PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ---3.我が家の金庫 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/16 17:38
- 名前: 璃莉 ◆Lfyfbq.t.A (ID: FxHN6Bqz)
人の波を掻き分け掻き分け、最初にやってきたのはグリンゴッツ銀行だった。
3three.
ルウェラが鞄の中から鍵を取り出し、小鬼に渡す。
「こちらです」
長い長いトロッコの旅の始まりだ。幸い二人は全然酔わないタイプで、逆に楽しんでいたのだが、弱い人が乗ったらひとたまりもないような道を永遠と走った。
地下深くまで来ると、それからまた小鬼に案内されて、べレスフィールド家の巨大な金庫にやってきた。それはドラゴンが守っている数少ない金庫のひとつだ。中にはその金庫も埋まってしまうほどの大量の金貨が入っている------
べレスフィールド家は純血の名家らしい。そして私たちはその直系に当たる。それはこの金の山も証明している。
ではなぜあんな普通サイズの家で、ごく普通の暮らしをしているのだろうか?
純血名家ならブラック家やマルフォイ家みたいに、先祖から受け継いだ大きなお屋敷で屋敷しもべとともに暮らしているのではないだろうか?
まぁ、そのような暮らしをしたいわけでもないが。
これはグリンゴッツに来るたびにエリサが思うことだ。しかしエリサは未だその答えを知らない。母親や父親に尋ねたこともあったが、そのときは共通してひどく悲しそうな顔で
「いずれ分かること」
と言われただけだった。
でもエリサが推測するに------親戚が一人もいないことと関係があるのだろう。
「どうかしたの? 」
物思いにふけっていたエリサに、ルウェラは不思議そうに尋ねる。
「ううん、何でもない! 早くお買いもの行こっ! 」
------ママとパパの言うとおり、きっといつか分かることだよね!
エリサはルウェラの手をひっぱり、青空の下の通りに飛び出した。
それを背後からじっと見つめる、黒い影があることにも気付かずに。
PR