二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■世界を忘れたティンカーベルの唄声は■ ( No.79 )
日時: 2011/08/04 13:50
名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)

序章

——ep01——



ムンムンと立ち篭る熱気の中、二人の少女と少年の影が生えていた。

此処は≪ウォリアーテイル≫南方、≪ウォリアーテイル≫1大きな山(火山)がある、火山の麓の小さい村“ボルケイノヴィレッジ”である。今だ活動中の火山の所為で、村全体にそれなりの熱気が立っているが、二人が使っているこの道場は“ボルケイノヴィレッジ”の中でも決まって暑かった。

何故この二人が貸し切りの様に使い果たしているのかと言うと、その答えはとても簡単なものだった。この施設はあの世界貴族、シーウェル家が作らせた施設だからだ。そして、この二人も、シーウェル家の血を引く、将来後継者になる“かも”しれない者達だからだ。何故“かも”なのかは、同じく世界貴族、七瀬家の血も受け継いでいるからだと言える。実際的には七瀬家の血の方が3割増し位多いが。


『違うってんでしょッ!!??何度私に言わせる気なの!?』

「———…ッ、はいッ!!」

『もっと脇を締める。動きがトロイ、温い、遅い。パンチやキックに張りが無い。隙をつかれた時の対応があと少し出来てないっ!!!』


さっきから自分が相手役をしながら教えている少女と少女にこてんぱんに扱かれている少年は、どうやら空手をしているようだ。

ちょいと今からこの二人の事を説明するとするか。

まず、少女。この少女の名前は“七瀬虹彩”。または“コイロ・シーウェル”。17歳の♀(オンナ)だ。さっきの会話だけ聞くと、物凄い厳しいスパルタな性格に思われるが、根は優しく、明るくて家庭的な少女だ。だが、若干ツンデレっぽい性質なので、いや、関係無いかもしれませんが先程のような厳しくてSッ気も入っている感じもする。まるでお姉様の様な性格だ。そしてブラコン。

容姿は、しなやかでふわふわとした腰まである蜂蜜色の髪の毛に、澄んだ宝石の様に輝く淡いピンクローズ色の瞳。その瞳を縁どる長い睫毛にシャープな眉毛。頬は薄ら桃色に染まっており、道着の上からでも分かる、モデル並みの傾らかなラインのボディ。そして胸がデカい。まさに男のロマンだ。手足はスラリと細長く、手の指の先まで綺麗。身長は性格の割には高くない。だがチビでもない。神童や霧野より少しばかり小さい位だ。だがやはり性格は性格。虹彩には誰も頭が上がらない。

虹彩はこう見えて、いや、これだから、あの有数な世界貴族の“七瀬家”と“シーウェル家”の血を引いている為、彼女は莫大な権力を持っている事になる。
文武両道、知力は魔族の範囲を越えており、運動も以下同文。戦闘系は、この年で数々の道場の師になる程の武術、剣術、魔術などの術の実力がある。≪ウォリアーテイル≫最強だと言われている。まァ、それ位強いんだ。俺も、コイツにだけは頭が上がらねえ。歯向かうと消される可能性が猛大にあるからな。

4才の頃、まだ魔術を覚えていない時だ。1本の刀と銃、それだけでSSランクの魔獣を倒した、という経験がある。それもたったの20秒で、しかも掠り傷1つだけで、大した怪我は無いし、この子は強い!!いや、強いでは済まない位だぞ!!流石我が子だァ!!とか何とか言って自慢する虹彩の馬鹿親父を思い出した。

更に、虹彩は知や術だけじゃない。最年少奏者、優秀な歌姫でもある。ヴァイオリン、サックス、フルートを主に持参いている。あ、普通に持ってるんじゃないぞ。“ラミティ”にデータをプログラムしているから必要なときに取り出せる事になっている。“ラミティ”にはその他様々な便利機能もあるから、本編を見逃すんじゃねェぞ!


かなり長くなったが、少年の説明に移る。この少年の名前は“七瀬日向”。又の名を“ヒナタ・シーウェル”という。10歳の♂(オトコ)である。まァ、何だ。虹彩の実の弟だ。優しくて、可愛い物が大好きな少し乙女チックな男の子だ。でもしっかりしていてやる時はやるし、他人を思いやることが出来るので女子にモテたりする。っ糞、羨ましいぜ。
そしてかなり極度のブラコンである。

虹彩と同じ蜂蜜色の特徴的な髪型に、輝くアクアマリン色の瞳。10歳になって、背は伸びたが同じ年齢の子達と比べると一回り小さい。瞳が大きく女顔なので、最近は女装して街に遊びに行ったりも“たまに”する。
だが、すばしっこく、空手と柔道などの武術の腕は中々であり、虹彩が師を務める道場でも、かなりレベルが高いのにその中でも1番強い選手らしい。だが虹彩に勝った事は一度、いや、これからも無い事だろう。



「おーい虹彩!お前其処までにしといてやれよなー」

『・・・ギル、・・・・・よし、今日は此処まで!!』

「つ、疲れたぁー!!」



おっと、紹介が遅れたな、俺の名前はギルバット。気軽にギルと読んでくれ。虹彩の馬鹿親父・・・俺の主人、“七瀬優輝”の使い魔だ。因みに、生体は尻尾が二又に分かれている黒猫の姿だ。コイツ等の面倒見係だ。虹彩には立派な使い魔ちゃんが居るのに何故俺が、

話は変わるが、俺の事もっと知りたいだろ。・・・そんなに言うなら教えてやるよ!俺はな、もう、本当にモテモテのモッテモテで、彼女居ない歴0年。今日も12匹に告られ、全員フッてきたのである。何故なら俺には大切な彼女がいr((ry



『日向、今日は調子良いみたいね!昨日よりずっと動きも素早かったし、威力もあった』

「本当!?良かったー。でも姉ちゃんは超えられないよ。」

『そんな初っ端から弱気だから本当に追い越せないの!アンタは実力は十分過ぎる程あるんだから、もっと自信を持ちなさい!』

「でもさー」



丁度その時、大きな音が俺達の耳を襲った。

村からだ。

何だ何だ、と立ち上がろうとした虹彩。その瞬間、道場の扉が急に開いた。


「虹彩さんっ!!ギルバットさんっ!!」