二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

【壱話】  物語の幕開け ( No.3 )
日時: 2010/11/27 13:08
名前: 無幻 (ID: 8hgpVngW)
参照: 何気にリレー小説とかだったりしちゃう。


「おい、お前ら誰だ」


寝ているのだから返事が返ってくる事もなく、ただ壁に反響し、また私の元へと戻ってくる。
軽く鎧を蹴っ飛ばしてみる。あ、頭外れた、どーしましょ。頭を持って鎧の中を覗く。ユナは持っていた頭を落として目を丸くする。


「……んでっ」


消え入りそうな声で呟く。そっと耳を澄ますと後方からユナを探す声が聞こえている。多分、呼んでいるのは先程までプチ戦争をしていた男達だろう。


「ねぇ」


目の前の首無し、じゃなくて中身無しの鎧が話しかけてきた。


「なに、かな」
「其処の頭を取って欲しいんだけど…」
「ん、あぁ……勝手に取って悪かったね。全部…聞こえていたんだろう?私も気をつけて発言しないとな…」


一言多めに言う。鎧は頭を受け取ると立ち上がり、小さい方の金髪三つ編みを揺らして起こそうとする。


「兄さん、起きて」
「…ふわーぁ、おっアル」


え、そっちが兄さん?おっと、いけないいけない、人は見た目で判断しちゃ駄目だね、少なくとも鎧君の方はいい子そうだしね。


「なぁアル、コイツ誰?」
「僕に聞かれても…」


私の事か。それにしても馬鹿かこいつ等は。こっち見て内緒話みたいにされても不愉快なだけだろ、少しは考えろよ。


「お前さ、此処の家の奴知らねーか?」
「……此処は、私の家だが?」


二人は顔を見合わせた。直ぐにこっちに向き直り、私に向けて声を放つ。


「お前…っ、人体練成したのか…!?」
「じんた……何て?」
「じ・ん・た・い・れ・ん・せ・いだっ!!」


なるほど、チビの方は短気だな。


「そんなもの、した覚えが無い。この部屋が血塗れているのは…………これは、秘密事項だ」
「そうか…なら、」


ホッと溜息をつきながら少し言葉に詰まっている。


「お前、ユナ・ドールスタって奴、知らないか?」
「…………私だが」


チビはクッと喉で音を鳴らし、此方を見据える。


「俺ァ、国家錬金術師エドワード・エルリック様だ。ちょっと、セントラルまで同行してもらうっ!!」


コイツ、今さり気無く「様」つけたよな。
ふぅん……って事は軍人様ですか。あ、私も「様」つけちゃった…プチショック、ガーン。


「いいよ、連れて行かれてあげようじゃないか。んで、そこの鎧の君にもお名前聞かせてもらおうか。私だけ知られたんじゃ不公平だろう?」
「僕は、この人の弟のアルフォンス・エルリックだよ。よろしくね、ユナ」


エドワードを指差した後、握手を求めてきたので応じる事にした。しかも、早速呼び捨てかい、コンニャロー。


「丁度、セントラルには探し物があったんだ。エドワードは国家錬金術師なんだろう?なら、ちょっくら私の用事にも付き合ってもらおう」


かくして、私、ユナ・ドールスタと二人の錬金術師との物語の幕開けだ。