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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【すいませn】銀魂 ( No.9 )
- 日時: 2010/12/19 22:55
- 名前: 牡丹 (ID: JFNl/3aH)
新撰組屯所———
「どうしやした、沙樹。いくら春だからって夜は冷えやすぜィ。」
縁側で頬杖をついていた沙樹に沖田が声をかけた。
「沖田。・・・この季節はあの頃を思い出すんだよね。」
桜の花弁を手で弄びながらどこか鬱そうに彼女は答える。
記憶喪失で過去のことを一切覚えてない彼女は一つだけ覚えている記憶があった。
「ああ。月が綺麗だった日のことですかィ。」
答えながら沙樹の隣に座る。
「うん。・・・姉さんは今どこにいるのかなとか、考えちゃうんだよね。」
幸せだったころの記憶には、沙樹に姉がいることも語っていた。
「なんでこんな記憶だけ憶えてんだろ?」
隣の沖田の肩にこてんと寄りかかる沙樹。
「・・・会いたいですかィ?」
「そりゃ会ってみたいとは思うよ。」
「もし会ったら・・・」
言葉を途中で濁した沖田を不思議そうに見上げる。
「?」
「なんでもないでさァ。」
「・・・?そう。」
もとの姿勢に戻って大きく伸びをした。
「ねえ沖田。」
いたずらな笑みで彼の言おうとしたことに対する返事をした。
「俺はどこにも行かないから。ずっと此処にいるよ。」
「・・・なんでもお見通しってことですねィ。」
照れたような沖田に嬉しそうな顔をする沙樹。
「そりゃね。俺達一番のライバルだし仲間だし!」
「仲間・・・ですかィ。」
嬉しそうな沙樹の言葉に苦笑して小さい声でつぶやいた。
「・・・肝心なとこは何も気づかないんですねィ。」
「ぅん?どした?」
曖昧な笑みを浮かべる沖田を心配そうに見つめる沙樹。
「・・・なんでもないでさァ。」
笑って立ち上がり、沙樹の手を引いた。
「此処は冷えるから中に入りやしょう。」
「・・・そうだね」
微笑んで手を取る。
逆の手は優しく桜の花弁を握っていた。
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