二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【デュ.ラ】池袋浪漫【ララ!!】—1章《3》更新— ( No.18 )
日時: 2010/05/29 09:54
名前: 箕遠 ◆rOs2KSq2QU (ID: sHz7gIgP)

【2章】− 【合縁奇縁】



 池袋市内 午後11時半 某コンビに前にて————

 



 「有難うございましたー」
 「あ、どうも」
 
 
 真夜中の闇に負けず、人工的な光を辺りへ撒き散らすコンビニ。中では、暇な客たちがうろうろと何気なしに商品を眺めている。
 そして今、店員に見送られ、幼い顔立ちをした彼は頬をぽりぽりと掻きながら出てきた。……片手にコンビニの商品が入った袋を持って。



    ♂♀




 …………僕って、どうしてこうも店員さんにまでペコペコしちゃうんだろうな……。
 自分に対する嫌悪を感じながら、来良学園の学生である竜ヶ峰帝人は、本日2度目の深いため息をついた。表では普通の男子高校生、裏ではカラーギャングダラーズの創始者でもある彼は、今はその威厳も感じさせないラフな服装で、コンビニの袋片手に夜の道路を歩いていた。
 何故彼はこんな夜中にコンビニから出てきたのだろうか?
 ……風呂から上がってさっぱりした帝人は、冷蔵庫の中に夕飯も何も無いという状況に陥っているということに気付き—————結果、こうして真夜中に外出しているという訳である。


 「それにしても……冷蔵庫の中身も忘れてたなんて、僕そうとう最近疲れてたのかなー……」


 何気なしに呟いたその言葉に、帝人はふと今日までの自分の行動を振り返っていった。
 1週間前から学校では、緑化強化習慣というよく分からない行事が始まり、その為に、クラス委員である帝人ともう1人の女子の委員—————園原杏里と共に、夜遅くまで意味を持たない集計や計画に精を出している。それにより、学校が閉まるぎりぎりまでここ一週間は働きづめの毎日。
 これじゃあ忘れるな、と帝人はもう一度深いため息をついた。

 ぐにゅっ

 
 次の瞬間、足の裏に嫌な感触。まるで、何か柔らかいものを無理矢理踏んづけたような、そんな——————


 「痛ってええええええええええ!!」
 「……あ、ゆーちんが叫んだ」
 「て、テメェ、何してくれとんじゃゴラァ!?」

 
 ふと足元に視線をこらすと、大きな男性の手。それを自分の足が丁寧に踏んでいる。そして顔をあげる。周囲を見渡した。明らかに恐喝と暴力が収入源としていそうな強面の男たち。
 イコール。
 どうやら、自分は地べたで話しこんでいたヤンキーの集団の1人に、危害を加えてしまったらしいという、冷静な判断。


 「ごっ……ごめんなさいいいいいいっ!! あっあのっわわざとじゃっ」
 「わざとじゃなくてもこっちは怪我してんだけどなぁ? どー落とし前つけてくれんだ、ああ?」
 「ああああああのじゃあ、このプリンでも……」
 「なめてんのかゴラァアアアアアアア!!」



 帝人がコンビニの袋を差し出すと同時に激昂するヤンキーたち。馬.鹿にされたと思ったのだろうか、片手に構えた釘バットやパイプを構え始めた。
 ————ー—もしかしたら、自分はこれからボコボコに打ちのめされるのだろうか。
 どんな予測よりも正しいその考えが、帝人の危険察知センサーにいち早く情報を届ける。そこで帝人は、人影も疎らな夜道で助けを呼んだ。


 「ちょっ、すみませんって! だだだからって暴力ってどうなんですか……ってうわあっ!」
 「うるせー! 黙って持ってる金全部出せやコラ」
 「そーそー。そーすりゃ御兄さんたち、何にもしないからさーぁ?」



 緑の装飾を体の一部に施してある男達は、そう言うとなぜか傷だらけである顔を歪めて憎憎しげに呟き始めた。


 「……ってゆーかよぉ、まじ訳分からんねーべ。可愛い女の子……あ、ホラあれだよ。来良学園の制服着た子をお持ち帰りしようとしたのによぉー、何かぶん殴られて終わったしよー……最悪だ今晩」
 「あーそうだよなー……というか俺らをのめした奴、アイツ何だ? ほんの13、14ぐらいのガキじゃなかったか? ……しかも、地味に顔きれーだったしよ」
 「うわっ、タカヤンそんな趣味あったか?」
 「ばーか! なわきゃねーだろが、野郎だぞ野郎!」


 感傷に浸りつつぽつりぽつりと話している男達は、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てたところで、帝人にようやく向き直った。全員が振り返ったせいか、帝人は畏怖を感じずにはいられない。……まぁ、元々臆病なせいでもあるが。


 「……って訳でぇ、俺らぁ、今日はほんっと災厄ばっかなんだわぁ? だからぁ兄ちゃんよぉ、俺らに投資してくんね? マジで」
 「あっあの……遠慮します……すみません……」
 「ふーん、へぇーそー? ……んじゃあタヒねやあっ!」



 男の怒り交じりの声と共に、金属質な音を響かせて、帝人に振りかざされたパイプ。そのパイプは帝人の頭へと半円を描いて減り込もうと——————————