二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2第3章クライマックス! ( No.323 )
日時: 2011/05/17 22:12
名前: 薔薇結晶 (ID: IAQru7qe)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

第96話 「安らかに眠れ、薔薇の女王」








息遣いの荒い選手がライオコット病院へ到着した。
数名が受付に駆け寄った。

マーク「すみませんっ…、ジュリア・クラウンは…?」
受付「ジュリア・クラウン様ですか?…集中治療室で手術中です。」
マーク「ありがとうございます…!」

ダッと、また走り出す。
マネージャーであるサクラやマリ、シオンなどはもう体力が切れ、今にも倒れそうだ。

廊下を走り抜ける選手の群れは、とある部屋の前で止まった。


フィディオ「着いた…。」
マーク「…集中治療室…。」

集中治療室は、手術中のランプが点滅していた。
中に居るのはジュリア。

座り込んで、手術が終わるのを待つ事にしたようで、廊下に座り込む。
皆、息がかなり荒い。

フィディオ「サクラ、大丈夫か…?」
サクラ「ちょっとヤバいかも…、こんなに走ったの久しぶりだよ…。」

マーク「マリは、大丈夫か?」
マリ「しんどい…、みんな速いし…!」

エドガー「シオンは、大丈夫ですか?」
シオン「多分…。」


すると、廊下に、誰かが走る足音が響いた。
黒いスーツに身を纏った薄い黄緑の長髪の女だった。
後ろにも何人か似た服装の女がついている。

鬼百合「御初御目にかかります、私は優峰財閥特捜部の優峰鬼百合。…お嬢様は此方ですか…?」
マーク「はい、そうです…。」
鬼百合「容体は…。」
マリ「私達も…今来た所なので…。」
鬼百合「そうですか…。貴女達は牡丹の容体を見て来て。」

鬼百合は部下であろう数名の女に牡丹の所へ行かせた。

サクラ「えっと…、雛罌粟…さんでしたっけ…。撃ったのは貴女ですか?」
鬼百合「えぇ。…実を言うとお嬢様は随分前から何者かに狙われていたようです。正確に言えば、お嬢様の叔父にあたる優峰双樹様と、ご存じのとおり、ガルシルドです。」
マーク「叔父…?」
鬼百合「はい。ブラジル戦の4日ほど前に銃撃があったそうなんですが…。」
マーク「!!」
マリ「もしかして…。」
ディラン「あったね…。一回アメリカエリアでずっと銃の音がしてた…。」
マーク「…あの銃弾は全部ジュリアを狙ってたって…、言ってたな…。」
ディラン「What's!?」
マリ「嘘…本当なの!?」
マーク「本人から聞いた…。ミーシャが手当てをしてたはずだ。」
鬼百合「お嬢様は怪我をなされていたのですか?」
マーク「確か右肩の辺りに。」
鬼百合「そうですか…。でも、すでに双樹様は逮捕済みです。本人は否定していらっしゃいますが…。」

そうですか、とホッとしたようだ。

サクラ「ジュリア…。」
フィディオ「ジュリアなら無事さ…きっと…。」

ディラン「ジュリア…!」
マーク「…カズヤとドモンに連絡を入れたほうがいいか…。」
鬼百合「ですがすでにもうニュースには流れています。」
マーク「ジュリアの名前は…?」
鬼百合「恐らく…。」

だが、一応の為、一之瀬と土門に連絡を入れる事にした。



一之瀬≪マークか!?≫
マーク「あぁ、俺だ。」
一之瀬≪ニュースどうなってるんだよ!!ジュリアが撃たれたって!!≫
マーク「俺達の目の前で撃たれたんだ…、ガルシルドの娘らしい奴がな。」
一之瀬≪マーク達は無事なのか?≫
マーク「俺達は無傷だ。ジュリアは手術中だが…。」
一之瀬≪ジュリアとは約束があるんだ。生きててもらわないと困るよ。≫
マーク「約束?」
一之瀬≪『またみんなでサッカーする』って。≫
マーク「…そうだな。」

マークは電話を切った。





































それから3時間。
手術中のランプがようやく消えた。


テレス「消えたぞ…!」

一斉にランプをみて立ち上がる。
集中治療室から医師が出てきた。

マーク「あの…ジュリアは…。」
鬼百合「お嬢様は無事なんですか?」

「………本当に、申し上げにくいんですが…。」

うっ、とサクラの鳴き声が耳に入った。
嘘よ、と泣きながら叫んでいる。

医師「ジュリアさんは本当によく頑張ってくださいました。ですが…出血があまりにも多くて…。」

弾の打ち所が悪すぎたようです、と、一言添えて、医師は一礼してその場を立ち去った。

マークは、膝をついた。
翠の瞳からは、大粒の涙が零れるが、声が出なかった。

「ジュリアァァ————ッッ!!」

サクラが泣き叫ぶ。
マリの鳴き声も聞こえる。

ディラン「嘘だ…、ジュリアが……ジュリアが………!?」

絶句だった。
声が出なかった。

彼女の名前を呼びたかった。
あれが最後だったのか、そう思うと涙だけが流れた。


『絶対クイーン』ジュリア・クラウン。此処に散る。





第96話 終わり