二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】曇空にも月は輝く キャラ人気投票中! ( No.119 )
日時: 2010/12/12 11:24
名前: 瑠々 (ID: 5YaOdPeQ)

番外編「哀しき日」——リリより

「そーごーッ!マヨラーが見回り行けって」

昼の真選組屯所に日向の声が響いた。
今日は特に何の事件も無く、皆ボーっとしていた。
総悟もその一人・・・、の筈なのだが、今日は「へいへい」と言うと、日向の横を通り過ぎた。日向は、

(総悟、熱でもあるんじゃないか?)

と本気で心配してしまった。

−−−−−−−−−−−−−

日向は、見回りが終わって局長室に向かった。
理由は総悟が元気が無いから何か知っているか、と言う事。

「局長ーッ!総悟が元気無いんですけど、何か知りませんかー?」

日向は局長室を開けると、ズカズカと入った。
すると、近藤は日向の質問に眼をキョロキョロ。

「局長?あたし短気なんです。さっさと答えないと
その頭、かち割りますよ?」

「あ、あのな、今日は命日なんだよ」

「命日って誰の?あ・・・ッ!」

そう、今日は総悟の姉、ミツバの命日だった。
日向はミツバとも幼馴染だったし、自分の姉の様に
慕っていた。ミツバが亡くなったのは当時、武州に居た日向の元にも知らせが届いた。

(・・・だから様子がおかしかったんだ・・)

日向は急に悲しくなってしまった。

−−−−−−−−−−−−−−

そしてあっという間に夜になった。
真選組隊士は皆、深い眠りについている。
そんな中、日向は総悟の部屋へと向かった。

「総悟?」

日向はゆっくり襖を開けた。総悟は布団も引かず、
部屋の窓を開けて、空を見ていた。

「日向?如何したんでぃ」

総悟は日向に気付き、悲しそうな顔で日向を見た。

幼い頃から総悟と一緒に居た。
だが、総悟の悲しそうな顔何て一度も見た事が無かった。

「総悟、今日ミツバ姉ェの命日だったってね・・・」

「あぁ・・・」

そして、長い沈黙が続いた。

励ましたい。
元気付けたい。
でもどうやって?
何て言って励ませば良いの?

そんな言葉がグルグルと日向の頭の中で廻る。

(あーッ!もうッ!!)

日向は何を考えたのか、勝手に押入れを開け、枕を
取り出した。

「総悟ッ!!」

「?」

ボフッ!!

「何すんでぃッ!?」

そう、日向は総悟に向かって枕を思いっきり投げたのだ。

「何しらけた顔してんのッ!!毎日ムカつく顔してるのがアンタだろ!?沖田総悟だろッ!?ミツバ姉ェの命日だからって何だよ!!お前は何があろうと、ヘラヘラしてんのがお前だろッ!!!」

「日向・・・」

日向の声が部屋中に響く。
すると、日向の瞳から涙が零れ落ちた。

(え・・・・?)

何故だか分からない。
だが、自然と涙が零れる。
すると、総悟はフッと笑った。

「・・・ありがとう、な」







その後、日向の大声が五月蝿くて土方が説教に来たのは言うまでも無い。

                    〔終〕