二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2 ( No.432 )
- 日時: 2011/07/06 20:38
- 名前: 薔薇結晶 (ID: 9MGH2cfM)
- 参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/
第19話 「生と死の可能性」
牡丹「…お嬢の事でしょう?大体分かってましたよ。」
と薄ら笑みを浮かべる。だが、その笑みはとても悲しそうだ。
今更思い返したくない、と言う彼女の感情の表れか。
牡丹「楠様には何も聞いていないんですね?」
マーク「逆に追い返されました。」
牡丹「そうですか。…まぁそうでしょう。」
あんな事があっては。と言う。
だが、それはジュリアの死亡の事ではなさそうだ。
「…お嬢、生きてたんです。」
と。
誰もが耳を疑うような発言をした。
優峰牡丹は、今、「ジュリアは生きている」と言ったのだ。
牡丹「…銃弾は運良く、急所には当たってなかったんです。
手術の結果は、実際『大成功』です。『残念』の真逆…。
ですが、楠様はそれを隠蔽するように命じた。
理由はお嬢を思っての為。お嬢はまた命を狙われる危険性がある。だから、真実を世界に曝さなかった。
そしてこの埼玉の屋敷で療養していたんですが…。」
衝撃の真実が次々に暴露される。
ようやく頭がついて行き始めたところで、牡丹は。
また、驚愕の発言をした。
「…1年ほど前に、失踪したんです。」
私が抜けた5分間で、屋敷を抜け出して…。
5分間でこの大きな屋敷を抜け出したと言うのか。
いくらあのジュリアとて、療養中の身で、此処を抜け出すのは困難だろう。
牡丹「…すでに死亡している可能性も、否定できないのが現状です…。」
絶望が生まれた。
折角、彼女が生きている事が判明したと言うのに、『死亡』の可能性が出て来てしまったのだから。
牡丹「…今日は、此処にお泊りになってください。お疲れでしょう?」
元ユニコーンの5人は、ジュリアが療養中に使っていたと言う部屋に来ていた。
実際、其処は彼女の部屋だ。
白や青で纏められたその部屋は、いかにも彼女らしかった。
薔薇は毎日入れ替えるらしいが、今日は真っ白な薔薇、『パールホワイト』と言う品種。
本棚は、分厚い本がぎっしり詰められていた。『品種改良』、『経済学』、どれも難しそうな本ばかりだ。
彼女が寝ていたと言う大きなベッドは、童話に出てくるお姫様が寝るようなベッドだった。世間一般で言う『プリンセスベッド』だ。
大きなデッキからは、屋敷の薔薇園が一望できた。牡丹曰く、『お嬢の好きな場所』だったらしい。
牡丹「療養中のお嬢の楽しみは、サッカーの観戦でしたよ。そのテレビで、愚痴混じりで観戦していました。」
愚痴混じりってのが女王様らしいな、と土門が言う。
どんな試合を?と一之瀬が聞く。
牡丹「どんな試合…と言いますと?」
一之瀬「いや、少年サッカーか、プロサッカーか。」
牡丹「去年のFFIはしっかり見られておりましたよ。優峰財閥主催ですからね。」
マーク「…どういう反応を?」
そちらに、とベッドの横のサイドテーブルを指す。
1冊、キャンパスノートが置かれている。表紙に、『第2回FFI 感想』と書かれている。
ゆっくり、表紙をめくると…
「「「「「うわッ…。」」」」」
ぎっしりと、万年筆で感想が書かれていた。若干引くくらい。
マーク「『イタリア代表・オルフェウス
ディフェンスが甘い。甘すぎる。砂糖を大さじ5,6杯入れた卵焼きみたく。
オフェンスは特に問題ない。シュート力が弱いだけで。』…いや、問題あるだろ。」
ディラン「『シュート力が弱い』のは十分問題あるよ。」
マリ「あっ、ユニコーンだよ。『アメリカ代表・ユニコーン
欠点があり過ぎ。オフェンス力が下がってる。連携はまぁまぁ。
ディフェンスがはっきりしてない。司令塔はぼけっとしてないで指示を出しなさい。
トーナメントまで行けたのが奇跡ね。Aは激戦だったからユニコーンが入ってたら負けてたでしょうよ。』…。」
一之瀬「…厳しいなァ、ジュリア。」
恐らく『司令塔』は一之瀬の事を指しているのだろう。
去年のFFIの事は別の回で紹介する事にしよう。
次の日の朝。
「ふふふふふっ…、タロットの結果は『戦車』の逆位置。意味するは暴走、不注意、自分勝手、失敗。」
「あぁ〜あ、それは相手に勝ち目がないって予言してるのに等しいよ。」
「だって…勝ち目があってはいけないでしょう?」
「確かにぃ…そうだけどね。」
2人の少女はクスクスと不気味な笑い声をあげていた。
第19話 終わり