PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 影はやがて、笑い出す ( No.3 )
- 日時: 2010/07/15 21:45
- 名前: 白柊 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
- 参照: http://部活地獄開催は近い! そして曲は完成しない!!(←
∮影はやがて、笑い出す
〝サァ、コチラヘオイデ〟
脳内にそんな言葉が響いた。
若者の様な感じの、青年の様な感じのする声。
その声が自分に来い、と呼ぶ。
悪夢の、中で。
〝夢ジャナイ、現実ダ〟
声はさらに響く。
こちらの意図を察するかの様に言う。
しかし私には直ぐにわかる。
これは幻で、決して存在しない。
人を惑わし滅ぼす、〝影〟だ。
〝此処ヘ来テ、私ヲ救イ出シテクレ〟
影は苦しそうに、言う。
どうせ嘘だと分かっているのに思わず同情する。
この影は私に救いを求めているんじゃない。
私に来て欲しい訳でもない。
私を引きずり込もうとしているだけだ。
「……違う」
ふと呟く。
そう、これは間違っている事。
この声は人として存在していないし、救いも求めていない。
全ては幻覚であり幻であり影である。
自分にそう、言い聞かせる様に。
「お前は、何も求めていない」
声は、哀しそうに呻く。
どうせそれさえも、嘘なのに。
所詮は存在しない、影だから。
存在しようと、実在しようと、私を惑わし滅ぼそうとしているのだ。
〝違ウ、違ウンダ……此処カラ出シテ欲シイ……此処ハ、苦シイ……〟
いかにも苦しそうに。
そしていかにも哀しそうに。
影は私に向かって訴えていた。
もしかしたら涙を溢しているかもしれない。
けれども、微塵も同情する気持ちが自分にはなかった。
こいつは〝影〟で、人を惑わし滅ぼそうとしているから。
その苦しみも哀しみも涙も全ては幻だから。
「……裏切り者のお前の意図は読めてるよ、其処に居ろ。」
冷たく、冷酷に吐き捨てる。
少しでも温かく返せば影はすぐさまに心の底へと入り込み私を蝕むからだ。
「……所詮、幻だから」
そう影に向かって言い、私は去っていった。
幻には実在なんてありやしない。
全ては嘘であり、幻覚なのだから——————
PR