二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】曇空にも月は輝く【スレッド開設一周年企画】 ( No.227 )
日時: 2011/10/10 11:31
名前: 瑠々 (ID: cebg9jtM)
参照: http://m-pe.tv/u/m/album/?uid

【銀時誕生日特別編】

———紅葉と共に、


赤い紅葉が風に舞い、銀髪の少年の肩に紅葉が一枚、ふわりと乗った。
少年は、瞑っていた目をゆっくりと開け、大きなあくびをした。

ふっと前に視線をやると、うざい長髪と憎たらしい紫の髪の後姿が映る。それと同時に、いつも優しい笑顔を浮かべている師も。


———『己の魂を守る為に』


師に拾われてから一年が経ち、再びこの季節が来た。
今迄戦場で生きてきた少年は、紅葉をちゃんと見るのは二度目。
ちゃんとしたご飯を食べるのも、一年目だ。

今迄は屍の身ぐるみから剥いできた物や、刀を売って金にしたり、たまたま屍が持っていた握り飯を食べたり、近くの村から盗んできた野菜を食べたりと、いつも空腹に耐える生活を送っていた。
勿論、桜や緑の葉や紅葉もちゃんと見たことが無い。

生きるのに精一杯だったから。

(でも、)

師、松陽に拾われてから世界が変わった。
ご飯もちゃんと食べれるし、風呂にも入れる。
血を見ることは無いし、何より、

(『鬼』なんて呼ばれねェ)

身剥ぎして生きていたときは、この銀髪に赤い目と言う変わった容姿から『鬼』と呼ばれて来たが、此処に来てからは違う。

(名前を呼んでくれる)

「銀時」、と。

すると、先ほどまで教科書に視線をやっていた師が此方を向いて、にっこりと、優しく微笑んだ。

(…眠ィ)

少年は、ゆっくり目を閉じた。

————————

「銀時、起きろー」

バコンと、大きな音がしたかと思うと、今度は頭に痛みが走る。

「テメェなにしやがる!つーか人のジャンプで叩くなッ!!」

「何回起こしても起きないからだよ!新八と神楽と七香が『早く行こう』って言うから叩いたんだよ!!」

「行くって何処に…」

銀時の質問に月奈は少し驚いた顔をした。
そして、ピッとカレンダーを指差した。

「今日、銀時の誕生日だから麗が魔亜逗のデザートご馳走するって言ってたじゃん」

「あ。」

すっかり忘れていた。
月奈はやっと思い出したと言う顔をする銀時に呆れ、先に玄関へ行った。

(にしても、なんであんな夢…)

もう何年も前の自分達が幼い頃の記憶。
何故、今頃になって夢に出てきたのか。

「銀ちゃん、はやくはやくーっ」

「誰の誕生日だと思ってんのーっ」

「銀さん置いていきますよ」

「銀時行こう」

玄関で待っている4人の子供達に「おー」と返事を返すと、木刀を腰に差し、ブーツを履いた。


玄関を出ると、あの時とは違う、新しい景色が広がっていた。