、草、草——そしてアリスの近くには後ろから前に向かって川が流れています。アリスはその川に浮かんだ、小さなボートの上にいました。

「でも……どうして私はボートなんかの上で寝ていたの?」

 アリスはなんとか記憶をたどっていこうとするのですが、不思議なことに何も思い出せません。ここがどこだか分からないのは相変わらずで、なんでボートに寝ていたのか、いつ寝ていたのか、最後に寝る前の記憶や、あげくはお家の場所すら思い出せないのです。

 いよいよ困ったことになりました。何しろ今のアリスにとって何も思い出せないということは、何も出来ないということと同じなのです。下手に動き回って迷ってしまってはますます頭が混乱してしまいますからね。

「仕方がないわ」

 散々悩んだすえ、アリスは誰かが通りがかることを待つことにしました。そうすればここがどこだか尋ねることができますし、上手くいけばお家の場所も教えてもらえるかもしれません。アリスはボートの上で川のせせらぎを聞きながら、長い間じっとしていました。