二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.305 )
日時: 2011/07/17 09:48
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: iEhb5hB8)
参照: 分かってること言われるのは、大嫌い。

*+第三十四話+*


「で、明日は青学と試合か」

テニスラケットを肩にかけている集団は階段をゆっくり降りる。

「千歳が退部届け出すなんてな。手塚と対決したい、言うとったのに」
包帯を巻いた人が言えば、ピアスの人はポケットに手を突っ込む。
「ま、そんぐらいの気持ちやった言うだけっすわ」
毒突く彼に、“財前”の一言。

「なー!! ワイも“コシマエ”と戦いたいぃぃ!!」
「金ちゃん、静かにせぇ」
「せやけどー」
「それにや、そないにジタバタ動いたら、誰かに当たるやろ」

包帯とトラ模様が喋ってると、“あ”と言う周りの声。

「え、うわぁ!!」
包帯の言われた通りになった、とでも言うべきか。
トラ模様の彼と、小柄の少女がぶるかる。

「言わんこっちゃない」
はぁ、と溜息を付きながら、包帯は少女に手を伸ばす。
少女の背中には、大きなテニスラケット。

「自分、大丈夫か??」
少女は手を伸ばし、彼の手に掴まる。
そうすると、包帯の彼は、引っ張り少女を立たせた。

「すまん!! 怪我してへんか…??」
恐る恐るぶつかった彼が聞くと、彼女は帽子を取る。
そして、ニッコリ笑った。

「大丈夫です」
帽子を取れば、紅い髪は、太陽に光る。
「自分もテニスやるん?? ワイは“遠山金太郎”や!! よろしゅう」
ニコニコ笑う彼に、一瞬驚くものの、彼女は笑った。

「テニスはまぁ、やりますよ。遠山クン、宜しくね」
ニコニコと少女も、彼に引けをとらない笑み。
「なぁ!! なら、今度試合せぇへん?!」
キラキラと笑う彼に苦笑いの少女。

「あ、そろそろ待ち合わせ時間なので、行きますね。失礼します」
ペコッとお辞儀をすると、向こう側に走っていく少女。
「見事にかわされたなァ、金ちゃん」
白石が言うと、“?”の金太郎。

「にしても、胡散臭い笑顔っすわ」
財前は彼女が消えた方向を見ると、白石に視線を移す。
「名前も言わんかったなぁ、会うのは難しそうやで」
白石は、金太郎の頭を撫でながら呟く。

「“リンネ”ちゃん、って言うみたいやわ」
小春の言葉に、眉を寄せる白石。
「さっき、テニスバックのとこに書いてあったんよ。ローマ字で“リンネ”って」
小春とユウジがイチャついていれば、白石はもう一度彼女が居なくなったとこを見る。

「もしかしたら、会えるかもしれんなァ」





なんて、嬉しそうに呟いて。





***

「……」

彼女は今、立海レギュラーと歩いている。
だけど、
“さっきの言葉”が離れなくて、考えながら歩いていた。

「銀花!! ったく、聞いてんのか??」
大きめの声で、彼は銀花の顔を覗き込む。
「あ、ごめんね。赤也」
銀花は、「で、何かな」と話を振るが、彼は頬を膨らましている。

「銀花、考えながら歩くと、どっかにぶつかっちゃうよ??」
笑いながら、それでいて心配そうに幸村は銀花に言う。
「つか、銀花。“さっきの電話”から様子、おかしくね??」
ブン太はガムを膨らませると、なぁ、と言いながら仁王を見た。

「あー、いや、大丈夫ですよ。少し、考え事してただけなので」
銀花は「早く、行きましょう」と言いながら、先頭に行く。

(大丈夫、朔夜なら、大丈夫。そうだよね、朔夜)




彼女は前を真っ直ぐ見ながら、不安でいっぱいな心を落ち着かせる。



***



「もしもし、輪廻?? どうしたの??」
電話を出れば、向こうから聞こえるのは、水の音。
“残念だけど、俺は輪廻じゃない”
輪廻の声でだけど、輪廻より鋭い声で彼女は言う。

銀花はそれに驚いて、勢いよく後ろを振り向いた。
そこには、楽しく談笑してる立海レギュラーが不思議そうに銀花を見ている。

「あ、すいません。ちょっと席外します」
ペコッとしてから、銀花は少し先の方へ走っていく。
“なんだ。立海と一緒に居たのか”
朔夜の勘の良さや鋭さに、銀花は溜息しかでない。

「うん。それより、何の用??」
普段、彼女、朔夜が銀花に電話することなんかない。
と言うか、多分、これが初めてだろう。

“あー、お前にも伝えておこうと思って”
「何を?? ってか、他に誰に言ったの」
“そーいうのは、相変わらず鋭いんだな”
「煩い。それで、何を伝えたいの??」

時折優しい声だが、かなりキツめに言う銀花。

“俺の器が危ない、ってこと教えようと思って”
朔夜が言えば、向こうから息を呑む声。
“でも、それで黙って居座るほど、俺も馬鹿じゃない”
銀花は彼女の話す言葉を、静かに聴く。

“俺は、輪廻との約束を果たしたら、消えるつもりだ。で、そのことで”
「ちょ、ちょっと待って」
銀花が慌てて言えば、“なんだ”と朔夜の声。

「どうして、銀花なの?? 唖李栖とか紅蓮の方が」
“あの二人には言うな。言って、来られても困る”
キッと、朔夜が言うと、銀花は口を閉じる。

“それで、お前以外に言ったのは、仁王だ”
銀花は思わず振り向いた。
そこには、微かだが笑ってる仁王の姿。

“じゃぁ、な”
銀花が何かを言う間もなく、朔夜は電話を切った。

***









































銀花はいつも見てばかり、みんなは一歩先に進んで行っちゃうの。