二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 空 【銀魂】 24話&新キャラup!! アンケ実 ( No.433 )
- 日時: 2010/11/05 23:24
- 名前: アリス (ID: /jbXLzGv)
—特別番外編 空は蒼く、蝉が鳴く—
ある日。
璃李奈達は、其の日の夕飯の買い出しに出掛けようとしていた。
「怜緒!!早く来いよ!!」
「ちょっと待って!!」
忙しなく動き回る怜緒。
今日は、スーパーで5時からタイムセールなのだ。
殆どの品物が全品半額だったりする。
半額じゃない物は、3割引きであるのだ。
スーパーは凄い場所だ。
二人が家から飛び出した瞬間。
璃李奈が、勢い良く転んだ。
“何か”に躓いて転んだ様だ。
璃李奈は頭を擦りながら、其の“何か”を見た。
水色の髪。
青白くなった肌。
腹部からは大量の血。
「人、間………?」
「璃李奈!!今すぐ家の中に運ぼう!!此の子、生きてる!!」
死にかけではあったが、彼女は確かに生きていた。
怜緒は咄嗟に其れを判断し、家の中に運んだ。
二人で何とか家の中に運び、傷口を見る。
「…何かで、刺されてる…?クナイ?刀?…よく分からない…けど、大丈夫だよ璃李奈。此の子、助かるよ!!」
「…別にどうでも良い…其れより、何故こいつは死にかけてる?」
不老不死の力を持った二人には、分からないことだった。
何故人間は皆、こんなに脆いのか。
何故人間は皆、簡単に死ぬのか。
二人は少しずつ、まだ不老不死の力を持っていない頃の気持ちを失い出していた。
「…分からない。とにかく、早く助けなきゃ…死んじゃうよ!!」
———分からない。
分からない。
何故そんなに皆、脆いのか。
脆いのに、生き残ろうと努力するのか。
———————————
暫く時が経ち、彼女は目を覚ました。
毎日の怜緒の看病。
そして、迅速な判断により、彼女の命は救われた。
「此処、は……」
「此処は僕達の家だよ。君は、僕達の家の前で倒れてたんだ」
怜緒がいきなり現れたことから、彼女は驚き、声も出さない。
怜緒は苦笑いを浮かばせ、彼女の頭を優しく撫でた。
「君が何故、あんな所で倒れてたのか…僕達は聞きたいんだ。どうして?」
彼女は口を閉ざしたまま、答えない。
痺れを切らしたのか、璃李奈が彼女に近寄る。
彼女はビクリと体を震わせ、璃李奈を見た。
———嗚呼、見たことがある…此の怯えた瞳を。
誰もが璃李奈達が不老不死だと知ると、此の様な怯えた瞳を向けた。
又は、畏怖の瞳を。
璃李奈達はそんな瞳を見せる人間が大嫌いだった。
其れ故に、璃李奈達は其の能力を隠して、色々な場所を転々としていたのだ。
「…答えろよ。俺達には、聞く権利がある」
彼女は口を閉ざしたまま、何も答えない。
璃李奈は苛々しながら、彼女の近くに座り込んだ。
「お前、訳アリだろ」
「…そうや無かったら、話しとるわ…」
「…良いよ、璃李奈。拒否されるのも承知の上だったしね。そう簡単に情報を提供してくれる訳も無い」
僕が彼女ならそうしてる、と付け足し、怜緒は其の場を去った。
彼女は頭を下げ、申し訳無さそうにしていた。
「…まぁ、良いだろ。お前が何から逃げてるか、教えてくれなきゃ俺達もお前を守れない。お前が何から逃げてるか、教えてくれないか」
「…忍者…忍者や…」
彼女は、か細い声で呟いた。
其処から彼女について聞き出すのは簡単だった。
実は彼女は始末屋、と呼ばれる忍者で。
任務を失敗したことにより、殺されそうになった。
命からがら逃げて来たが、痛手を追い、璃李奈の家の前で力尽きた。
———ということであった。
「多分相手方はウチが死んでると思い込んでる。だから、大丈夫やと思うんや。けど、油断は出来へんねん。まだ傷が完治して無い以上、見付かったら即刻始末される。ウチは身寄りも無いし…お願いや!!此処に住まわせてくれへんやろか!!」
二人は顔を見合わせて、笑った。
———愚問だった。
其の様なお願い、当たり前で。
「良いよ!!むしろ、ようこそ!!」
怜緒が嬉しげに微笑みながら、彼女の手を掴んだ。
新しい仲間が出来た。
長い間生き続けている二人には、凄く嬉しいことだった。
アリス達や、今生きているみんなも、いつかは二人の前から姿を消す。
其れが二人にはとても悲しくて、辛かった。
———何故、みんなと同じ時を歩めないのか。
其れは二人の心を少しずつ蝕んでいた。
両親も死に、当時の友達も死んだ。
世間に認められない二人を認めたのが、アリスと銀時であった。
「あぁ、僕は御月 怜緒だよ」
「俺は御月 璃李奈だ」
「う…ウチは、彗や。よろしく頼んます」
(新たな仲間に乾杯しようか!!)
(彗は未成年じゃないだろ?今日は飲もうぜ)
(あ、ウチ…下戸なんやけど)