二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【デュ.ラ】池袋浪漫【ララ!!】《1章執筆開始》 ( No.8 )
- 日時: 2010/05/22 19:28
- 名前: 箕遠 ◆rOs2KSq2QU (ID: yGNKhXgn)
♂♀
同刻 チャットルームにて
—————甘楽さんが入室されました—————
甘楽《こんばんわー!》
セットン[こんです]
田中太郎【あ、こんばんは甘楽さん】
甘楽《あれあれー? 何の話ですかぁー?》
セットン[あ、あのですね]
田中太郎【最近はやってるギャングチームの話ですよ】
田中太郎【甘楽さん、詳しいんじゃないんですか?】
甘楽《もーう、人が折角面白い情報持ってきたっていうのに太郎さんとセットンさんはー!》
甘楽《……で、そのチームって?》
セットン[確か……緑鬼丸(りょくきまる)……だった気がします]
セットン[まぁ、うろ覚えですけど]
甘楽《あぁあぁ!! 知ってますよぉそのチーム》
罪歌{あの、そのりょくきまるってなんですか}
甘楽《わっ! 罪歌さんいたんですかぁ》
罪歌{とつぜんはいって、ごめんなさい}
甘楽《あ、いえいえ! そういう意味じゃないですよぉ!》
罪歌{すみません}
セットン[罪歌さん、もう良いですよ]
セットン[甘楽さんってこう見えて、良い人だし、多分]
甘楽《きゃー!! セットンさんに褒められちゃったー!》
田中太郎【あの、それで緑鬼丸って】
甘楽《あ、すみません太郎さん! 緑鬼丸とはですね、矢霧製薬と連携していた会社……緑園(みどりぞの)が雇っているヤクザの連中なんですよーぅ》
セットン[ヤクザって]
セットン[用心棒みたいなものなんですか?]
甘楽《まぁ簡単に言えばそうなんですけどね》
甘楽《何か、その会社のお偉いさんたちは、あくまで「社員」って言い張ってますけどねー》
甘楽《ほんっと大人って汚いんですから! ぷんぷん!》
田中太郎【……甘楽さん、何か緑園会社に恨みでも?】
田中太郎【やけに私情が入っている気が】
甘楽《いやー実はこの前仕事でその会社が邪魔してきましてー! ほんっとムカつくなぁって☆》
セットン[☆って(汗)]
罪歌{あの、}
罪歌{わるぐちは、よくないと、おもいます}
甘楽《あ、そうですね》
甘楽《甘楽ちゃん、ちょっと燃え過ぎちゃいましたー☆ なんちゃって!》
田中太郎【あ、っと】
田中太郎【それで、甘楽さんが初め言ってた面白い情報って何ですか?】
甘楽《ふふん、聞きたいですかー?》
セットン[焦らさないでくださいよ]
罪歌{あの、わたしも、ききたいです}
甘楽《まぁまぁ、そう焦らずにぃ〜☆》
田中太郎【で、何なんですか?】
甘楽《もう、太郎さんもですかーぁ? しょうがないですねー》
甘楽《実はですねぇ……》
♂♀
「……ふんふんーふふーんふーんふっふーん……」
路地の暗がりから、どこか音程の外れた鼻歌が、少女の耳を掠めた。誰もいないとずっと思っていたせいか、誰かがやってくるということに多少の安堵を覚える。
しかし、その安堵も違和感へと変わった。
(…………あ、あれ? この先って……“行き止まり”じゃなかったっけ?)
……そんなささいな疑問は——————突然目の前を通過していった、“シャベル”によって、思考が中断された。
「うっ……うわああっ!?」
彼女を羽交い絞めにしていたヤンキーの1人の顔面に刺さろうとしてシャベルは、そのヤンキーが仰け反ることにより、さらに加速して通過し続ける。
「きゃあっ!?」
彼女の鼻先を掠めて通過したシャベルは、そのまま背後の壁に、どんな金属で作られているのか————がちんと衝突するような音を奏でて、刺さった。
びぃん、と少しの余韻を残したシャベル。そのシャベルをもう一度見て、ヤンキー5人と少女は言葉を失う。
「ふんふーん、ふふん、ふーん……」
テンションがやや低めの鼻歌は、無言になったヤンキー達を嘲笑うかのように、ただ淡々と音を響かせている。
……静寂に包まれている中、ようやく路地の奥から、シャベルを投げたと思われる“誰か”が出てくる。第3者介入に、ヤンキー達は暗がりに目を見張った—————
♂♀
甘楽《実はですねぇ……》
甘楽《最近、変な子が池袋をうろうろしてるそうなんです!》
田中太郎【変な子って……】
田中太郎【迷子とか、そんなのですか?】
甘楽《いえいえ、そんなのじゃないですよー!》
甘楽《実はその子……》
甘楽《自分のことを、“奪い屋”って名乗るみたいですよーぉ!》
セットン[奪い屋?]
セットン[それって、首無しライダーの運び屋みたいなのですか?]
甘楽《違いますって》
甘楽《あのですねー……その奪い屋って子は》
甘楽《人間の悪いところを奪っちゃうらしいですよぉ?》
♂♀
暗闇の中から、ゆらりとおぼつかない足取りで誰かが出てくる。そんな時、ヤンキーの1人———皆に指図をしていた男が、歯軋りをし、人影を睨みつけた。
「てめぇ……何者だ!? あぁ!?」
いかにもヤンキーというような台詞を口にした男は、威厳を保ちながら、憎憎しげに出てきた“少年”に怒声を向ける。
しかし少年はそんな男にさえ一瞥もくれず、右目を隠す、伸びた前髪を揺らして—————虚ろな表情で、まるでそれが自分の義務であるかのように、冷たく告げた。
「…………“奪い屋”です。どーも」