二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2最終章始動——! ( No.358 )
日時: 2011/05/27 13:20
名前: 薔薇結晶 (ID: laaGvqHD)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

第4話 「ダニエル・シャルソン」












イギリスの国際空港。

マーク「…着いたな、イギリス。」
ディラン「変わってないねぇ、此処の景色。」
一之瀬「え…じゃぁ3〜4年前と同じって事?」
マーク「全部が全部じゃないけどな。」

そう言って歩き出すマーク。それに3人が続く。
どうやらシャルソン邸まで徒歩で行くようだ。

マーク「ジュリアと初めて出会ったのも此処だった。」
ディラン「少し冷えてたね、あの時は。」
一之瀬「…今の此処より?」

そのセリフの意味は。

マーク「……、雪は降ってなかったけどな。」

そう。今のイギリスは雪が降っている。
あの時は降っていなかった。4月だった故。

ディラン「マークとジュリアで、雪関係の過去と言ったら…。」
マーク「……アレか。まず、俺が帰るのが遅れたのはお前のせいだぞ、ディラン。」
ディラン「…アレは本当に、悪かったと思ってるよ。ミーのせいでマークも…。」
マーク「だが、お前が押し付けなかったら、ジュリアはあの時に死んでたかもしれないな。」

あいつマフラーもしてなかったから、と付け足す。
一之瀬と土門もその話はジュリアから聞いた事がある。

マーク「本当に…ジュリア、真っ青だったからな。」
ディラン「確かに。サクラも体温低すぎだって言ってた。」
マーク「氷みたいだった。あの時の、ジュリアは。」
一之瀬「でも、ジュリア言ってたよな。マークが居なかったら絶対死んでたって。」
土門「あぁ、言ってた。命の恩人だって。」

それを聞くと、マークも薄ら笑みを浮かべた。


マーク「俺は、一回あいつが泣いてたところを見たんだ。1年目の時だった。」

丁度キャンプの後だったか、と。
彼との付き合いが長いディランも、その話は初耳だったらしい。

マーク「女子だから、って、チームの仲間外れになるんじゃないか、って…、言ってた。」
一之瀬「…マークは、どう思ったんだ?」
マーク「正直なところを言うとな、最初はあまり良く思ってなかった。女子が出しゃばるなよって…。」
土門「今のマークからは考えられない発言だな…。」
マーク「だけどな、その時から変わったんだ。ジュリアも、才能があって此処に居るんだって。…反省したよ。」

でも見方を変えるだけでこんなにジュリアに惹かれるとは思ってなかったが、と言う。
魅力あるもんな、女王様、と土門も続く。

ディラン「マーク、アレ。」

と、ディランが何かに指を指す。
マーク達もその指が指す方向を向いた。

一之瀬「何だ?あの大きな建物。」
マーク「セントクラブ学園。学校だ。」
土門「学校!?アレがか!?」
マーク「小中高が纏まってる学校だぞ。俺達も3年間通った。」
ディラン「ジュリアのお祖母さんが学園長だよ。」







マーク「そろそろ見えてくるはずだが…。」

雪の上を歩くマークが言った。

ディラン「!」
一之瀬「もしかして…アレ?」

と、真っ白な大きな豪邸が見える。
だが、1つ、大きく変わったところが。

土門「アレ…紫陽花か?」
一之瀬「そうみたいだな…。」
マーク「ジュリアは日本から紫陽花を1つ、植木鉢ごと持って来てな。多分…。」

その種が、と言う。

「どうだ?彼女の紫陽花は、此処まで美しく咲いた…。」

と、後ろからそんな声がした。
低く、強さがある声。

マーク「監督…!」
一之瀬「この人が…!!」

ダニエル・シャルソン。リトル・クラウンの監督。
深緑の髪に、深い深い紺の眼。
微かにほほ笑む彼の眼は、嬉しそうでありながら、悲しそうだった。

シャルソン「彼女が持ってくるまで、紫陽花がこんなに美しい花だとは私も思わなかったよ。」
マーク「監督…。」
シャルソン「久しぶりだな。マーク、ディラン。そして初めまして、一之瀬、土門。君達の活躍は耳にしているよ。」
一之瀬「こちらこそ。会えて光栄です。」
土門「これからよろしくお願いします。」
シャルソン「いや、私は副監督だ。監督は円堂大介さんだよ。」

まだ来ていないがね、と付け足す。

シャルソン「だが、さすがはマークとディランだな。私の言葉の意味をよく理解している。」
マーク「まぁ…、一大事ですからね。」
ディラン「それに、…ね。」

ディランが言いたいことは、「ジュリアが居ないから」という事だろう。
今まで頼っていた人物が今回は居ない。頼れない。
自分達で何とかするしかないのだ。

シャルソン「では…、入ってグラウンドで練習するもよし、休むもよし。全員揃うまで好きにしてくれ。」
マーク「グラウンドを使わせてもらいます。更衣室は変わってませんか?」
シャルソン「すでに君達のロッカーも用意しているよ。何かあったらマーガレットかコーディに言ってくれ。」
ディラン「コーディ?」
シャルソン「スノウガは辞めてしまってね。使用人も少し増やしたよ。何でも言ってやってくれ。」


4人は、紫陽花を眺めながら、シャルソン邸へ入った。



第4話 終わり