二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.102 )
- 日時: 2011/04/08 16:02
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
第9章 銀灰色の望み 後編
物心ついたころから、ずっと汚い暮らしをしていた。
身寄りもなくて、家もなくて、食べるものもなにもなくて
ゴミのように生きていた。
ゴミ屑のように生きていた。
おなかがすいても、なんにもなかった。
草をかじり、泥水をすすって生きてきた。
雨もしのげず、いつも震えていた。
物乞いをし、人のものを奪って生きた。
なにもない。
腐っていた。
なにもかも。
心も体も腐っていく。
汚れていく。
なんで生きているんだろう。
なんで生きてしまったんだろう。
なんで死なないんだろう。
なんで死ななかったんだろう。
生きる覚悟もなかった。
死ぬ覚悟もなかった。
弱かった。
雑草のように、何かを奪わなければ生きていけない。
雑草のように、人の糧を奪って生きていた。
雑草のように、死ねなかった。
雑草のように、悲しかった。
感情が滅んでいく。
感情がなくなっていく。
何かを守ることができませんでした。
何かを救うことができませんでした。
何かを大切にできませんでした。
何かを信じられませんでした。
何かを愛せませんでした。
何かを選ぶことができません。
何もできません。
笑うこともできません。
泣くこともできません。
喜ぶこともできません。
悲しむこともできません。
憐れむこともできません。
憎むこともできません。
何も感じません。
何もわかりません。
何も理解できません。
何も知りません。
生きることも死ぬこともできません。
ただゴミのように。
ただゴミ屑のように。
捨てられて終わる。
逃げられません。
どこにも。
永遠に。
出口がありません。
扉なんてありません。
そもそも鍵なんてありません。
ただただ無様に。
ただただ愚かに。
地面を這いつくばります。
生きているのか死んでいるのかもわかりません。
この世とはいったいなんなのでしょうか。
それもわかりません。
世界は暗黒で。
ひたすら暗黒で。
☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡
昔、広大な宇宙のどこかの星で。
ゴミ屑のように生きていた子供たちがいました。
親に捨てられたのか、身寄りもなく、哀れに生きていました。
そんな子供たちを人々は、汚い対象か哀れの対象でしか認識していませんでした。
壊れてしまったおもちゃのように、ただ捨てられました。
見捨てられました。
色のない毎日。
感情のない毎日。
腐っていく毎日。
そんな日々を続けていました。
子供たちは、もう生きたいという思いも死にたいという思いも持っていませんでした。
何も持っていませんでした。
唯一持っているものは、自分の汚い体と、その体の上の汚い服。
そして、同じ運命を歩んでいる似たもの同士たち。
子供たちは、ずっと変わりもしない人生を続けていくつもりでした。
しかし、ある時転機がおこりました。
自分たちよりもほんの少しだけ年上の少年が、子供たちの目の前に現れました。
どこから来たのかもわからない少年は、ゴミ屑のような子供たちに
「助けてやる。だから俺の仲間になれ」
と、言いました。
この言葉が全てを変えました。
子供たちの運命を変えました。
そして、絶対に揺るがない、深い深い絆が生まれました。
子供たちは、少年とともに旅に出ることになりました。
宇宙を旅する…『 』に。
これは、昔、広大な宇宙のどこかの星でのお話。