二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: MH 紅蓮の大陸 Ep1.黒狼 第六話更新 コメ求む!! ( No.43 )
- 日時: 2011/04/22 20:41
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)
オリキャラ募集用紙&オリモンスター募集用紙&オリ武器&防具募集用紙
オリモンスタ募集用紙
コピペ
>>大型モンスター編
名前:
容姿:
攻撃手段:(細かく書いて下さい)
剥ぎ取れるアイテム:
落すアイテム:
出現フィールド:(火山や洞窟・沼地と言った大まかな場所でOKです)
疲れた時や瀕死状態の時の行動:
コピペ
>>小型モンスター編
名前:
容姿:
攻撃手段:
剥ぎ取れるアイテム:
出現フィールド:
攻撃性:(激しいか大人しいか)
オリジナル武器&防具募集用紙
コピペ
武器編
名前:
種類:(ハンマーやガンランス等)
威力:
特殊効果:(麻痺属性や龍属性等)
コピペ
防具編
名前:(シリーズで)
剣士用orガンナー用:
総合防御力:
特殊防御力:(火属性・氷属性・雷属性・水属性・龍属性に対する防御力を全て)
発動スキル:(三つから四つ位まで)
〜注意事項〜
1.オリキャラにオリジナル武器等を持たせる場合はオリジナル武器や防具の説明を
オリジナル武器&防具募集用紙でお願いします。
2.オリジナル小型モンスター二種類・オリジナル大型モンスター二種類を登用。
3.オリジナル大型モンスターは○○亜種などでもOKです。
コメントくださった方々有難う御座います
レッドへ
後で読んで感想貰えると嬉しいです^^
虎様へ
来てくれて感謝です♪
全く問題ないですぜ!!モンスターは思いつかなくても全然OKですよ(苦笑
志筑へ
君が知ってたことに俺は驚きなのだが?
そうですねぇ★でも,あれさ…作者状況の欄で執筆中に〇書いてある場合はコメ控えて下さい…個人的なアレを申し訳ない!
好きなガンナーはケレスや疾風の翼の主人公(名前何だっけ?)も候補に上がったのですが…
やっぱ断然クルト兄さんが格好良いよなぁと(苦笑
はっ…マジか??そいつらいかれてんじゃねぇか…あたしなら友達の縁切る(オイ
クック先生は実はこの世界ではリオレウスに比肩する実力者です!!
雷電様へ
有難う!
いえいえ,変更感謝です♪べりオ……良いね^^
後,身勝手ながら小説執筆中(保留中)は書き込まないで欲しいです…おこがましいですが(汗
ただの敷島クルル様へ
おぉ!
何と喜ばしい♪ある程度年食っている所も良い所ですvv
最後に注意ですが……小説執筆中に書き込むのは遠慮を(申し訳ありません!
何分コメントなど気になると投稿する速度が落ちると言う(汗
MH 紅蓮の大陸 Ep1 黒狼
第六話「紺碧の鎌VS白き短剣」
ファイアニアス火山エリア六……
当初の打ち合わせどおりトットナムがショウグンキザミをイリアがべギアロスと交戦していた。
ショウグンキザミは密着して機動力の根源である脚を中心に狙い来るトットナムに苦戦する。
近接戦はどちらかと言えば得意だが体の構造上密接されると得意の鎌による攻撃が制限され動きがぎこちなくなるのだ。
時々,苦し紛れの突進をしたり両方の鎌を大きく開いて旋回して回り一面を根こそぎ攻撃しようとしてくるが反射神経とモンスターの動きを読み取る事に長けたベルサーは其れも紙一重で回避する。
集中力が研ぎ澄まされている。人間である以上ハンターには集中力の並が有る。
最初の集中に入る間は幾ら常に狩りに身を置いていたとしても体が多少鈍っている。
そして,最も動きが洗練され始めるのがモンスターと対峙して十分〜二十分後とされている。
そして,彼はショウグンキザミと二十分程交戦していた。
一方,イリアはべギアロスの鈍重な攻撃を一切受け付けぬ間合いから一方的に弱点部位を淡々と撃ち抜き続けていた。
べギアロスには口内から発する焔のブレスがあるが其れは狙いは正確ではなく攻撃範囲も狭い故に有る程度距離を置いていれば容易く避けれる。
更に,べギアロスの唯一の高速移動方である体を丸めての回転も体の構造上長くは持たない。
精々,五十m程度だ。イリアはどの攻撃が来ても確実に対処できる位置取りでオオバサミⅣから矢を射出し続ける。
「思っていたより行けるんじゃねぇか!?」
「油断大敵ですわよ!!」
「ギァッ!」
鎌を大きく開き体を旋回させて回り一面を攻撃しようとするショウグンキザミの動きを見切りベルサーはしゃがみそれを擦れ擦れで回避する。
回避して鎌の有る正面を嫌う様に側面に回り攻撃しながらトットナムは案外,バラバラな動きしてて余裕じゃないかと口にする。
其れに対してイリアが気を緩めるなと指摘する。
イリアの指摘が終るか終らないかの当りで突然,ショウグンキザミは空高く飛び上がった。其れを確認するのが遅れたベルサーは一瞬驚くが鋭い脚を天井に刺して上からの攻撃を仕掛けてくる事は直ぐに理解し回避行動に移る。
トットナムが回避行動に入るか入らないかの所で奴は背中に背負ったグラビモスの頭蓋を開き尾の当りの噴射口から水を勢い良く発射する。
ベルサーは直線的に発される水を一瞥し軌道を見抜き回避するがべギアロスの動きは把握出来ていなかった。
その時,イリアを無視してべギアロスがベルサー・トットナムの方を向き炎のブレスを放った。
イリアが其れを阻止しようと頭に何発が弓を放ったがそんな物意にも介さずべギアロスは焔を発したのだ。
そのべギアロスの行動を確認すると同時にショウグンキザミは天上を走りトットナムの頭上に移動しようとする。
ベルサーは突然の焔の出現に驚き動きを止め咄嗟に回転回避を行う。
火山の眩暈のする様な高温の世界に巨大な火柱が出来更に暑さを感じトットナムは顔を引き攣らせる。
そして,一息ついたのも束の間,今度は頭上に影が現れる。
チッと舌打してベルサーは火山の天上を一瞥しその場から走り出す。
走り出したと粗同時にショウグンキザミの着地するズゥンと言う轟音が響き渡る。
其れと同時に土砂が視界を奪いその遮蔽物の中から現れた鎌にトットナムは驚き何とか双剣で弾き致命傷を避ける。
「はぁはぁっ……怒涛の攻撃って奴かい,実はお二方俺狙い?」
防具を装備しているので傍目には分らないが攻撃自体は防いだ物の鎌の衝撃で吹飛び二度三度地面を転がったトットナムは頭から血を流していた。
体の節々が軋み頭がクラクラするのが分る。べギアロスは実はイリアの相手を素直にしているように見えて此方の動きを逐一確認している様だ。
イリアよりトットナムが厄介だと言う事を野生の勘で理解しているのだろう。
一方イリアは一瞬,トットナムの方を向き無事を確認して安心したように首を振った。
其の最中も弓矢を打ち続ける。べギアロスは硬い甲殻に物を言わせイリアの攻撃を物ともせず突進或いは回転をして距離を詰めてくる。
イリアは武器の軽量さから軽快なステップでべギアロスの速くも無く直線的な攻撃を確実に回避して攻撃をヒットさせて行く。
其れを見て安心した風情で吐息を吐く。
そして,すぐさま距離を縮めようと走り出すが奴も馬鹿ではなく鎌を大きく広げ突進してくる。
脚の動きからそれ程速くは見えないが根本的な歩幅が違う為相当の速度だ。
鎌を避けても質量差からしてまともに受ければ大きな損傷を蒙るだろう。
それ以前にトットナムの腕は今警鐘を上げていた。防御を前提としていない武器で鎌蟹の鎌の一撃を防いだのだから当然だろう。
遅れてくる鈍痛にベルサー・トットナムは多少腕を構いながら逃げ場を探す。
今からでは鎌の範囲外に逃れるのは難しいだろうと判断し相手の脚部の辺りに回転して飛び込めば人一人入れる程度の隙間がある事を確認する。
鎌蟹の距離と自らが回転回避一度で移動できる距離を計測しながら彼は意を決し鎌蟹の足の隙間へと前転する。
『よし……見失ってやがる!!』
攻撃の好機と直ぐに態勢を立て直しべギアロスの方に何か変った動きが無いか確認した上で斬り掛かろうとした瞬間だった。
ショウグンキザミは穴を掘り土中に逃れた。音も無く土の中を移動し突然,下から襲ってくる。
ハンターの立ち居地を確認した上で移動した場合でも音で追跡してくる厄介な攻撃だ。
トットナムは神経を張詰めさせ走り出す。
然し,その時だった。
べギアロスがイリア・ヘルメーラの弓矢の嵐を無視しベルサーに回転攻撃を繰り広げて来たのは。
トットナムとべギアロスの距離は約四十m,彼の反射神経ならた容易く回避できる距離だ。
戸惑う事も無くベルサー・トットナムは奴の進路上から逃れるように移動する。
ショウグンキザミが一度,地面から顔を出し自らの場所を確認する様子をトットナムは確認し次の地中からの襲撃の警戒に頭を切り替える。
油断していた完全に——
べギアロスの能力を軽視した故の悪手,其れは裏目と出るのだった。
べギアロスはベルサー達の見た事の無い行動を取ったのだ。
五十m以上転がってもそのままの体勢を保ち更には尻尾を使って方向転換してきたのだ。
ゴッ……尻尾が地面を蹴る鈍い音が響き渡る。双剣使いの男との距離は十mも無かった。
回避できない事を悟りトットナムは歯軋りをしながら双剣を自分の前へと翳し防御の体勢に入る。
相手の突進の威力を和らげる為に出来る限り後ろへと飛び退り衝撃を受け流せる様にする。
だが,彼に出来たのは其処までだった。
べギアロスの硬い皮膚がベルサーの武器に接触しガアァンと鉄と鉄がぶつかり合う様な音が響き渡りトットナムは後へと吹き飛んだ。
更に,地面から鎌蟹が姿を現す。トットナムは二度三度地面に叩きつけられショウグンキザミの直ぐ近くで止まる。
体中が衝撃で痛む。体がバラバラになりそうな程だ。血が喉を競り上がり嗚咽に顔を歪めながら霞む瞳で鎌蟹が鎌を振上げる様を確認する。
「トットナム——————」
イリアの悲痛な叫びが響く。
トットナムは死んで溜るかと痛む体に鞭打って左へと転がり鎌の直撃を回避する。
そして,ショウグンキザミの自らの首を狙った鎌を優れた反射神経で避け死角へと逃げ込み回復薬グレートで体の痛みを和らげる。
ハァハァと荒い息を整えて「久しぶりにきついクエストだな……」と一人ごちる。
そんな中,彼の中には過去の記憶が蘇っていた。
長い間,使う事を禁じていた力を解放しようと思い立った時だった。
その過去とはその力をセーブする切欠となった過去だ。
数年前,ハンターになって間もなかった頃,彼はアルセイスの父,ヴィクセン・ベルサーベルに師事を受けていた。
アルセイストは似ても似つかぬ血を思わせるような赤色の手入れのされていない長髪,
顔つきは角ばっていて目つきは細いがアルセイスの様に鋭くは無かった。
優しさのある然し少し世界に冷めた様な瞳がトットナムにとって印象的だった。
ヴィクセンと苦楽を共にしたのは二年の間だったがベルサーは彼を尊敬し信頼して肉親に近い感情を覚えていた気がする。
だからだろうか今もヴィクセンとの数々の会話は鮮明に脳内に映し出される。
ヴィクセンと修行して一年と三ヶ月程度が経った頃だった。
彼が,通常とは違う力を発言したのは——
其れは,通常人間が鬼人化して放つ薄赤色の気とは違う白い神々しい気。
その力は唯,纏っているだけで氷属性の攻撃に耐性あるモンスターにさえ氷属性の大きな損傷を与えられる力……氷気と言うものだった。
ベルサーが其れをヴィクセンの前で発言した時ヴィクセンは細い目を大きく見開いて居た。
「其れは……氷気!五大神気の一つを全くの無名なお前が?」
その語気は驚愕と否定に満ちていた。
そう,通常有り得ないことなのだ。DNAの深遠に其れが書き込まれている血統書付きの天才でもなければ通常放つ事の出来ない力なのだ。
「どうしたっすか?師匠,顔怖いっすよ?」
「その力を解放して見ろ」
あの時の顔を思い浮かべると戦々恐々とする。
アルセイスの様な若いナイフの様な殺気などより遥に恐ろしい。
あの氷の様に静かな語気。当時の彼はヴィクセンの言葉通りに力を鎮めた。
当時,その氷気を静める時に相当体の力を使った事を覚えている。
三分間その力を保っただけで立ち眩みがして地面に這い蹲った。
あの瞬間だろうか。通常の人間に許された力の地平を超えた物だと理解出来たのは。
「矢張りな……お前はその力に魅入られた訳じゃないのか。酷な事だ……
良いかベルサー・トットナム,お前がハンターとして戦う限りその力を絶対に使わないと行けない日は来るだろう————
だが,おいそれとは使うな……お前が限界まで修行したとして
お前が氷気を年間で使える限界は精々,三十分一区切りで五回……
そして,一度三十分力を奮い続けたら長時間のインターバルが必要になるだろう
肝に銘じておけ」
力を鎮めた瞬間からあの力がベルサー・トットナムが持つ事を許された力ではない事は知っていた。
だが,何か裏で思惟動いた末に人為的に手に入れる事になった力だとしたら誰が……
恐ろしかったが自分を馬鹿と断じていたトットナムはヴィクセンに聞く事も無かった。
ヴィクセンは事実を知っている風情だったが聞いたら自分を維持できない気がした。
ヴィクセン自身も知っているのに喋る気は無かった所を見ると知るべきではないと判断したのだろう。
強大な力だ。
正直怖くて宵桜に身をおいてからは二回〜三回しか解放していない。
その解放した時も何れ訪れるだろうこの力の本当の解放の場のために力の感覚を忘れない為と言う名目で大した相手には使っていなかった。
だが,今回のクエストは違う。
宵桜を一旦離別する覚悟だ。生き延びて帰ってイリア・ヘルメーラと結婚する覚悟だ。
このクエストは今までベルサー・トットナムが体験してきたクエストの中でも最も難しい部類のクエストだ。
正直,このクエストを選んだのは実はトットナムだ。最後のクエストだから手強い相手と遣りあいたいと思った。
だが,べギアロスは自らの知るべギアロスでは無くショウグンキザミも一対一では想像以上に厳しい。
『此処が……俺の天王山だ!』
ショウグンキザミが振り返る一瞬だ。
体中の力を脱力させ体の深奥にある白銀の力を体の外に発散させる。
一瞬の内に体全体に白き炎を纏い彼は目を見開く。
狙いは彼の背負う頭蓋……ありったけの力で雷属性の力と氷属性の力が付加された双剣を奮う。
一撃……二撃,澄んだ大きな音が響き渡る。そして,幾度も幾度も攻撃は繰り返される。
麻痺の力が浸透してきたのかショウグンキザミは動きを止める。
それにも目もくれず唯只管に頭蓋を狙う。自らの腕が悲鳴を上げる。
其れと同時に鎌蟹の鎧もまた衝撃に耐え切れなくなりビシビシと音を立てる。
その正に鬼神の様なベルサーをヘルメーラは怯える様な瞳で一瞥した。
瞬間————
バキィ……音が響き鎌蟹の背負う頭蓋が砕け散った————
「うおおおおおおおおお!!!」
大きな衝撃が弱点である腹に直接響きショウグンキザミは前へと情けない姿で逃走する。
彼はこの瞬間を待っていた。奴は殻を破壊された衝撃により仰け反った後,暫く動きを止める。
直ぐにスペアの殻を取りに逃げるのでチャンスは一瞬だ。
トットナムは奴に追い付き奴の一番の武器である鎌に斬撃を与える。
脆いショウグンキザミの鎌は容易く砕けた。左鎌が砕けると同時に奴は悲鳴を上げ土中に逃れた。
「はっはっはっはっは……」
しかし,そんな時だった。
イリア・ヘルメーラがべギアロスの尻尾を利用した連続突進を回避しきれず背中に攻撃を霞める吹き飛ぶ姿が視界に映る。
トットナムは力の奔流を抑えることなく彼女の元へと急ぐ。
ヴィクセンから言われたタイムリミットは三十分間力を解放し続けての場合だ。
五大神気は実は力の収束と力の解放が最も負担なのだ。
べギアロスはヘルメーラが吹き飛ぶ様を確認するとショウグンキザミを追うように逃げ出した。
「大丈夫か?」
「うぅ……大丈夫とは言えませんわ。それにしても何で貴方その力を……?」
「今まではコイツを本気で行使するべき時に使っていなかった。
俺にとってこの戦いはハンターとの離別の可能性のある大事な戦いなんだ」
「殿方とは馬鹿ですわね?」
「リタイア……したくねぇんだよこのクエストは……何か臭うだろ?」
「確かに……あのべギアロス,普通じゃ有りませんでした」
ベルサーは今,彼女の体を触る事が出来ないもどかしさに嘆きながらイリアの安否を確かめる。
トットナムの声に苦痛を我慢するように彼女は大丈夫だと言って兜を取り回復薬グレートを口にした。
そんな見慣れた所作が綺麗で彼は状況の深刻さにも関わらず顔を赤らめる。
そして,イリア・ヘルメーラの質問に対して人生の分岐点の様な気がするんだという胸の内を打ち明けた。
其れに対して彼女は小さく笑い小馬鹿にしながらも羨ましそうに言う。
彼らは一頻り無事を確認して回復道具を飲みクーラードリンクを飲みペイントボールの香りを頼りにエリア移動する。
恐らくは鎌蟹は既にスペアの何かの殻を装着しているだろう。
尾口からの水の発射が可能な鎧であるグラビモスの頭蓋では無い確率を願い
いきなりべギアロスの回転攻撃が来るかもしれないと細心の注意をしながら進むがその先にはショウグンキザミの姿が無い。
一瞬の焦り,その瞬間を見逃さなかったショウグンキザミはグラビモスの頭蓋から水を放物線上に発射する。
ビシャァと言う音を立てながら確実に迫り来る鎌蟹の攻撃を二人は回避するが
立ち位置が悪かったためダイブするようになったヘルメーラは弓の射出口の内二箇所をショウグンキザミの攻撃により破壊される。
「く!」
「俺がショウグンキザミはやる!!」
ベルサーの声にまだ攻撃することは出来ると確信したイリアは痛みを堪えながら立ち上がり首肯する。
此処でこいつ等を殺す——その覚悟で攻撃を開始する。
然し,奴らも馬鹿ではなかった。ヘルメーラ達の実力を動きを分析していた。
イリアが遠距離からトットナムが近距離からの攻撃を狙っている事は明確。
鎌蟹はベルサー・トットナムに長物の鎌が通じないことを悟り突進を主体に攻撃する。
ベルサーは致命傷を避ける様にギリギリで回避するが確実に疲弊していく。
攻撃の隙を突き確実に攻撃をしては居るが元々の攻撃力と耐久力が違いすぎる。
トットナムとショウグンキザミのどちらが疲弊しているかは一目瞭然だった。
実はこの二匹はティガレックス一体より遥に手強いのではないかと思い始めていた。
『後,五分で三十分……』
目が霞む。
短時間の間に地中からの急襲やべギアロスのイリアの攻撃の威力の弱化による攻撃チャンスの増加による援軍……
多くの攻撃を回避しきれず体中が痛い。痛みすら最早麻痺するほどに。
そして時間は刻一刻と過ぎて行く。
更にはヘルメーラも被弾率が上がってきた様だ。致命傷になるような攻撃ではないが確実に悲鳴が増えている。
振り返ると倒れている確立も————
『不味い……こいつ等両方俺の知ってるショウグンキザミでも……べギアロスでも無い。
あのべギアロスは何だ?何であんなに脚が短くて尻尾の筋肉が付いている?
このショウグンキザミは何だ?何でこんなに体力が有って麻痺し辛い?』
次第に恐怖が山積していく。
自分達の力が通じていない事実,自ら達の方が相手より疲弊している事実。
そして,今まで幾度と無く倒してきた相手だと言うのに全く違う相手と戦っているような違和感。
其れが目の前のモンスター達をより一層巨大に見せる。
集中力が散漫になっていく。
「まだ 負けて溜るか!!」
己を奮い立たせる様に咆哮するがその瞬間,ショウグンキザミの折れていない方の鎌がベルサーを袈裟懸けに襲う。
ベルサーは何とかブレーキを掛け直撃を避けるが鎧を砕かれ肉を少し抉られる。
鮮血が舞い上がる。そして,衝撃に被っていた兜が吹き飛ぶ。
口内から出る血が放物線を描き自らの目に映る。
意識が朦朧とし気が遠のきそうになる。
その時だった。
ズッ————鎌蟹の脚が切断された
突然の強大な苦痛に悶絶しショウグンキザミは倒れこむ。
突然の出来事にべギアロスも動きを止める。
其処に居たのはギルドナイツシリーズをきっちりと着こなしたこの地方特有の武器である影龍の素材をふんだんに使った影縫狂コクヴェを手にした男。
二人の知る男だ。
男の名はリーブロ・ヴェイン,宵桜を賛嘆の念で見詰める少し鬱陶しい男と言うのが二人の評価である。
「リーブロ・ヴェイン,クールに推参!!」
双剣を構えて何時もの様に名乗りを上げるリーブロ。
横顔は丹精で中々人気が出そうな男だ。ポーズも中々に研究されていて洗練としている。
リーブロはイリア達を交互に見て格好良かっただろうと聞いてくる。
「台無し……」「蛇足ですわ」
こうやって同意を求めてこなければ中々格好良いのになと嘆息しながらリーブロを二人は見詰める。
二人の状況を一瞬で把握しリーブロは二人が回復する間にこの二匹の相手をする事を提案する。
「おい!マジか——!?強いぞこいつ等!!」
「心配ない,俺はもっと強い」
リーブロは凄絶な笑みを浮かべてトットナムの忠告など無視して颯爽とショウグンに向かっていく。
その背中が大きくて先駆者としての自信に満ち溢れていて
もう,馬鹿に出来ないなと今更ながらにベルサーは思うのだった。
「さてと,でかいなりして何時までビビッてやがる?さっさとパーティを始めようぜ?」
ショウグンキザミを双剣の片方で指差すようにして舌なめずりしながらリーブロは挑発する。
ショウグンが戦慄いた瞬間に黄金の気をリーブロは纏う。
その様にトットナムは驚愕する。それは,師ヴィクセンから聞いた力……
それは,五大神気の一つ,雷気だった。
∞END∞
NEXT⇒第一章 第七話「赤銅の暴王VS黒き太刀」