二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】曇空にも月は輝く キャラ人気投票中! ( No.164 )
日時: 2011/01/24 14:49
名前: 瑠々 (ID: TV9sr51/)

第三十二訓「大きく金色に輝く月」


「芹奈姉ェ、破斗兄ィ。勝負しよー!」

一軒の普通の民家に幼い少女の声が響き渡る。

「いいよ。破斗、竹刀持って来て」

「了解、姉さん」

そう返事をすると、素早く動いた。



「負けたーッ!」

月奈が縁側に腰掛け、横に竹刀を置いた。其れに続いて、芹奈と破斗も腰掛けた。

「でも、月奈は飲み込みが早いよ」

「そうそう。破斗が負けそうだったし、私とも互角だったし」

「本当ッ!?」

月奈は、芹奈と破斗の言葉に目をキラキラと輝かせた。
破斗は月奈ににっこりと笑い掛けると、部屋の中へと入っていった。
すると、芹奈は月奈に耳打ちをした。

「ねぇ月奈。お姉ちゃんと一緒にもっと強くならない?」

芹奈の言葉に、月奈は一瞬考え込んだが直ぐに首を振った。

「ううん。私、自分なりに練習して強くなりたい!!」

月奈は芹奈に笑って言った。が、芹奈は鋭い目付きになっていた。
芹奈の表情に、月奈は全く気付いていなかった。



「待って、芹奈姉ェ!!何処行くの!?」

肌寒い夜。月奈は寝巻きと裸足と言う状態にも関わらず、夜道を一生懸命に走り、自分の前を振り向きもせず歩く芹奈を追った。

「———着いて来るなッ!!」

芹奈の怒鳴り声に月奈は目を見開き、足を止めた。芹奈も足を止め、首だけを動かし、後ろを向いた。被った灰色の長いマントで顔は良く見えなかったが、今芹奈がどんな表情をしているかは想像できた。

「弱者に興味は無い。こんな温い所にいたら、剣の腕も鈍ってしまう」

芹奈はそう言うと、腰に差していた刀を握った。其れは桜井家の刀では無い刀。
芹奈は再び足を動かす。其れと同時に月奈も走り出す。

「待って!芹奈姉ェ!!」

「五月蝿いッ」

芹奈は近くに来た月奈を思いっきり蹴り飛ばした。月奈の小さな体が後方に飛ぶ。芹奈は不気味に笑うと、高々と飛び、民家の屋根伝いを走った。

「芹奈姉ェェェェェ!!!!」

夜空に只、月奈の叫び声が響き渡った。
其の様子を大きく、金色に輝く薄気味悪い月が見ていた。