二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: MH 紅蓮の大陸 Ep1.黒狼  第五話更新!! 色々募集! ( No.30 )
日時: 2011/04/03 14:03
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: sCAj955N)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=11042

アビス様へ
オリキャラサンクスですvvうん,確かに見覚えが有ります(苦笑
防具は凄い使い易そうですが全然OKです^^
アルセイス達と近い年齢と言うのも気に入りました!

僕だって説明充分なんて思った事は余り無いですよ。
何時だってビクビク怖いよぉです(苦笑

体暖まります…火照ります♪
まぁ,福島だから最南端ですが…
そうなんですかぁ…雪景色綺麗ですよぉ?雪かきと車の運転は大変ですが(苦笑
はは,それはそれは…暖房なくて何とか寒さ凌げるんだから此方としては良いなって感じがしますがね(苦笑




Monster Hunter〜
 紅蓮の大陸 Ep1 黒狼
 〜設定資料集Part5〜

町やフィールドについて Part3

11.セミュウアス大草原(フィールド)


エリア数は10と少なめで一つ一つのフィールドが広い。
中央のエリア4は大型モンスター及び小型モンスターの憩いの地で常に水が湧き出していて池が出来ている。
エリア6とエリア7が洞窟になっていてセミュウアス大草原唯一の採掘ポイントが有る。
昔文明が有ったのかあちらこちらに墓標の様な物が立てられていて其処を調べると黄金が手に入ることでも有名。
草丈が高くエリア一つ一つが広い割には見晴らしが良くない。ブルファンゴやコンガすら隠れてしまう程の草丈の場所もある。
代表的な大型モンスターはロアルドロスやババコンガで注意すべき存在はリオレウスやナルガクルガの名が上げられる。


12.ファイアニアス火山(フィールド)


エリア数は15。狭いエリアと広いエリアに大きく別けられている。
複雑に入り組んだ立体的な地形で地形全体を把握するには時間を要すると言われる。
獄炎石やエルトライト鉱石等の貴重な鉱石類や大紅蓮花等の火山特有の物も多く取れる。
代表的なモンスターはべギアロス(オリジナル)やショウグンキザミである。
注意すべきモンスターはアグナコトル・ウラガンキン・グラビモス・ティガレックス・ディルバイオス(オリジナル)・リオレウス
群雄割拠の場所と言って良いだろう。
また,古来よりの敬称によるとこの火山の奥には巨大な祭壇が有るとされている。
誰も目撃者は居ないが人間より長く生きていて知識の豊富な竜人族の男がその情報が真実だと言う為人々は信じてやまない。


13.ルーフェンス峡谷(フィールド)


エリア数は4で地方では最も少ない。
道も一方通行で単純だが,何か取り立てて取れるような物は無い。
エグレアナ地方の北東の境界線付近にある峡谷で関所の役割と
外界から来る地上移動型の巨大生物に対する防衛ラインでもある。
大砲やバリスタ・龍撃砲が完備されている。
毎年この峡谷を渡りラオシャロンやシェンガオレンがエグレアナ地方へと入り込もうとする。


14.グランキャスカ(街)


かつてエグレアナ地方の危機を救ったとされる
英雄グランとその妻であるキャスカの名が冠される街。
街の中心には巨人が振うにしても巨大すぎる大剣の形をした英雄への墓標が立っている。
厳しい風土の場所に囲まれているお陰でモンスターからの襲来も少ないが
多くの町や村とは離れて居て町と町(村と村も同義)の間には
必ず大型モンスターが縄張りとする区間が有るため交易が滞りやすい。
しかし,この大陸の主達は此処を英雄の地と尊び重要視して居る。
其のお陰で他の町々との交流も途絶えず
厳しい土地ゆえに多くの熟達者ハンター達が招集されている。



15.シナント(街)
ファイアニアス火山の近くにある最近街として登録されるようになった炭鉱夫の街。
街の人々は基本的に情に厚く血気盛んで伸び盛りの街である。
鉱石を加工する技術に長けた竜人族の男が立てた街で大陸内で最も鍛冶屋が多い街でもある。
近くに鉱山が多いため鉱石の採掘にも事欠かない。



MH 紅蓮の大陸 Ep1 黒狼
第五話「紅蓮の山」

クエストを受注した次の日,各々準備を整え早朝に約束の場所に集まる。
夫々,武器・防具の確認を行う。
相手に応じて装備の能力,特にスキルや相手の弱点属性を吟味するのはハンターとして常識だ。

先ずはチームの最高戦力,
アルセイス…ティガレックス・ショウグンキザミに大ダメージを期待できる雷属性の太刀
鬼哭斬破刀にティガレックスの咆哮の対策として防音珠で性能を底上げしたガルルガSシリーズだ。
次にリーダーを務めるツヴァイ。武器はアルセイスと同じ考えから
ティガレックスとショウグンキザミの弱点を突く為に雷属性のガンランス,フルボルテージ。
防具は高い防御力を誇る故の囮の役割をより確実にこなすためにグラビドSシリーズを着用。
次に手数の多いアタッカー的存在であるトットナム。
武器は雷属性と麻痺属性を有する 祭囃子・野分ノ調 で前回と変わらず。
更にべギアロスは麻痺しやすいためベストチョイスと言えるだろう。
そして防具はティガレックスやショウグンキザミよりはべギアロスを想定して決定したのだろう
べギアロスの基本攻撃に多く含まれる火攻撃に対する耐性に優れ
見切り+3と風圧【小】無効を持つディアブロSシリーズだ。
最後に後方支援と主とするメンバー唯一の女性イリア。
武器はベルサーと同じくティガレックス達よりべギアロスを想定している風である
べギアロスが苦手とする水属性の力を持つオオバサミⅣ。
防具は珠の力により装填速度+2 徹甲榴弾LV1追加を有したザザミSシリーズだ。

彼等,宵桜の面々としては是が今回のクエストに対するベストチョイスとなる。
装備の選択が間違えていないという事を自分達なりに議論しあい合意し次は道具の点検へと移る。
砥石・回復薬グレート等の基本的なものから閃光玉等相手によって使い分ける物…
点検しあい段取りを一通り歩きながら議論して竜車の止まっている場所まで進む。

町の門の近くには待ち兼ねた様な様子の騎手が
バツの悪い表情を浮かべながらタバコを一服している。

「遅いぞ…三分も待たせるんじゃねぇ」
「細けぇやっちゃなぁ」

基本的にハンターを狩場へと連れて行く竜車を運転する者はギルドにより選定される。
街の規模により運転手の数は違う。と言うのもハンターの数が違うからだ。
ハンターの数は基本的に街の規模により変動する。当然だ。
人の数が多ければハンターを志すものの数も増える。
そして,大きな街ほどハンターが多いとなると大きな街ほど危険な仕事の依頼が舞い込み易くなる。
事実一人もハンターの居ない村もありその様な場所は街のハンターが派遣される。

基本的に竜車の運転手は決まったハンターしか運搬しない。
ハンターズギルドを仲介して申請しハンターになった初心者ハンターの頃に先ず一度,
専属の運転手が儲けられ次に狩人として場数を踏み猟団を組むと
そのリーダーの専属の運転手がその猟団の専属の運転手となる。
無論,何年立っても一人で狩りを続け最初の頃の運転手とだけ関係を築く者も居る。
数は限られているが…

そんな中,待ち合わせの場所には見慣れない運転手の男。
専属の運転手が何らかの理由で死去したのかそれとも病気等で欠席しているのか。
眉間に皺を寄せている短気そうな騎手の男にトットナムを諌めながらツヴァイが問いかける。

「うむ,今日は彼は?」
「あぁ…親父,昨日風邪こじらせてな…熱も凄いし家で休ませてる」
「珍しいですわね…彼が病気で欠勤なんて」

「俺だって親父が病気に掛かるなんて今まで経験した事ねえさ…
まぁ,兎に角死にはしないと思うから今回は俺に任せてくれよ」


男は少し眉間の皺を緩めツヴァイの双眸を右左交互に見遣った後に思慮深げな表情を浮かべて言う。
どうやら彼は何時も来る運転手の男の息子で彼の父は今,珍しく病魔に取り付かれていると言う事だ。
驚く,イリアに男も一頻り頷き同意する。彼は見た所,若者所帯の宵桜の面々より年上だ。
五歳以上は年嵩だろう。その彼でさえ父が病で苦悶する姿は見た事が無いというのだ。
だが,彼は生来の父の体の頑強さを知っているゆえか絶対乗越えると信じていると言う風情で
任せてくれてオ言う。最も所詮は風邪だと言う短慮さも有ったのだろう。


男は挨拶を済ますとその場から立ち上がり竜車へと乗り込み乗車してくれと合図する。
彼等はその手振りを見て,竜車の扉を開き乗り込んだ。
男は全員が乗車した事を確認すると備え付けられていた鞭を振い
アプトノスに走行の命を出す。


____________

ファイアニアス火山キャンプ場付近。
グランキャスカの街から南西へと狭い峡谷を渡り森を抜け道程凡そ五時間。
目的のファイアニアス火山のキャンプ場に一団は到着する。
久し振りのファイアニアス火山の雰囲気をベルサー・トットナムは一頻り体感して
「矢張り熱いな」等と当然の事を一人ごち体を暑さに強くする効果を持つクーラードリンクを飲む。

飲み干した頃には自分たちハンターを乗せて此処まで来た
竜車のガタンゴトンと言う凸凹道を通る時に車輪が鳴らす音も小さくなっていた。
是から二十四時間がハンターに与えられた狩猟の猶予期間だ。
其れを過ぎると狩りは失敗と見なされ例え其の後大型モンスターを討伐しても
報奨金が貰えなくなる。
今回は,三体の大型モンスターが相手の難易度の高いクエストだ。

特に危険なのは轟竜と称されるティガレックスだ。
赤茶色と緑の縞模様の翼が四肢の役割も果す特殊かつ原始的な飛竜種,
俊敏性と体力に優れ凶暴な一流のハンターでも注意すべき存在である。
べギアロスとショウグンキザミを一手に相手するよりも困難が付き纏うだろう。

彼等は今回,ティガレックスを相手にする組と
べギアロス達を相手にする組で二手に分かれることにした。
前者はアルセイスとツヴァイ…そして,後者はトットナムとイリアだ。
宵桜の戦闘力の単純な序列は一位がアルセイスで二位がトットナム,
三位がツヴァイで其処から大きく引き離されて援護射撃を主とするイリアと言う順番だ。

詰りはティガレックス一体を相手にする組と
ショウグンキザミ達を相手にする組とで大きな戦力差が有る。
相手が二体でも尚,ティガレックスの方が危険と言う証明だ。
一応二手に分かれる作戦を取った理由を説明すると
彼等は三体の大型モンスターを同時に相手にするのはには力量不足だという事
そして次に彼等の行動パターンだ。

大型モンスターは基本的に本能ゆえか其の体構造上仕方ないのか行動エリアが決まっている。
如何に奴等が統率を取って敵を襲ってくると言っても盲点が有るのだ。
エリア六とエリア九はショウグンキザミとべギアロスしか行動を取らないのだ。
そして,奴等は基本的には気性が荒く最も力が上であるティガレックスに敬意を評してか恐れてか
はたまたティガレックスの暴君が恐ろしいのか
そのエリア九とエリア六のどちらかに基本的には腰を落ち着かせているらしい。
ならば,其のエリアで四人で倒してしまえば良いと言う疑問が生まれるが
二人以上で相手すると奴等は直ぐに逃げ出し
ティガレックスと合流しようとするらしいという情報がある。
逃げる彼等を追いティガレックスと合流するまでに討伐するのは不可能だろう。
結果,二手に別れるのが最も効率的だと踏んだのだ。


アルセイスとツヴァイはキャンプの直ぐ近くにある火口エリア十五への入り口へと進み
ファイアニアス火山,エリア四を通りトットナムとイリアはエリア六へと進む手筈だ。
ティガレックスはエリア十五に最も現れ易いと言うギルドの情報が有ったゆえ,
ペイントボールを持ち火口へと足を運べるアルセイス達だがどうやらエリア全体を見回しても居ない。
その代わり,狩りには邪魔と言って良い人間を視界に留めたら直ぐ
に突進してくる猪突猛進の牙獣ブルファンゴと
けたたましい警戒の声を上げる橙色の毒を吐く鳥竜イーオス。
両者とも一体一体倒すのはそれ程苦労する存在では無いが
ティガレックス程の怪物を相手にするとその鬱陶しさたるや全くの別物と化す。
彼等を軽視する故に本来ならこなせたクエストに失敗しクエスト中に帰らぬ人になることも多い。

「全く,面倒な奴等だ……」
「ツヴァイ…一つ勘違いしている。モンスターなど生きている人にとって全て邪魔な存在でしかない。
俺達に仇名すだけの低俗な屑共だ。死んで初めて役に立つ……」

忌々しげに渋面を造りツヴァイが言う。
其れに対しその考えは間違いだという風情でアルセイスは言う。
狩場で狩猟者に無思慮に向ってくる愚者共等害でしかないのだと…
ツヴァイは流石にそれは思いあがりなのではと苦言を呈したかったが
相手の掃討が先だと割り切りガンランスを構える。
武器の稼動域が擦れる音ととジョイント部分が結合する音が響く。
一方,アルセイスは何の音もなく柄から刀を抜き放ち構える。

「ギギャアァァァ!」

猛り声を上げ先頭に立つ一回り大きなイーオスが大地を強く蹴り跳躍する。
跳躍したイーオスを空中で捕らえアルセイスが叩き落す。
叩き落されて肩から腹を袈裟懸けに裂かれたイーオスは紅き大地に横たわりそのまま活動を停止した。
そんな生物の死を意にも介さず二人は周りを見回すブルファンゴの直線的な突進を回避しながら
イーオスの口から放たれる毒液の飛距離を計測しながら
無駄の無い回避行動と攻撃で一匹,また一匹と倒していく。


十数分でイーオスの群れとブルファンゴの群れは死骸と化した。
二人は武器を一旦納めブルファンゴ達の死骸を無視し歩き出す。
本来なら彼等の命の恵を頂戴する所だが今回のクエストは
自ら達にとって水準が高く持ち合わせた道具も多いため彼等から素材を頂戴する余裕が無いのだった。


「ぐっ…」
「どうした!?まさか…さっきの戦いで攻撃を?」

「そんな事が有るか。あんな雑魚共相手にお前と一緒で傷を負うなど」
「ならば何だ!?」

アルセイスが呻き声を上げる前にツヴァイを歩みを止めた。
ゴポッ…心なしかアルセイスが呻き声を上げる前にそんな音が聞こえた気がしたのだ。
其れは,アルセイスの体から何かが逆流したかのような音。
この暑さの中で頭が沸いているのかも知れないと…聞き違えたのだと考えるツヴァイ。
しかし,立ち止まり苦しそうなアルセイスの様子から嫌な予感は色を帯びていく。
杞憂なら良いと思い自らの感じた心配を口にする。

しかし,友であるアルセイスからは否定の言葉…
それもお前の様な強者と居て有得ないと言う。
ツヴァイは渋面を造る。
アルセイスは周りを見てティガレックスが来ない間にだと言う風情で兜を取る。
其処には口元から首に掛けて紅い液体が通った道程。間違えなくアルセイスは吐血したのだと分る。
ツヴァイは瞠目する。

「血…?」
「見れば分るだろう……思えば俺の苛立ちもこいつの性かも知れないな」

「何時からだ?」
「五年位前か…最近までは三ヶ月に一回,血を吐けば多い方だったんだが」
「今は?」

思わず口に出た一文字のワード。
アルセイスは否定するでもなく話し出す。
命の刻限が迫っているのではないかと言う恐怖を。
五年前,何が理由で発祥したのか何故,今まで話してくれなかったのか気になることは山とある。
しかし,何より気になるのは今の状況だった。
ツヴァイは務めて平静を装い次の言葉を促す。
アルセイスは赤銅色の地面から立上る熱気に浮かされた表情を見せ立ち止まる。
間欠泉の有る場所を避けて…


「…」
「おい…教えてくれ」

立ち止まると同時に一瞬,沈黙し心配させたく無いと言う風情の顔を見せる。
しかし,ツヴァイのどんな結果でも受け止めるという事を言外の伝える双眸に負けて
アルセイスは語りだす。


「一ヶ月に一回は吐血するようになった。お陰で輸血が大変だ…医者への口止めも大変だ」

「待て,それ所じゃ無いぞ?それは一気に病状が悪化している…」
「あぁ…狩りの最中に血を吐いたのは初めてだ。」


三ヶ月に一回から一ヶ月に一回…詰り単純計算で三倍の量の血を体から搬出していると言う事。
流石に体調的にも隠すのが厳しいのではないか。そして,香る命の刻限タイムリミッド。
通りで,最近何時も辛そうな顔をしている訳だとツヴァイは思った。




此処でこの男に戦いの世界から退いて貰うべきか,当初の宵桜の目的の為に残らせるべきか
ツヴァイは自問自答する。


「どうした———?」

     
      「打明けてくれて有難う。目的の為に走って行こう!どんな無茶でも聞くから」



そして,出した結果は長年付き添ってきた友情を優先させる事だった。
アルセイスの父,英雄ベルデナスの失踪の原因…
生きているなら何処に居るのか突き止めたいと言う切なる願い。
結成時,猟団の目的を語るアルセイスの顔が忘れられない。
あの切なそうな哀愁に満ち溢れた…しかし,諦めていない戦士の顔。


___俺の独り善がりだが付いて来てくれると嬉しい。


あの頃のツヴァイ達は皆,アルセイスの父と面識があり親しかった。
今でも父ベルデナスが心の奥底に存在している。
唯,帰ってこないから死んだ…
それだけでは納得がいかないのは実の息子であるアルセイスだけではない。
他でも無いツヴァイもだ。



凛とした強い瞳をアルセイスは認め兜を改めて装着して照れ臭そうに言う。



「頼むぜ相棒」



其の瞬間だった———


バサリバサリと言う熱風を孕んだ巨大な生き物が羽ばたく様な音。
其の主は彼等の脳内に直ぐに形となって現れた。


「来たな」


フルボルテージを構えツヴァイが言う。
彼等がその威容を視認したのはティガレックスが着陸した瞬間。
眼と目が重なり合い突然,異世界へと投げ出された様な未知の恐怖が体中を襲う。

ティガレックスは翼膜をまるで腕のようにして四つん這いになり息を大きく吸い上げる。





「ギギャアアアアアアアァァァァアアアアアァァァァァァァァアアアアァァアアアアァァアアァァァ」



口を開く。
口内が赤々と存在を見せる…数秒後,大音量の咆哮がエリア十四全体を支配した。



___一方,時間は遡りエリア四のトットナムとイリア達へ。
エリア六へと向かう途中でイリア達は戦力の分散の定義上当然とは言え
上手い具合に二人になれたと言う事でツヴァイ達には内緒にしたいと言う事をベルサーが話だす。

「なぁ,イリア」
「何ですの改まって?」

何時もと比べて歯切れの悪い口調で語り掛けてくるトットナムに気色悪いと言いたげにイリアが問う。
ベルサーは少し気恥ずかしそうに小首を傾げて言う。

「あぁ,俺さ…実はこのクエスト終ったら暫く宵桜から脱退しようと思ってる」
「は?」

「いや,アルセイス達と付き合うのが疲れたとかじゃ無くてさ…子供が欲しいって言うか」
「は!?」

突然のトットナムからの脱退宣言にイリアは瞠目し頓狂な声を上げる。
更に,畳み掛けるトットナム。
最初は言い訳がましくしどろもどろと言う雰囲気だが突然子供が欲しいなどと言い出すトットナムに
更に唖然とするイリア。

「ほら,俺達…G級になったら結婚しようって約束したろ?」
「あっ…あぁ…そんな約束しましたわね!
でも,それはG級に至るまでに良い歳になってるだろうって予想の上での…」

イリアは過去の記憶を手繰り寄せるようにしてベルサーの言葉を思い出す。
そんな馬鹿げた約束をしたのか…まるでG級が結婚祝いのプレゼントの様な。
少し逡巡するも思い当たる節が有り焦った口調でイリアはベルサーに返す。
覚えてた!と言う風情で喜ぶベルサーにしかし其れは
自分達が其れまでに思慮分別の有る大人になっているだろうという計算の上だろうと反論する。


「もう…良い歳じゃねぇ?俺達の目的だって俺達が元気で居られる間に結論つけれるか分らねぇし」
「……はぁ,このクエストが終ったらツヴァイ達に言ってみましょう」

「満更でもなかったり?」
「———そうですわね。そんな阿呆みたいな約束したんですもの。
満更でも有りませんわよ」


そのイリアの反論に対しもう自分達は倫理観も備わってるし資金も有る大人だとベルサーは反論する。
そのベルサーの本気だと言うことが伝わる熱を帯びた台詞にイリアは双眸を薄らと細め嬉しそうに
仲間達に話した上で決めましょうと言うのだった。
以外に簡単に折れたイリアに
本当は結婚したかったのかと言うニュアンスの言葉をトットナムは掛ける。
其れに対してそんな馬鹿みたいな約束をしたのだからそれも間違えでも無いのかもと
多少暈した様にイリアは言うのだった。



「おっ,見えてきたな…火口」
「そうですわね,すぐさまべギアロスとショウグン様がバァッ!何てこともありえますわ」
「気ぃ付けろよ…」
「前方不注意・上方不注意・後方不注意…駄目人間に言われたく有りませんわ♪」

「よっし,何時ものイリアだ!」


火口,エリア六への入り口。解放された外より遥かに強い篭った熱気。
思わず汗を拭うような仕草を見せながらもオオバサミⅣの真ん中部分を握り
臨戦態勢のイリア。一方,トットナムは既に祭囃子・野分ノ調を鞘から抜き準備万端だ。

『居た…エリア移動はさせねぇ』


一歩又一歩と近付きついにエリア六へと入る。瞬間,ショウグンキザミが天井の上からお出迎えだ。
鋭い刃の様な脚を天上に食い込ませながら起用に歩く。
エリア六なら移動してもエリア九に行く。此処で開戦できれば最高だ。
幸い周りは温厚な草食竜アプトノスだけで絶好の戦場だ。
一目もくれずショウグンキザミに気付かれる間合いへとトットナムが走る。
気付いたショウグンキザミが奇声を発しすぐさま地面へと到来する。
ズウンと言う地面と接触した音が響き邪魔な小動物を黙らせると言う気力に満ち溢れる。

青い威容の甲殻類ショウグンキザミは鎌の様に鋭い爪を容赦なくトットナムに浴びせようとする。
しかし,一撃目はトットナムに軽々と回避される。空を切った鎌の風きり音が耳朶に響く。
如何にティガレックスと比べて劣っているとは言え人間にとって脅威である事に間違えは無い。
鎌が首などに当れば一瞬で切断され冥土へ送られるだろう。
脂汗を我慢し彼は付かず離れずで攻撃を少しずつ当てる。

その間,イリアもトットナムの援護の為に攻撃の手を休めない。
彼女が主に攻撃するのはベルサーの居る反対側の脚,
爪の方が厄介だが爪は降り飾れるごとに動くため
狙えるのは地面に減り込むなどして動きを止めている時だけだからだ。
弓矢の威力は距離を置く事に低下する。彼女が射る距離は威力の通じるギリギリの距離。
詰り双剣の一撃より遥かに弱い衝撃しかショウグンキザミには与えられない。
だからこそ彼女はショウグンキザミに相手にされず気楽に気兼ねなく撃ち続けられた。
べギアロスが来るまでに出来る限り損傷を与えたい。べギアロスより彼の方が手強いのだから。
何十発目かになる脚への矢での集中攻撃,遂に通じショウグンキザミが倒れ込む。

「よっしゃっ!畳み込むぜ!!」

仲間の造った其の好機を逃すまいと体中の力と言う力を一気に発散し攻撃力を上げる鬼人化をし
切掛ろうとするトットナム,しかし其処にゴロンゴロンと地面を転がるような音が響き渡る。
この音の主をイリアとトットナムは知っている。何度も対峙した事の有る相手だ。





「ギャオォォォ」




            ————思ったより速い!



思った以上に早く相方が仲間の異変を察知し現場へと現れた。
赤茶色の鎧に覆われたアルマジロの様な容姿の獣竜種,べギアロスだ。
成程,普通のモンスターでは無いとトットナム達は感じるのだった。




                 アルセイス&ツヴァイVSティガレックス



                      トットナム&イリアVSショウグンキザミ&べギアロス



役者は揃った。
炎の山での本格決戦が幕を開けた。


     

                             ∞END∞


NEXT⇒第六話「紺碧の鎌VS白き短剣」