二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】曇空にも月は輝く キャラ人気投票中! ( No.165 )
- 日時: 2011/01/24 15:34
- 名前: 瑠々 (ID: TV9sr51/)
第三十三訓「強い奴しか興味が無い」
あの日、あの時、自分を見捨てて何処かへ消えた姉。
もう二度と会えないと思っていた姉が今、目の前に居る。
そう思うと、あの楽しかった日々を思い出す。
「・・・・何で・・此処に・・・」
「あの後しばらくしてね、高杉に拾われたんだ。まさかアンタの知り合いだったとはね」
『高杉』。
其の名前を聞いた瞬間、月奈は目を見開く。日向と自分を襲った『鬼兵隊』は自分も知っている高杉晋助が率いている隊だったのだから。
「・・まさか、晋助が日向を・・・・?」
月奈の言葉に春麗はクスリと不気味に笑うと、後ろを向く。
「日向を襲ったのは、私と乖離の意思。高杉は全く無関係」
そう言いながら、先程、倒れている乖離の元へ歩み寄る。
近くに銀時が居た為、銀時を斬るつもりでは無いのか、と思い月奈もゆっくりと春麗の後を追う。
「月奈、覚えてる?最後にアンタに言った台詞」
「『弱者に興味は無い。こんな温い所にいたら、剣の腕も鈍ってしまう』」
忘れもしない、この台詞。
此の時、どれだけ悲しかったか。心に残った此の言葉を早く忘れたくて、今までどんなに強くなろうと努力したのだろうか。
月奈は拳を作り、握り締めた。
「そう。『弱者に興味は無い』。そう言った」
其の刹那、乖離が血吹雪を上げて倒れた。
春麗の刀には紅色の糸が付き、髪や額や着物に赤い液体がべっとりと付く。
「乖離、アンタは牙の無い夜叉に一撃だけでもやられた。私は弱者に興味は無い」
氷の様に冷たい目で倒れた乖離を見下ろす。
其の春麗の姿は鬼の様で、銀時は身震いした。
「・・・芹奈・・春麗。お前、自分の仲間を・・・・ッ!!」
月奈は怒りのこもった目で春麗を睨みつける。其の瞳は恐ろしく、
腰が抜けてしまいそうな位だった。
月奈の其の目を見た時、銀時は脳裏に浮かび上がるものがあった。
(今の月奈の目、攘夷戦争の時と同じ・・・)
そう、銀時が思い出したのは‘月夜叉’と恐れられていた時の月奈の姿だった。其の時の瞳は今と同じ目で天人を切り裂いていた。
「・・・月奈、アンタも牙を失った夜叉だ。其れに全く強くなっていない。
そんなのだから、父さんと母さんを助けられなかったんだ」
春麗の其の言葉を聞いた瞬間、再び目の色が変わる。
今度は怒りの色じゃない。驚きの色。
「家を燃やし、父さんと母さんを殺したのは他の誰でも無い。
私だよ」